【ライター講座】『散歩の達人』編集長・久保拓英さんに学んだインタビュー記事のコツ

レポーターのERIです。毎回さまざまな課題から実践的にライティングスキルを学べる旅色のライター講座。12回目となる今回は、『散歩の達人』編集長の久保拓英さんに「インタビューの極意を学ぼう」をテーマに開催されました。今まで多くの取材経験をされている久保さんが教えてくれたのは、話の引き出し方だけでなく、ネタの探し方や文章のまとめ方まで。学んだポイントをいくつかご紹介します。
目次
講師は『散歩の達人』編集長・久保拓英さん
月刊散歩の達人編集長。2001年入社。広告営業、ムック編集を経て、2002年4月より2017年まで月刊散歩の達人の編集に携わる。2022年7月に散歩の達人編集長として着任。雑誌編集のほか、Youtubeにて「全力編集長」の運用も行う。
今年4月に渋谷のアートトイレを巡るイベントでナビゲーターをしていただいた久保さんが、今度はライター講座の講師として登壇。講座は2024年6月に19:30~オンラインで開催され、23名が参加しました。今回は「インタビューの極意」をテーマに、街を深堀りする雑誌『散歩の達人』で培ってきたお店の方にインタビューするときの心構えやマナー、読みやすい文章にするための書き方などのコツを教えていただきました。
ネタ探しのコツ
旅に出るときにも悩むのがネタ。どこに行こうか、何がトレンドなのか、すごいスピードで変わっていく状況についていけないこともあります。久保さんは『散歩の達人』を毎月1冊出されていて、取り上げるネタはどうやって探しているのか、気になっていました。大きく3つのアイディアポイントがあるそう。
1. 話題になっているテーマ
SNSを駆使しながらリサーチをします。そのまま使うわけではなく、カフェ一つでも、味やロケーションに絞るなど切り口をひねって考えるようにしているそう。
2. まだ気づかれていない埋もれている「隙間のネタ」
話題になっていることはだれもが取り上げているので、関心が薄いものを「今、おもしろいもの」として紹介するのだそう。例えば、最近「町中華」という言葉が多く使われるようになりましたが、この言葉を初めて発信したのは散歩の達人だったそうです。地元にあった中華屋をきっかけに「町中華」取り上げ、やり続けたらここまで認知が高いものとなりました。
3. 自分のハマっていることをネタにする「趣味全開」
自分が好きなものを掘り下げて発信します。
ほかにも編集者によって探し方は様々あるそうですが、共通しているのは「とにかく歩く」こと。 歩いて現地の人に聞いてみると、気づかなかったことや埋もれているネタなど新たな発見に繋がると教えていただいたので、積極的に外に出ようと思いました。
インタビューのコツ
まず必要なのは「事前準備」です。久保さんは相手のことを調べたうえで、当日どんなことを質問するかリストにして作っていました。質問項目の中には、
・なぜそのお店を開こうと思ったか
・こだわりはどこにあるのか
・街にとってどういう存在なのか
などを中心にいれるのだそう。
こだわりの部分は記事の主軸となる要素です。いきなり「こだわりはどこですか」と聞くのではなく、飲食店であれば事前に足を運び「以前○○を食べに来たことがあるのですが、▲▲なところとかこだわりですか」などと体験したことを踏まえて聞く。
またインタビューで大切なのは「信頼関係」。相手の時間をいただいて、インタビューを“させてもらっている”のです。インタビュー相手にとってスムーズに気持ちよく受けてもらえるよう、事前準備が大切になってきます。久保さんのお話を聞いていて面白かったのは、信頼関係を築けたかどうかの判断するポイントの一つが「年齢を聞き出せたかどうか」という点です。人によっては積極的に話したがらない人もいるので、そこを聞くことができたということは、お近づきになれた証拠だと話されていて、納得しました。
読みやすい文章作成のコツ
文章を作成するコツまで教えていただきました。1行目にパンチワードを持ってくることが大事なことのほかに、インタビュー記事ならではのポイントは「セリフを織り交ぜる」ということがポイントです。セリフを織り込んでいくと文章にリズムと展開をつけることができ、雰囲気をより届けることができます。
終わりに
久保さんによるインタビューの実践も見せていただきましたが、インタビュアーから自然に言葉を引き出していて、みていて和やかな雰囲気なのが伝わってきました。私も久保さんにインタビューされたらで何でも喋ってしまいそうです。ここで紹介した内容はほんの一部で、インタビューの広げ方、ネタの探し方、文章のコツ、実践、事後課題までとても充実した講座でした。後日講座をきっかけに実際にインタビューへ。とても緊張しましたが、素敵なお店の方と知り合うことがで、興味深いお話が聞けて世界が広がる楽しさを知りました。
最後に「楽しんで書くことが一番。その気持を伝えられるように頑張って」と久保編集長の激励が心に響きました。今回の学びを糧に今後もインタビュー記事にも挑戦していこうと思います。久保さん、今回はこのような機会をいただきありがとうございました。