深谷市出身の旅色LIKESライター・ERIが、渋沢栄一ゆかりの地を案内する街歩きイベントを開催
旅色LIKESライターのERIです。9月28日に地元の埼玉県深谷市で初の主催イベントを開催しました。深谷市は、新一万円札の顔になった渋沢栄一の生まれ故郷です。今回は、渋沢栄一記念館や中の家などゆかりの地をルートにして、旅色編集部員と全国各地から集まった旅色LIKESメンバーに案内しました。不安な気持ちもありましたが、楽しんでくれた様子。案内することで、住み慣れたまちに新たな発見もあり、イベントを通して地元により愛着がわきました。イベントの様子をご紹介します。
目次
旅色LIKESライターERI、初の主催イベント開催
私の地元・埼玉県深谷市は、新一万円札の顔となった渋沢栄一の生まれ故郷です。地元のいいところをもっと知ってもらいたい! という思いから、旅色LIKESでイベントを企画。9月28日(土)に全国から集まった13人のメンバーと新札発行で盛りあがる深谷市内の渋沢栄一ゆかりの地4箇所を含めた街歩きを行いました。
スタートは「深谷駅」
集合場所は、街のシンボルでもある「深谷駅」。東京駅のような赤レンガ造りで、「関東の駅百選」にも選ばれています。深谷で作られたレンガを東京駅で使っていることから東京駅風に作られたのだそう。1887(明治20)年に渋沢栄一が日本煉瓦製造株式会社のレンガ工場をここ、深谷に設立しました。工場から深谷駅にレンガを運ぶための線路跡は、現在遊歩道となっています。今回は行くことはできませんでしたが、現在日本に4基しか残っていないレンガを焼く窯「ホフマン窯」が現存しています。そのため街のいたるところにレンガ造りの建物が残っています。深谷といえばネギのイメージがあると思いますが、“レンガの街”でもあるのです。ただ深谷駅はレンガ風のタイルです(笑)。2020(令和2)年に新庁舎が完成した深谷市役所は本物のレンガを使った建物で、“レンガの街”をアピールしています。
渋沢栄一もハマった“煮ぼうとう”を「麺屋忠兵衛 煮ぼうとう店」で
深谷市営くるりんバスにのって30分ほどで旧渋沢邸「中の家(なかんち)」へ。中の家に隣接する「麺屋忠兵衛 煮ぼうとう店」でランチをいただきます。煮ぼうとうは深谷の名物で、栄一の好物だったのだそう。渋沢家の大番頭さんの家屋を改装し、店内では直筆の掛け軸を見ることができます。醤油ベースの汁に、つるっとのど越しなめらかな平打ち麺が入った煮込みうどん風。上にはたっぷりの野菜がのって、特産品の深谷ネギはトロッとなるほど煮込まれ、口に入れると甘さが溢れます。冬が旬のネギ! これからの時期が特におすすめです。メニューは煮ぼうとうのみか、深谷産の山芋を使ったとろろご飯付きかの2種類。ほとんどの人がとろろご飯付で、ペロッと平らげてました。
◆麺屋忠兵衛 煮ぼうとう店
住所: 埼玉県深谷市血洗島247-1
電話: 048-598-2410
営業時間:11:00~14:00
定休日:年末年始 ※臨時休業あり
旧渋沢邸「中の家(なかんち)」で生活の息遣いを感じる
渋沢栄一が23歳まで過ごしていた家は火事で焼失してしまったため、現在あるのは栄一の妹夫妻が建て直したものです。この地域に渋沢家が何軒かあり、なかでも真ん中にあったことから「中の家(なかんち)」と呼ばれています。130年以上経った2023(令和5)年に改修を行い、母屋内部が公開されました。さらにアンドロイドシアターが設置され、80歳頃のアンドロイド栄一が和服姿で地元の思い出を語ってくれます。あまりにリアルに再現されており、本物の人かと思いました。2階では、2021年から放送された大河ドラマ『青天を衝け』に使われた小物が展示されているほか、新紙幣の解説パネルが設置されています。新紙幣に施された3Dホログラムや目の不自由な方が触ってわかる識別マークなどの技術が紹介されていて、旅色LIEKSメンバーは新札を手にしながら技術の精巧さに驚いていました。
◆旧渋沢邸「中の家」
住所:深谷市血洗島247-1
開館時間:9:00~17:00 (最終入場 16:30)
休館日: 12月29日~1月3日
入場料:無料
本物そっくりのアンドロイドがいる「渋沢栄一記念館」
旧渋沢邸「中の家」から10分ほど歩くと「渋沢栄一記念館」に到着。書き残した書画や写真と年表で彼の歴史を詳しく知ることができます。またこちらには、70歳ころの姿を再現した“渋沢栄一アンドロイド”が、大正時代に唱えた「道徳経済合一説(どうとくけいざいどういつせつ)」を現代風にアレンジして語ってくれます。現代風にしても私にはちょっと難しいお話でした……。アンドロイドは、新一万円札の顔に選ばれ、2021年の大河ドラマの主人公にも決まったことを機に寄付により制作されました。まばたきやしぐさなどの細かな動きだけでなく、声までも様々な技術を駆使して本人に近づけています。展示されている肉声も聞きましたが、ほんものそっくりでした。 一見の価値ありです。
館内の資料室では、渋沢栄一の生涯をボランティアガイドさんが説明してくれました。尊王攘夷思想だった栄一がのちに徳川慶喜公に仕えたことや、渡欧したことでその後の人生に大きな影響を受けたことなど、新発見ばかり。約500もの企業に関り、約600の社会公共事業、教育機関の支援にも尽力したと聞き、改めて偉大な方だと実感しました。お札の顔になったのも納得です。
◆渋沢栄一記念館
住所: 深谷市下手計1204
開館時間 :9:00~17:00
休館日:12月29日~1月3日 ※臨時休館あり
入館料:無料
※「渋沢栄一アンドロイド講義」は人数にかかわらず予約が必要です。
偉人を支えた「尾高淳忠(おだかあつただ)」の生家へ
渋沢栄一記念館から歩いて10分ほどの場所にあるのが「尾高淳忠生家」。江戸時代後期の建物で裏には見事なレンガ造りの土蔵があります。尾高淳忠は、渋沢栄一の従妹であり、世界遺産「富岡製糸場」の初代場長を務めた方です。学問に秀でていて、17歳から幕末のころまで、塾を開き近くの子どもたちに教えていたのだそう。渋沢栄一もここで学び、今後の人生に大きな影響を与えられました。こちらでもボランティアスタッフの方が解説をしてくれます。
◆尾高淳忠生家
住所:深谷市下手計236
見学時間:9:00~17:00
料金:無料
ノスタルジック漂う空間「七ツ梅酒造跡」
深谷市は、日本橋から京都へ続く中山道の宿場町でもありました。街道沿いで300年以上続いた「七ツ梅酒造跡」は、ミニシアターとして活用され、アンケートやリクエストによって上映作品が選ばれます。ほかにも敷地内には、カフェや古本屋も。赤レンガを使った建物や煙突が残ったノスタルジックな空間を利用して、数々の映像作品の撮影にも使われています。
◆七ツ梅酒造跡
住所:埼玉県深谷市深谷町9-12
※営業時間や定休日は店舗によって異なる
この跡地に2016年にコーヒー専門店をオープンした焙煎士・五十嵐さんにインタビューもしています。
イベントを開催してみて
地元・深谷市の偉人・渋沢栄一が、新一万円札の顔に選ばれたことをきっかけに考えた今回のイベント。渋沢栄一の偉大さもさることながら、街の人達が歓迎してくれていて深谷の良いところを知ってもらいたという思いが伝わってきました。私自身も普段は車移動がほとんどで、初めて歩いた道も多くありました。だからこそ見つけられたご当地マンホールや学生の頃に来たことのある懐かしいお店、新しくなった街角など、地元を客観的にみることができて、より深谷のことが好きになりました。楽しんでもらえるか不安でしたが、参加してくれた皆さんが深谷を楽しんでくれて、地元を案内できてよかったです。参加いただいた皆さん、ありがとうございました。ぜひ深谷に遊びに来てください。