一富士二鷹三茄子! 静岡県民ライターが思う、「これが愛すべき富士山だ」

静岡県在中の旅色LIKESライター・さっかです。「一富士二鷹三茄子」なんて言いますが、新しい年を迎えるとなんだか無性に富士山を見たくなります。昔から富士山は信仰や芸術の対象でもありました。富士山のパワーと愛される魅力を、洗練されたミュージアムや外国人にいまや大人気の神社など、様々な角度から紹介します。
目次
いつ、どこから見るのが美しいのか
我が家では昔から1月に「ちょっと今日は富士山を見に行くか」と出かけるのが定番。富士山は雪をかぶる冬が特に美しい。空気も澄んでいて、シンと冷える冬の日に雄大な富士山を目の前にすると、背筋がピンと伸びる気がします。
東海道新幹線に乗った時、新富士駅周辺から大きく見える富士山を眺めるのが楽しみという方も多いのではないでしょうか。富士山は見る場所によっていろいろな表情を見せてくれますが、民家や工場など人々の営みを見守るように雄大にそびえ立つ姿がお気に入りです。静岡県内では富士宮市や富士市あたりがおすすめ。
「静岡県富士山世界遺産センター」で魅力を学ぶ
静岡県富士山観光世界遺産センターは、2013(平成25)年6月にユネスコの世界文化遺産に登録された「富士山ー信仰の対象と芸術の源泉」を後世に守り伝えていくための拠点です。富士山の景観、芸術作品、信仰の対象、自然などさまざまな視点からの魅力を紹介しています。美しい建物の外観は、ぜひ富士山といっしょに写真におさめてみてください。池に反射する写真も撮り忘れないように。写真撮影する人が多いので、施設が閉館する17時以降がおすすめです。(7,8月の閉館は18時)夕方で風も弱まりやすい時間帯です。
建物には富士市、富士宮市で育まれた地域ブランド材「FUJI HINOKI MADE」を使用。木格子は約4,385本の丸太から緻密に計算して切り出された、ひとつひとつ形の違う約8,000ピースの部材を組み上げています。
スロープには手すりもあり、安全に富士登山を疑似体験できます。
中に入ると全長193メートルほどの螺旋スロープがあり、壁に映し出されたタイムラプスの映像から時間の経過を感じながら、海から山頂までの道中の植物や雲海、山頂からの眺めと富士山を登っているような気分になることができました。富士登山をしたことがない方には特におすすめです。
スロープの途中にはさまざまな角度から富士山を学ぶ展示があります。美しさから和歌に詠まれたり、絵画に描かれたり、信仰の対象として畏敬の念を持たれたり……。活動を続ける活火山としての恐ろしさも忘れてはいけません。いろいろな面がありますが、強く感じたのは富士山は昔から愛されていること。雲のかかっていない富士山を見るといいことがありそうな気がします。スマホの写真ホルダーには富士山の写真がもうたくさんあるのに、見ると撮らずにはいられません。
私の思う人生で一番の美しい富士山がみえる場所・時間帯
16時頃、スタッフの方から「今が富士山のきれいに見える時間です」との声かけをもらい、最上階の展望ホールに急ぎます。目の前には遮るもののない裾野まで広がる富士山が夕日で赤く染まった姿を見せていました。眼下には家々が広がっていて、その向こうにそびえたつ姿は人々を守ってくれているように見えます。右側の中腹にある宝永山の出っ張りも愛嬌があり、静岡県民にとって馴染みのある姿ですが、とても素敵です。日は傾き、どんどんと山肌の色を変えていきます。
「写真撮りましょうか。俺たちも撮ってほしいです」グループで来ている男性に声を掛けられました。お互いに撮り合いお礼を言って別れます。静岡県富士山観光世界遺産センターのスタッフの方々も皆さん親切。時代が変わっても変わらずにそこにいてくれる富士山と、人の暮らしや優しさを感じられて、いつ来てもほっこり満たされた気分になります。
◆静岡県富士山世界遺産センター
住所:静岡県富士宮市宮町5-12
電話:0544-21-3776
開館時間:9:00〜17:00、7~8月 9:00~18:00 ※最終入館は、閉館の30分前
休館日:第三火曜日※祝日の場合は翌平日、施設点検日
入館料:一般 300円、15歳未満・70歳以上、中学校、高等学校及び大学の在学者 無料
富士山信仰と富士山からの恵みを感じる「富士山本宮浅間大社」
静岡県富士山世界遺産センターからは歩いて約5分。「富士山本宮浅間大社」は、世界文化遺産の構成資産の一つです。第七代孝霊(こうれい)天皇の時代に大噴火した富士山の山霊を鎮めるために建てられたといわれており、世界遺産に富士山が登録された今、外国人に大人気のスポットです。
富士山に降った雨や雪が、湧水として毎秒3.6キロリットルほど湧き出る「湧玉池」。国の特別天然記念物に指定されています。中世以降、人々が禊をしてから富士登山に臨んでいた、という大切な場所です。水源近くにある水屋神社で湧き水をいただくことができます。年間を通して13度ほどと、寒い日にも冷たすぎない、優しい口当たりの水でした。
◆富士山本宮浅間大社
住所:静岡県富士宮市宮町1-1
電話:0544-27-2002
開門時間:11~2月 6:00~19:00、3・10月 5:30~19:30、4~9月 5:00~20:00
おわりに
静岡県民の私にとって富士山は、すぐ近くで街を見守ってくれる親しみを感じる存在です。形、大きさ、古くからの信仰心、さまざまなものが合わさって、富士山を見ると幸せな気持ちになれるのだと思います。愛される理由をあえて表現するのなら、時代が変わっても変わらない存在が人々に安心感を与えているからでしょうか。富士山からの今年1年のパワーを受け取りに行ってみませんか。