6年目のドローン旅作家・とまこがドローンの免許を取ったよ! これから見逃せない新“国家資格”ゲットの道のり
できたてホヤホヤの国家資格「二等無人航空機操縦士」に合格しました! うれしい! 改正航空法が2022年12月5日に施行され、いわゆる“免許制度”が始まったことは知っていたけれど、どこでどうやって取るのか、いまいちわからなかった数ヶ月。今回実際に取得したので、リアルな情報をお届けいたします。正直、旅色LIKESの読者でこの資格を取りたい方は少ないと思うけど、これから世の中に拡大していくドローンのことをポップ気味に案内するので、社会ネタとして読んでいってください。
目次
前回の記事はこちら
こちらは「二等無人航空機操縦士」を取得する前に書いたものです。ドローンの魅力についても触れていますが、それだけではなく、免許制度についてもざっくりと紹介しています。大まかに把握するために、こちらも参考にしてくださいね。
免許を取るためにドローンスクールは必須?
前回のおさらいになりますが、免許を取るためにスクールへ通うことは必須ではありません。とはいえ、実質必須と言えるでしょう。
ドローン免許の取得と似ているものは、自動車免許の取得方法。学科試験は全員試験会場に行くけど、実地試験は教習所で合格することで免除される方が多いですよね。でも、教習所に通わず、実地試験の会場で直接受ける方法も存在します。そのやり方で取った話はほぼ聞かないけど。ドローン免許もそんな感じです。
加えて、ドローンの場合は免許の取り方にもうひとステップあります。以前から民間資格が存在するので、それを考慮した仕組みになっているのです(ドローン免許制って前からあるよね? と思った方は、民間資格と混同しているからでしょう)。民間資格を持っていると、国家資格のための講習が大幅に軽減されるうえに、なぜか料金もトータルでお安く済む傾向があるようです。
なので、ドローン免許を取得するための道のりを実質ベースで言うと、はじめに民間資格を取得し、国家資格のための講習を受けて実地試験の免除を受けたのちに、学科試験を会場で受ける、という流れになります。ちなみに、民間資格とはJUIDAやJMAなど、ドローンの団体がそれぞれ認定している資格です。
国家資格のための講習が実際に開催されているのは、現時点ではひと握り
ドローンスクール自体はたくさんあるのに、どこで免許を取れるのかがよくわからず不思議に思っていたのですが、学んでみるとなるほどでした。国で指定された「登録講習機関」に指定されたスクールのみ、国家資格のための講習ができるのです。さらに、スクールごとに国の教則に従った独自の教科書を制作して認可を受けるステップ、国家資格のための特別な講師研修を受けて、国の承認を得る講師育成のステップもあります。航空法が改正されたばかりの今は、登録講習機関には認定されたものの、運営はできていないスクールも多いのです。もちろん、日々増えていますよ。
わたしが選んだスクールはJMA
JMAとは日本マルチコプター協会のこと。日本のドローンスクールの中では5本の指に入る規模で、全国に58校あります。こちらを選んだ理由は、JMAをつくった上高寛之さんの人生が痛快豪快おもしろい(詳細は別の機会で)! ということで、せっかくならこういう方のスクールがいいなと思ったのですよ。そもそも前述のとおり、登録講習機関ではあるものの、運営できていないスクールが多いという理由もあり、現時点で実際に運営されている登録講習機関は貴重ですしね。
また、JMAでも同じ理由で国家資格の講座が運営されているのは、2023年5月現在で岡山、神奈川、富山の3校になります。8月までには10校近くで、新たに国家資格のための講座が始まる予定だそう。
ちなみにわたしは昨年、この免許制に備えて別の民間資格を取っていました。民間のみの取得方法はスマートです。申し込んで受講して修了試験で取得。スクールによりますが、わたしは学科2日と実地2日でした。それを持ったうえで、JMAの国家資格のための講習を受けたというわけです。団体ごとに違いはあると思いますが、そんな団体の合わせ技ができるところもあります。
今回はJMA岡山校のドローンフィールドを動画でご覧ください。いい景色でしょう〜。
講習を受けるには国土交通省の番号が必要!? 受講の手順と講習の中身
まずはスクールを選んでください。検索するのは「登録講習機関」であるドローンスクールですよ。
続いて、スクールや受験申し込み時に必要になる「技能証明申請者番号」を取得しましょう。余談ですが、9つも漢字が続く単語ってそんなにお目にかからないですよね! 目がチカチカしますがよく見ると日本語です(笑)。そのチカチカする番号はwebで申請します。アクセス先は、国土交通省の「ドローン情報基盤システム(DIPS2.0)」。アカウントを作って、指示に従い入力&免許証のための写真などを添付して申請です。わたしの場合は番号取得までだいぶ日数がかかりました。国土交通省が忙しかったのかな? 今後もっと申請者は増えるはずなので、早めに申請することをおすすめします。
いよいよ、申し込んだスクールへGO! わたしはJMA岡山校で受講しました。実地講習と学科講習は、どちらが先でも構いません。スクールごとの方針や、申し込んだタイミングなどで決まると思います。
実地講習はわたしの場合は2日間。ノーマルなフライトの講習に加えて、「特定飛行」と呼ばれる「目視外飛行」と「夜間飛行」も受講しました。これらに合格すると2つについての国土交通省への申請が免除されるのです。
講習のためにスクールが用意された機材は「DJI Phantom 4」。理由はGPSを切ることができるから。ドローンってGPS機能を切ると空中でめっちゃふらつくのですが、講習ではそのフライトもするんですよ。ドローン歴6年目で飛ばしまくりのわたしですが、普段GPSなしでフライトすることなんてほぼないです。初めはおもしろいほどふらついて、自分に引きました(笑)。過信は一気に消え失せ、とたんに初心に帰りましたよ。なんて貴重な機会。そんなわけで、息も止めんばかりに集中して練習し、実地講習の修了試験に合格。やったー! 国家試験の実地ターンは免除です!
続いて、学科講習を別日に4時間。こちらはオンラインで受講しました。オンラインの場合は、受講者全員カメラオンで、質疑応答ができる状態にあることが国に決められた条件。法律など難しい話も続きますが、居眠りなんかしていたら一発でバレます(笑)。スクールによっては現地で対面の講習をするところもあるそうですよ。
内容は航空法やフライト技術、機材の仕組み、電波のこと、気象のこと……そして、同じ空域を使う飛行機やヘリコプターのことも学びます。つ、つ、つ、つらい!!! とはいえ、わたしにもできたから、皆さんもいける!
学科試験までのサイトをまたぎにまたぐ道のり
さて、学科講習を受けたら忘れないうちに試験を受けに行きたいのですが、いくつか必要なステップがあります。日本海事協会のwebページ「無人航空機操縦士申込システム」から、初めに申請した技能証明申請者番号を使って、受験資格の確認をします。ていうか、なんで空のテストを海のところに申し込むんだ? と突っ込みたくなりますが……海事協会は全国で試験できるシステムを持っているからかな。まぁとりあえず「空も海もお任せあれ!」と言いたくなります。海はウソですけど(笑)。
受験資格の確認ができたら、その番号を持って今度は「プロメトリック」というサイトで試験会場の選択・予約と、試験料金の支払い(二等は8,800円)。こうして受験の確認書をゲットしたら、あとは勉強しながらその日を待ちます。それにしても、あちこちでいろんなIDを作って、番号を申請して、返事を待ち焦がれて……なんだか頭がとっちらかりました。とはいえ、無事に受験できたので、皆さんもなんとかなります。
実際に学科試験を受けてきた
さて、いよいよ試験です。わたしは渋谷会場を選びました。道玄坂にあるヤマダ電機の隣のビルにある、これまた謎なのですがパソコンスクールです。免許取得の過程で一番謎だったのは受験申し込みのプロセスなので、1回まとめます。
1. 国土交通省のDIPS(web)に「技能証明申請者番号」を申請して後日取得
2. 1の番号を持って日本海事協会(web)に試験を申し込み、後日、受験資格の確認番号を取得
3. 2の番号を持ってプロメトリック(web)で会場を選ぶ
4. 3のパソコンスクール(リアル)でweb受験
ふぅ。まぁこういう決まりなので、皆さん無心でこの道を辿ってください。さて、試験は備え付けのパソコンで受けます。「二等無人航空機操縦士」の試験は30分50問4択問題。難しかった! 全て解答し切れないんじゃないかという焦りを覚えましたよ。中身についてはお口チャックですが、隅々までしっかり覚えていないとひっかかるやつでした。そりゃそーか。
そうして必死の30分が終わり終了ボタンをクリックしたら、すぐできましたよ。「合格」ですと!? これがweb受験のよさですね。一瞬で合否がわかって気持ちスッキリ! この国家資格試験は始まったばかりなので、合格率はよくわかっていないけど、ともかく合格、うれしい!!!
祝! 免許証をゲットするよー!
さー、合格してもまだあります。手続き三昧! 生きていると、いろんな手続きがありますね(笑)。
さて、いわゆる“ドローン免許”のことは、「技能証明書」と呼ばれています。それをゲットするためには、まず、先ほども紹介した海事協会で、合格証明証を発行してもらいます。それには、海事協会web内で学科合格の通知を確認して、身体検査を申し込みます。身体検査は、自動車免許をお持ちの方なら、それを提出することで書類審査(手数料5,200円)になりますよ。わたしは自動車免許コースです。次には、スクールから受け取った実地試験免除の証明書と共にアップロードで提出、それら全てが承認されたら、合格証明の発行を申込みます。
はい! いよいよ技能証明書の発行手続きです。国土交通省のドローン基盤システム「DIPS2.0」を使います。合格証明とスクールの講習修了証をアップロードで申し込んだら(手数料3,000円)、待ち焦がれた技能証明書が届くのです。わたしは申し込んだばかりなので、手元に届くまで1ヶ月くらい? とか聞いています、楽しみだ〜!
ドローン活用のロードマップは、国が明確に決めています。結構近い未来でわたしたちの生活にバンバン入り込んできそうですよ〜。2025年の大阪万博ではドローンタクシーが目玉のひとつにもなっていますね。新しいこと、楽しいでしょ!