【石川県】星野リゾートの「界 加賀」で夫婦旅、伝統美につつまれ心華やぐ滞在

石川県にある星野リゾートの「界 加賀」は、1300年の伝統を持つ山代温泉の温泉文化と伝統美、そして温泉旅館ブランド「界」ならではのおもてなしで宿泊客を癒やしてくれます。今回は、そんな界 加賀にLIKESメンバーちーちゃんがご夫婦で宿泊。見て、触れて、食べて、体験して……。思う存分加賀の伝統を満喫できたそうです。
目次
老舗旅館を前身とした「界 加賀」

界 加賀HPより引用
星野リゾートの温泉旅館ブランド「界」は地域の魅力を再発見できる小規模温泉旅館です。今回訪れた「界 加賀」は1300年の歴史を持つ名湯、石川県・山代温泉にあります。前身は1624年創業の老舗旅館「白銀屋」。当時の面影を残す佇まいなど、歴史を継承しながらも新しい感性が息づく温泉宿です。
「見る楽しさ」が詰まったフロントでさっそく伝統美を楽しむ
金沢から特急で約30分。最寄りの加賀温泉駅からはタクシーを利用し10分ほどで到着。玄関でスタッフの方が笑顔で迎えてくださり、気持ちの良い旅のはじまりを感じました。
暖簾をくぐると前庭・中庭・茶庭と3つの庭園があり、奥の茶庭から川が流れるように空間が繋がっています。中庭には加賀友禅をモチーフにした九谷焼のタイルがあり、カラフルな模様が目を引きます。夜になると「加賀水引」がライトアップされ、結び目の合間からこぼれる柔らかいあかりが印象的でした。和を感じる凛とした空気を感じさせられます。
館内は加賀の伝統美が随所に散りばめられていて“見る”楽しさがあります。さっそくフロントで加賀水引のオブジェ「光降る」がお出迎え。上を見上げるとまさに光が降ってくるようで、幻想的な空間が広がっています。「オブジェの中央あたりから天井にむかって撮影すると映え写真が撮れる」とスタッフの方が教えてくれたので挑戦してみました。フロントの天井は金物を一切使わず、丸太のみを組んだ「枠の内(わくのうち)」という構造でできています。伝統的な建築方法で、現代では同じ材料で再現することが難しい希少価値が高いものだとか。
界 加賀の前身であった白銀屋は、陶芸家であり美食家でもある北大路魯山人(きたおおじろさんじん)の定宿としても有名。客室棟へ向かう途中のギャラリーには魯山人作の陶器が展示されています。
アメニティにもこだわり有り、伝統尽くしな「ご当地部屋」
今回泊まった和室は、地域の文化を存分に体験できる「ご当地部屋」でもあります。九谷焼、山中漆、加賀水引、加賀友禅といった石川・金沢エリアが誇る伝統工芸が随所に散りばめられた客室です。入り口の部屋番号プレートやルームキーまで九谷焼で、障子は加賀水引があしらわれており、とにかく伝統尽くし。伝統工芸ではないものを見つけるのが難しいです……。九谷焼の茶器が用意されているのでティータイムも加賀の文化を楽しめます。
さらに、室内には宿泊のプレゼントとして界 加賀オリジナルの風呂敷があり、この中に歯ブラシなどのアメニティが入っています。手提げ代わりにもなる風呂敷は使い方や結び方が書かれた案内が添えられているので、勉強になります。ちなみに、この丸が連なったオリジナルのデザインは「お客様と界との縁がつながるように」という願いが込められているそうです。素敵ですね。
伝統の技を体験! 金継ぎ体験で器の魅力に浸る
界 加賀はアクテビティも豊富で、滞在中も飽きずに過ごせるのも魅力のひとつ。今回は館内にある工房「金継ぎいろは」で金継ぎ体験に挑戦。金継ぎ工房が温泉旅館にあるのは界 加賀だけなんですよ。金継ぎには複数の工程があり、私たちは「埋め」と呼ばれる、欠けた箇所を漆のパテで埋める作業を体験。スタッフの方が丁寧に教えてくれるので初めてでも安心です。「埋め」のほか、継いだ部分に金属粉を蒔く「粉蒔き」、蒔いた金粉を固める「固め」、のいずれかを体験できます。割れてしまった器を修復する金継ぎは「ものを大切にする心」によって生まれた伝統文化でもあります。今回の体験でその奥深さに触れられました。また、集中して作業を行うからか瞑想のような感覚でリフレッシュもでき、夫婦揃って貴重な体験になりました。ちなみに、実際に宿で使用している九谷焼の器に欠けや割れが生じた時には、この工房でスタッフ自らの手によって金継ぎをしているそう。器チェックしようね! と、この後の夕食の楽しみが増えました。
プライベート空間でいただく「器と料理のマリアージュ」
夕食は半個室のプライベートな空間でいただきました。「器は料理の着物」と唱えた魯山人の料理哲学にならって「器と料理のマリアージュ」がテーマ。地元の九谷焼作家に依頼して制作した界 加賀オリジナルの九谷焼をはじめ、彩りも個性も豊かな器が使用されています。金継ぎ体験後だったので、器への愛が深まり、料理とのマリアージュを最高に楽しめました。金継ぎされた器にも巡りあえて嬉しかったです。
私たちが頂いた「特別会席」は、蒸した鮑がメインで、締めには旨味をぎゅっと閉じ込めた「のどぐろ土鍋ごはん」が登場。このエリアは四季を通じて新鮮な海の幸が水揚げされているので、魚介の鮮度が抜群!また、サービスをして下さった小湊さんからは、温泉街のおすすめスイーツや観光情報など旅の提案もいただきました。お料理が素晴らしすぎて大興奮な上に、おもてなしの姿勢にも大感動でした!
夜は加賀獅子舞、朝は温泉でさらに加賀の魅力にハマる
毎晩21:30から加賀で約500年前から続く加賀獅子舞を独自にアレンジした上演があり、ちょうど夕食後だったので見学。近くにきたときに思わず声をあげてしまうくらい迫力満点のステージで、上演後には記念撮影もできるので旅の思い出になります。力強く獅子舞を演じていた方が女性だったことにもびっくり!
翌朝は大浴場前の畳エリアにて開催される現代湯治プログラム「温泉いろは」に参加。山代温泉の1300年に渡る歴史や「美人の湯」と言われるほどの泉質、効果的な入浴法を学べます。なかでも7:00からの「おはよさーん体操」では、湯上がり処で深い呼吸とともにストレッチし、リフレッシュできます。朝の目覚めにちょうどいい運動量で、温泉につかった後の参加がおすすめだそう。
大浴場には九谷焼のアートパネルが4枚並び、伝統を感じながらゆっくりと温泉を楽しめます。湯上がり処にはアイスキャンディーとドリンクがあり、私のイチオシは加賀ゆずみつジュース! 金沢の養蜂場でとれたはちみつを使用していて、ちょうど良い甘さで後味もすっきり。入浴後の体に染み渡りました。
宿の目の前には公衆浴場、総湯と古総湯の2つの外湯があります。宿泊客は客室の風呂敷を持参することで古総湯に無料で入浴できます。古総湯の中は明治時代の総湯を再現したレトロな雰囲気。温度が高めなので、朝の入浴がおすすめです。私は「おはよーさん体操」参加後に行って行きました! 洗い場やタオルの用意はないので風呂敷とあわせてタオルの持参もお忘れなく。
最後に

加賀の伝統や文化を楽しみながら滞在できる界加賀。見て、触れて、食べて、体験して……。加賀の文化や和に浸りながら、豊かな経験ができました。何よりも、スタッフのみなさんが楽しみながら仕事をされている姿が印象的。提供する料理、器や作家の歴史、周辺のお店・観光地など、情報や知識を日々更新。常に、お客様が滞在中に楽しんでもらうにはどうしたらよいかを考え、アイデアを出しあっているのだそう。界 加賀への愛やおもてなしの心を随所に感じ、ホスピタリティの高さを感じました。私たち夫婦は今回の旅ですっかり界ファンに。心もお腹も大満足な滞在となりました。今度は蟹シーズンに是非伺いたいです。みなさんもおもてなしと美食を味わいに、石川県・山代温泉に足を運んでみませんか? この場所で大切にされ続けた文化が今も息づく界 加賀では、伝統美に囲まれながら心華やぐ時間を過ごせますよ。
◆この記事を書いたメンバー

ちーちゃん(5期生)
旅のベテランに囲まれた空港での勤務を機に、様々な場所を訪れるようになりました。地元の方と交流しながら情報収集するのが好きです。コーヒーや地ビールを味わうことも楽しみのひとつ。旅先でおさめた写真と共に「旅の色」をUPしていきます。