山口市民が日常使いするためあまり情報がなかったけれど山口市は路地裏の何気ないお店までおいしい。初訪問だからこそ驚いた食べないと後悔するおいしいものとおやつ6選
山口県山口市の名物ってなんでしょう?パッと思い浮かばない人のために、旅色編集部のなかでも旅における食の優先度が高いメンバーが、山口市で食べて感動した味をご紹介します。名物を抑えつつ、たまたま見つけたおいしいものも入っていますが、すべて「これを食べるためだけに行く価値あり」と本気で思っています。
目次
山口市のソウルフード 春来軒の「ばりそば(並)」900円
山口市のソウルフード「ばりそば」。一見すると「あんかけかた焼きそば」のようですが、まったくの別物です。市内のいくつかのお店で提供していますが、店舗ごとに味がまったく違うそう。今回は、ばりそば本舗の春来軒へ伺いました。昼時には行列になるほどの人気店で、店内は常に賑わっています。
上にかかっているのは、餡というよりスープのような軽さで、爽やかな酸味があります。野菜がたっぷりなので、さらにさっぱり。麺は、鶏を炒めて抽出した油「黄金鶏油(おうごんけいゆ)」で揚げ焼きされているとのことで、コクはあれどしつこくありません。平日のランチタイムには餃子やおむすびがついたセットもあり、そのボリュームに戸惑いましたが、ばりそばを食べ終えたあとには納得。この軽さなら餃子もおむすびも食べられそうです。ちなみに、サイズは並のほか、小750円、大1,050円、麺の焼き具合はバリ、カタ、ヤワから選べます。きっとこのカスタマイズ性も人気の理由です。
元祖ばりそば本舗 春来軒 中市店
住所/山口県山口市中市町4-27
電話/083-920-4107
時間/火・木~日曜日11:00~20:00、月・水曜日11:00~15:00
休み/なし
全国民、懐かしいと思う「昭ちゃんコロッケ」130円
一の坂川付近で、ふっと目についた「全国手造りコロッケコンクール金賞受賞 昭ちゃんコロッケ」の看板。食べてみると、普段の暮らしのなかでしっかりとおいしい、「晩ごはんのおかずが昭ちゃんコロッケの日はアタリ」と思えるコロッケでした。
昭ちゃんコロッケは、昭和62(1987)年に開催された「全国食肉産業展」のコンテストで金賞を受賞した品。全国にその名を轟かせつつも、市民に愛され続ける素朴さもあります。形はクラシックな小判型で、衣が薄く、おやつにもちょうどいいサイズ。ねっとりとしたお芋の舌触りと甘さで満足度があります。昭ちゃんコロッケのほか、カレーコロッケ(130円)やピコロ(コロッケをベースにマカロニ入り・130円)などユニークなものも。串カツも「国産牛すじと玉ねぎ」や「豚バラ」など充実で、市民の食卓を格上げしています。
昭ちゃんコロッケ
住所/山口市銭湯小路15
電話/083-922-1005
おっとり典雅なおやつ 御堀堂の「生外郎(なまういろう)」140円
関東地方では名古屋や小田原の外郎がお馴染みですが、山口市も外郎が名物。しかも多くの地域がもち米を使っているのに対して、山口市の外郎はわらび粉を使っているため舌ざわりがみずみずしいんです。お店毎に味も見た目も違いますが、わらび粉を使っているのは共通とのこと。私は山口駅前や湯田温泉にもお店がある御堀堂(みほりどう)の生外郎を選びました。
むっちりとしてはいますが、水ようかんのようなさっぱりさもあります。なにより、わらび粉を使っている、という特徴があるのでお土産話にもぴったりです。味は小豆を使った白外郎、黒糖を使った黒外郎、抹茶を練り込んだ抹茶外郎の3種あり、日持ちは購入から3日間。もう少し日持ちがする真空パックのタイプもあり、食感が生外郎よりもしっかりしています。お土産といえば、私が立ち寄った山口駅のお店には、御堀堂の外郎が描かれた小さな便せんがありました。むっちり感を表したイラストがたまりません。
もう一つだけ。御堀堂の店内にお店の由来が記された立て看板がありまして、そこに書かれていることが素晴らしいんです。以下、一部引用します。
――御堀堂の外郎はむしろひなびた古めかしいものですが、その心身の安らぐ様なおっとりした舌ざわりと高雅な風味はこの菓子ならではの味わえぬもの。
“おっとり”した舌ざわりで、外郎を食べたときのほっとした気持ちを表現するなんて秀逸。古めかしいなんてとんでもない! 典雅なお菓子を今も食べられる幸せを噛み締めましょう。むっちりと。
御堀堂本店
住所/山口市駅通り1-5-10
電話/083-922-1248
時間/8:00〜19:00
休み/年中無休
新・山口名物! 長州苑 5縁CAFEの「飲む外郎」500円
山口市の名物・外郎つながりでいえば、山口の新しいご当地ドリンクが飲む外郎です。冷たくてトロリとしているものって、少ないと思いませんか? ゆえに喉越しに衝撃を受けました。
ひんやりトロリとした飲む外郎は、しっかりとあんこの味がして、つぶあんの舌ざわりもあります。飲み進めるうちに、上の生クリームを混ぜると洋風に変わります。流行りのドリンクはいろいろ飲んできましたが、唯一無二の飲み物でした。飲む外郎は定番の「黒みつきなこ」のほか、期間限定の味もあり、今年の夏は氷と練乳をトッピングした「練乳氷」550円です。そのほか、山口の伝統工芸品大内人形を模した「大内人形焼」(250円)もおすすめとのことでしたが、平日の14時ころにはすでに売り切れ。長州苑は、国宝 瑠璃光寺五重塔を抱く 瑠璃光寺の門前にあるので、食べ逃したくない方は早めに行くことをおすすめします。店内にはお土産物が多数揃うほか、大内人形づくりなど山口ならではの体験ができます。
長州苑
住所/山口市木町1-6
電話/083-925-5850
時間/8:30~17:00 、5縁CAFE は8:30~16:00
休み/年中無休
老舗お菓子屋さんの映えるスイーツ 宝来屋の「シュークリーム」295円
地元の人に愛されている味をちょこっと体験したいのが旅人の本音。山口駅の観光案内所でおすすめのおやつを聞いてあげていただいたなかの一つが、和菓子から洋菓子、焼き菓子を製造・販売する「宝来屋(ほうらいや)」のシュークリームでした。「旅先で生菓子かー」と諦めない先に、感動があります。
人気のシュークリームには、クリームがパンパン、というよりシュー生地のおふとんで挟んでいるような気取らなさです。それでもぺろりと食べられるのは、生クリームとカスタードが混ざったような軽い甘みと口溶けのクリームがポイントのようです。宝来屋は昭和21(1946)年創業とのことですが、80年近くも支持されるって偉業です。
生菓子は難しいですが、ほかのお菓子もいつもの暮らしに寄り添ってくれるようなやわらかな雰囲気で、買ってかえらずにはいられません。
宝来屋
住所/山口市中河原3-3
電話/083-922-0391
時間/月~土曜日11:00~18:00、日曜日11:00~16:00
多彩さもおいしさ しまうま屋の「シュークルート」1,000円
山口市がいま注目を集めるきっかけになった『ニューヨーク・タイムズ』でおでん屋さんが紹介されていますが、地元の方に聞いてみると特におでんが有名なわけでもないそう。そう、山口市は“オリジナルのお店が多く、一色にならないんです”。(山口観光コンベンション協会より引用しました)
それは食も同じこと。路地裏に何気なくあるお店もおいしいとのことだったので、ビビッときた「しまうま屋」さんにふらっと入ってみました。すると、お料理、お店の雰囲気含めて最高でした。
お店の看板に「万国惣菜 しまうま屋」とあるとおり、メニューの種類が多彩です。例えば、シュークルート(フランス)、羊串(中東)、フィッシュ&チップス(イギリス)、出汁巻き(日本)、ルーロー飯(台湾)などなど。お店の方に聞いてみると、旅するうちに覚えたとのことですが、肩ひじはらずに世界各国の料理を食べられるなんて贅沢! しかも、なにを頼もうかなともじもじしていたら、ほかのお客さんが店主に声をかけてくれるなどアットホーム。しかも店内は、お子さんと一緒にたくさんのお料理を注文されるご家族連れ、1人で来てお酒を楽しむお客さんなどさまざまで、暮らしの一端に仲間入りさせてもらった気持ちになります。
お店はカウンターのほか、テーブル席が2つほどのお店なので、予約したほうが安心です。またメニューは時期によって変わるとのことですが、「何をたべてもおいしい」という体験を楽しんでください。
しまうま屋
住所/山口市中市町5-15
電話/090-6035-7467
「おいしい」を探せる街、山口市
わかりやすい名物があるのは、旅行客にとってはありがたいですが、“一色ではない”という山口市には自分で探す楽しみがありました。路地裏にまだまだおいしいお店がたくさんあるとのことだったので、ぜひ探してみてください。『月刊旅色8月号』では山口市を特集しますので、ぜひお楽しみに!