島崎藤村や芥川龍之介の息遣いを感じる「聴泉閣かめや」で自分へのご褒美タイムを【長野県】

長野県

2024.05.29

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島崎藤村や芥川龍之介の息遣いを感じる「聴泉閣かめや」で自分へのご褒美タイムを【長野県】

長野県の下諏訪温泉が湧き出る宿場町・下諏訪宿にある「聴泉閣かめや」に宿泊しました。ここは名だたる文豪らが愛した宿。彼らの心を惹きつけた美しい庭園や体の芯から温まるお風呂、季節を感じる懐石料理、全9室だからこその細やかな心配りなど魅力がたくさん! 滞在前の1週間は仕事で慌ただしく過ごしていた体の力が、ふっと抜ける幸せを感じてきました。宿泊の様子を旅色LIKESライター・さっかがレポートします。

目次

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「聴泉閣かめや」とは

島崎藤村が好んで宿泊した「富士の間」

皇女和宮さまや参勤交代の大名も宿泊した「上段の間」

歴史ある名湯で日ごろの疲れを癒す

美しいお庭を眺めながら、季節を感じるお食事

宿から歩いてすぐの「諏訪大社下社秋宮」

最後に

「聴泉閣かめや」とは

宿場町のひとつ下諏訪宿は、旧中山道と甲州街道の分岐点にあり、古くから交通の要所として栄えてきました。「聴泉閣かめや」は、下諏訪宿の本陣宿として長い歴史を誇り、風格のある門と玄関までの道に咲くツツジの花が、品のよさを際立てています。芥川龍之介や与謝野鉄幹・晶子、島崎藤村が宿泊したこともあり、歴史好き、文学好きな方にもたまらないお宿です。

聴泉閣かめや

当館スタッフは、以前『開運!なんでも鑑定団』(テレビ東京系)に出演したことが。番組に出品した芥川龍之介の手紙は談話室横の展示スペースで見ることができます。宿の方が気さくに声をかけてくれて、絶妙な距離感が心地よく感じました。

島崎藤村が好んで宿泊した「富士の間」

聴泉閣かめや
聴泉閣かめや

和室の入口にある立派なふすま。この絵を見るためにこまめに閉めていました。

聴泉閣かめや

床の間には島崎藤村氏が宿泊した記録と御幣(ごへい)。御幣は周辺のお店や資料館など下諏訪では至るところに祀られています。

全9室のなかで私たちが宿泊したのは、島崎藤村氏が『夜明け前』を執筆した昭和初期ごろに好んで宿泊したという「富士の間」。客室は14畳の広々した和室で、まちとは反対側に位置するため静かで、のんびりと過ごせます。

聴泉閣かめや
聴泉閣かめや

覗く角度を変えると見える色も変わります。

安土桃山時代に造られた林泉式庭園が一望できます。春になり青々とした景色のなかに、満開のツツジと散りかけの桜が色を添えていました。さらに窓に近づくと滝もあります。こんな素晴らしい庭園を自分たちの部屋から独り占めしていいんですか、と思わず感嘆の声が漏れていました。

聴泉閣かめや

窓辺の広縁には椅子とテーブルが置かれていて、お茶を飲んでくつろぎながらぼんやりと庭を眺めるのは至福のひと時。時折、鳥がやってきて木の枝の間を飛び回っては、どこかへ去っていきました。仕事や通勤ラッシュの大渋滞などで溜まる日々の疲れを忘れさせてくれる、ゆったりとした時間が流れています。大きな窓が解放感を与えてくれながらも本当に静かな空間。島崎藤村も庭を眺めつつ執筆活動をしていたのでしょうか。

皇女和宮さまや参勤交代の大名も宿泊した「上段の間」

聴泉閣かめや
聴泉閣かめや

窓際にある椅子から庭園を眺めてゆっくり過ごすのがおすすめです。

聴泉閣かめや

大きなテーブルに敷かれたクロスも部屋の雰囲気に合っていて素敵!

1階のフロント近くには、孝明天皇の妹・和宮(かずのみや)さまが14代将軍・徳川家茂に嫁入りするときや大名たちが参勤交代のときに宿泊した「上段の間」が。現在は宿泊者の共用スペースとなっていて、館内でお庭と滝が一番間近に見える絶景スポットです。和宮さまや大名たちと同じ空間に身を置き、当時に思いを馳せながら、窓辺に置かれた椅子に座って、滝の音をBGMに読書なんていうのもいい過ごし方かもしれません。
「上段の間」には皇女和宮さまがお泊りになられた当時の、狩野派による立派な杉戸も飾られているので、じっくり鑑賞してみてください。

歴史ある名湯で日ごろの疲れを癒す

聴泉閣かめや

夕日が沈む様子をみることができます。

聴泉閣かめや

伝説「御神渡り」を表現している石庭。

聴泉閣かめや

シャンプーとコンディショナーが何種類か用意されているのが女性にはうれしいポイント。

聴泉閣かめや

湯上りに休めるスペース。ここに置かれていた花札を楽しみました。

3階にある大浴場に湧き出るのは、歴史ある名湯下諏訪温泉。その昔、お妃が上社から下社の地に移り住むとき、愛用していた温泉を綿に浸し“湯玉”として運びました。“湯玉”を置いた場所からは温泉が湧いたといわれ「綿の湯」と呼ばれています。

内湯と露天風呂が1つずつ。平日宿泊でしたが、ちょうどお風呂は誰もいないタイミングで混みあうこともありませんでした。下諏訪のまち並みを眺めながら、思わず「幸せ~」と声が出てしまいました。まちがちょうど夕日に染まる様子は、夢のような光景。時間帯を変えて湯あみを楽しみましたが、夜のシンと静まるまちも、朝日を浴びる諏訪大社の木々もそれぞれ刻々と表情が変わる自然のありようを見られる贅沢さを堪能しました。体の芯から温まる感覚が心地よく、お風呂からあがってもポカポカした感じが長く続きました。

美しいお庭を眺めながら、季節を感じるお食事

食事処は 「ここに2人でいいんですか」と聞いてしまったほど広い個室。窓から見えるのは、やっぱりきれいな庭です。ライトアップされた様子が美しく写真を撮る手が止まりません。

「附出し」、かわいらしい三色団子は気分も盛り上げます。

「金目鯛の沢煮椀」、魚の出汁の味がよく出ています。

「若筍煮 蕗 巻湯葉 木の芽」、お出汁の味がよく染みていました。

「桜鱒蕗味噌焼」、身がぎゅっと詰まっていて、蕗味噌が味のいいアクセント。

「桜海老御飯」、桜海老の味が御飯にしっかりついています。

一緒にいただいた日本酒「御湖鶴(みこつる)」はすっきりとして懐石料理にぴったり。

食材や見た目から春を感じます。附出しの三色団子は、百合根でつくった団子だそう。味を食べ比べるのも楽しいものでした。どのお料理も全てが味わい深く、味に関することだけで話題はつきません。メニューは季節によって異なります。

「留肴 甘鯛唐揚げ 蟹餡掛け たらの芽天婦羅 蕎麦篭盛り」

「留肴 甘鯛唐揚げ 蟹餡掛け たらの芽天婦羅 蕎麦篭盛り」

特に感動したのは「留肴」。甘鯛の唐揚げに蟹庵がかかったものとたらの芽天婦羅が、蕎麦でできた篭に盛られたものです。それぞれの素材の味が混ざり合って豊かな味を出していました。篭部分は、蕎麦らしい風味を味わえながらも、かた焼きそばにも似たパリパリ感。餡でしっとりした部分があるのもまたいいです。初めて味わう蕎麦の楽しみ方でした。

御飯に合うおかずばかりで、気づけば御飯をおかわりしていました。

朝と夜で違って見えるお庭の雰囲気も素敵です。

朝食のお豆腐は宿でつくったものだそう。大豆の味がしっかりして好みの味でした。またしじみの味噌汁は、直前まで卓上の鍋で温めてくれる気配りがうれしかったです。前日、ついたくさん日本酒を飲んでしまった胃にも優しく染みわたります。

宿から歩いてすぐの「諏訪大社下社秋宮」

諏訪大社下社秋宮

神楽殿

諏訪大社下社秋宮

幣拝殿と左右片拝殿。

諏訪大社下社秋宮

幣拝殿の彫刻がすばらしい。

諏訪大社下社秋宮

敷地内に湧く御神湯。

宿から諏訪大社下社秋宮は歩いてすぐ。朝のお散歩やチェックイン後の立ち寄りにもちょうどいいです。重要文化財である神楽殿にある推定500キログラムある「しめ縄」と、両脇に立つ高さが約1.7メートルの「狛犬」に圧倒されました。すごく守ってもらえそうな気分になります。また幣拝殿(へいはいでん)の繊細な彫刻に魅了されました。

◆諏訪大社下社秋宮
住所:長野県諏訪郡下諏訪町5828
電話:0266-27-8035
営業時間:授与所 8:30~17:00、宝物殿 9:00~16:00

「諏訪大社下社秋宮」公式HPはこちら

新鶴本店

下諏訪唯一の酒蔵。中には有料試飲が楽しめるカウンターもあります。

近くにはしっかりとした甘さがおいしい塩羊羹が有名な、老舗和菓子店「新鶴本店」。もう少し足をのばすと下諏訪唯一の酒蔵「諏訪御湖鶴酒造場」もあります。夕食のときに出てきた日本酒です! また、様々な場所で温泉が湧いています。宿場町のまち並みを楽しみながら訪れてみてください。

◆新鶴本店
住所:長野県諏訪郡下諏訪町木の下3501
電話:0266-27-8620
営業時間:9:00~17:30
定休日:水曜日
駐車場:あり

◆諏訪御湖鶴酒造場
住所:長野県諏訪郡下諏訪町3205番地17
電話:0266-75-1172
営業時間:10:00~16:30
定休日:水曜日

「新鶴本店」公式HPはこちら
「諏訪御湖鶴酒造場」公式HPはこちら

最後に

文豪の息遣いを感じながら、おいしいお料理に、芯から温まる温泉など、ゆっくり流れる“とき”を感じる宿泊体験ができました。たまには日常の忙しさを忘れる時間も大切ですね。ぜひ大切な人と訪れて休息時間を過ごしてみてください。

下諏訪温泉 聴泉閣かめや

長野県諏訪郡下諏訪町横町木ノ下3492

下諏訪温泉 聴泉閣かめや

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#温泉 #長野県 #宿泊 #お試しステイレポ #下諏訪温泉

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