【3月20日ニューオープン】古墳に泊まる!? 国内外から人気の奈良県天理市萱生町(かようちょう)で古墳づくしのリトリート旅

奈良県に、古墳の敷地内に泊まれるユニークな宿「cofunia(コフニア)」がオープンします。古民家をリノベした洗練された空間と、地元の野菜を取り入れた食は女子旅にもぴったり。中世以来の集落の姿が残り、国内外から人気を集めるエリアにも注目です。古墳の宿に泊まり、古墳を見ながら「山の辺の道」を歩く、古墳づくしのリトリート旅を旅色LIKESライターのおんりが紹介します。
目次
始まりはクラウドファンディングから
旅のきっかけは、偶然目にしたクラウドファンディングでした。"西山塚古墳の麓にある古民家を宿として再生する"というプロジェクトに心惹かれ、迷うことなく支援することを決めました。数あるリターンの中から選んだのは、「プレオープン期間・平日1泊2日朝食付き・2名様」というプランです。
支援した民泊施設「cofunia」は、天理市萱生町(かようちょう)の西山塚古墳の麓にあります。高級柿で有名な刀根柿(とねがき)発祥の地で、西山塚古墳の墳頂までは徒歩2~3分ほど。濠(ほり)を巡らせた環濠集落(かんごうしゅうらく)が残る歴史ある町です。さらに「山の辺の道(やまのべのみち)※1」沿いという好立地。数年前から「歩いてみたい」と思っていた私にとって、渡りに船の施設です。
※1 奈良盆地の山裾を南北に走る全長約26キロメートルの道。日本最古の道といわれる。
「五行×五感」がコンセプトの宿には、遊び心と工夫がいっぱい
約200坪の敷地の中に、古代の陰陽五行思想「金・水・土・木・火」をコンセプトにした4棟の宿泊棟と1棟の飲食棟があり、私たちは一番広い「木」の棟(定員4名)に宿泊させていただきました。元はみかん小屋で、残されていた木枠をベッドフレームや窓の縁取りとして再利用しているそう。アメニティや備品はオーガニックのもので統一されており、センスの良さとこだわりを感じます。
一番人気は「土」の棟(定員2名)で、お風呂が前方後円墳の形をしているんだとか。かなり気になります。
食事は「火」の棟でいただきます。夕食は事前に予約していた「奈良薬草五行鍋」。季節によって具材が変わるそうで、宿泊した12月はプーアル茶をベースにした「黒い鍋」でした。生薬やスパイスがたくさん使われていて、デトックス効果が高くヘルシーなので女子受けしそう。大和当帰の独特な香りがしましたが、パクチーほどのクセはなく、食べやすいお味でした。ドリンクメニューは、クラフトビールだけでも5種類以上、ほかにも自家製果実酒、自家製ジュース、オリジナルサワー、地酒など豊富なラインナップ! 決めるのに一苦労しました。
敷地内には古墳の形をした窓や鬼瓦など、思わず笑ってしまう楽しい工夫があちこちに。探索するのも楽しい時間です。宿泊だけではなくワークショップも行われていて、「人の営み×五感」 「時の流れ×五行」に基づくイベントはどれも気になるものばかり。イベントの情報は、公式HPやFacebookをチェックしてみてください。
◆cofunia
住所:奈良県天理市萱生町1021
電話:0743-20-6393
チェックイン:16:00~20:30
チェックアウト:10:00
西山塚古墳で悠久の時を楽しむ
現在、手白香皇女(たしらかのひめみこ 第26代継体天皇の皇后)の真陵だとする説が有力視されている西山塚古墳。宿泊棟から西山塚古墳の頂上までは歩いて2~3分ほど。「朝日を見に」「星を見に」「夕日を見に」「景色を見に」思い立ったらすぐに行くことができます。頂上からは大和三山※2 や、瓦屋根の集落が広がり、ぼーっと眺めていると、時間が経つのも忘れてしまいそう。そういえばクラファンのリターンの中には、「日帰りプラン・墳丘でお茶できるピクニックセットレンタル2名様用」もあり、こちらも魅力的でした。もう少し暖かったらやってみたかったなぁ。ヨガや瞑想、アーシング※3 にも良さそうな空間でした。
※2 奈良県橿原(かしはら)市にある畝傍山(うねびやま)・耳成山(みみなしやま)・香具山(かぐやま)の3つの山。
※3 素足で大地と触れ合う健康法。
「山の辺の道・南コース」は古墳の大渋滞!
「cofunia」で身も心もデトックスされたら、いよいよ「山の辺の道」を歩きます。宿からゴールの大神神社(おおみわじんじゃ)までは約7キロメートル。「山の辺の道・南コース」は、アップダウンが少なく歩きやすいのでおすすめです。気温は一桁でしたが、晴天無風の絶好のハイキング日和で、歩いているとポカポカしてきてコートがいらなくなるほどでした。冬のひんやりとした空気と暖かい日の光、鳥の声を聴きながら、美しい景色の中を歩くのは最高に気持ちいい! 古墳時代から変わらないであろう里山の風景がキラキラと光り、私たちを祝福してくれているようでした。
それにしても「山の辺の道・南コース」は驚くほど古墳だらけ。桜井までの道中は、「大和古墳群(おおやまとこふんぐん)」「纏向古墳群(まきむくこふんぐん)」「柳本古墳群(やなぎもとこふんぐん)」とこれでもかというほど、古墳群が続きます。古墳に特別興味がなくても、次々と出てくる古墳に「あ、また古墳だ! 」「え、これも⁉ 」と楽しみながら歩くことができるので、飽きることがありません。
道中には無人販売所がたくさんあり、果物、野菜、ハーブ、きのこ、草花、おもちなど、いろいろなものが売られています。何があるのか見るだけでもワクワクしてしまいます。私たちは、干し柿やおもち、古墳パンなど、気になるものを購入しつつ食べ歩きを楽しみました。
蛇が崇められる日本最古の神社「大神神社」で生卵をお供え
楽しく歩いていると、ゴールの「大神(おおみわ)神社」までの約3時間はあっという間です。「大神神社」は、三輪山をご神体とする日本最古の神社で、パワースポットとしても有名。2025年は巳年ということで、参道にある今西酒造※4 の直売所で、生卵と小瓶の酒の「お神酒セット(380円)」を購入し、境内のご神木「巳の神杉」にお供えしました。大神神社では、蛇は「巳(み)さん」と呼ばれ、福徳をもたらす霊威として崇められているそうです。
※4 酒の神様と信仰される大神神社のお膝元で唯一現存する老舗酒造。
◆大神(おおみわ)神社
住所:奈良県桜井市三輪1422
電話:0744-42-6633
拝観料:無料 ※宝物収蔵庫は有料(大人300円 高校生以下100円)
古墳づくしのリトリート旅を終えて
ご神体「三輪山」へ続く、今も昔も変わらない「山の辺の道」。
クラファンがきっかけで始まった奈良旅でしたが、気が付くと壮大なエネルギーを感じる浄化の旅となっていました。「cofunia」ではゆったりとリラックスした気を、「山の辺の道」では時を超えた悠久の力を、「大神神社」は凛としたご神気を受け取り、家に帰ってからも旅の余韻の多幸感にじんわりと包まれています。新しい出逢いやご縁もあり、古墳に導かれたような旅となりました。
「cofunia」は3月20日グランドオープン予定です。とても素敵な宿なので、気になる方はHPをチェックして、古墳からたくさんパワーをもらってくださいね。