片道4時間以上推奨! 道中も旅になる名物宿[月刊旅色連載/写真家・浅田政志の宿旅]

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2023.05.06

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片道4時間以上推奨! 道中も旅になる名物宿[月刊旅色連載/写真家・浅田政志の宿旅]

写真家・浅田政志さんの連載「宿旅」では、「旅の目的は、宿に泊まること」をテーマに40以上の宿を取り上げてきました。なかには、目的(=宿)にたどり着くまで簡単にいかない宿もちらほら。とはいえ、「家に帰るまでが遠足です」っぽく言うならば、「家を出たときからが旅の始まりです」。ワクワクする道中が長めの宿は、すなわち旅の時間も長いということ。そこで、時間に余裕のある連休に訪れたい、東京からだと片道4時間以上かかる宿をピックアップしました。宿へ向かう道中に、ゆっくり体に“休みスイッチ”が入ります。

写真/浅田政志

目次

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日本横断! 世界文化遺産に泊まれる「勇助」(富山県南砺市)

国境もひとっ飛び!?「ドゥリムトンヴィレッジ」(京都府亀岡市)

駅からバスで天空へ「王ヶ頭ホテル」(長野県松本市)

電話もメールもテレビもなし。だがそれがいい「苫屋」(岩手県野田村)

ニッポンの秘境「ホテルかずら橋」(徳島県祖谷市)

おわりに

日本横断! 世界文化遺産に泊まれる「勇助」(富山県南砺市)

東京駅から新幹線+バスで約4時間

「月刊旅色」2021年11月号/連載「宿旅」より

「月刊旅色」2021年11月号/連載「宿旅」より

世界文化遺産「白川郷・五箇山(ごかやま)の合掌造り集落」のなかに泊まれる民宿「勇助」。東京駅から新幹線で富山県の新高岡駅で約2時間30分。そこから世界遺産バスで約1時間30分。車だと、最寄りの北陸自動車道・東海北陸道の福光ICから約25分、名古屋高速・東海北陸道の五箇山ICからは約15分とそこまで遠くない気もしますが、太平洋側から日本海側へ日本を横断し、達成感があります。

月刊旅色2021年11月号|連載「宿旅」

月刊旅色2021年11月号|連載「宿旅」

ちなみに、いくつかの集落をまとめて「白川郷」「五箇山」とそれぞれ呼びますが、世界文化遺産に登録されているのは岐阜県白川郷の荻町と、富山県五箇山の相倉、菅沼の3つだけ。「勇助」は相倉集落にあり、建てられたのは明治元年。民宿となったのは東京オリンピックのあった1964年。1995年には世界文化遺産に登録されました。この距離感だからこそ残った昔ながらの暮らし、文化が息づきます。

「勇助」の特集はこちらから

国境もひとっ飛び!?「ドゥリムトンヴィレッジ」(京都府亀岡市)

東京駅から新幹線+電車+バスで約4時間

月刊旅色2021年3月号|連載「宿旅」

月刊旅色2021年3月号|連載「宿旅」

緑に囲まれた場所にある英国村―グレート・ブリテン・オールド・ヴィレッジ―」。イングランドのコッツウォルズ地方の雰囲気が忠実に再現されていて、B&Bは5棟のみ。名所としても知られる英国村内にあっても、距離だけでなくまるで時代も超えたかのようにあたりは静かです。狐につままれた気分ですが、ここは身を任せましょう。

月刊旅色2021年3月号|連載「宿旅」

月刊旅色2021年3月号|連載「宿旅」

宿泊者のほか、入場料を支払えばカフェやレストランなどがある英国村の奥に踏み込めます。カフェで提供されるフィッシュ&チップスも、スコーンも本場の味。食器もカトラリーも椅子もテーブルも、ほぼ英国です。

「ドゥリムトンヴィレッジ」の特集はこちらから

駅からバスで天空へ「王ヶ頭ホテル」(長野県松本市)

東京駅から電車+ホテルの送迎バスで約4時間15分

月刊旅色2020年9月号|連載「宿旅」

月刊旅色2020年9月号|連載「宿旅」

日本百名山のひとつ、標高2,034mの主峰・王ヶ頭の山頂にあるホテル。JR松本駅からホテルの送迎バスが出ており、1時間45分も乗ればそのままホテルのエントランス、すなわち標高約2000mへ送り届けてくれます。登山装備をしっかりすれば麓から登ってくることも可能。ホテルのある美ヶ原高原はマイカー規制されている自然保護区域ですが、その手前にある駐車場までならば自走で迎えます。駐車場からはホテルの送迎バス、または50分ほど歩いてホテルに向かいます。道中は、山岳詩人・尾崎喜八が「世界の天井が抜けたかと思う」と表現した広大な草原、道路の両端にある柵越しに牛たちが放牧されている様子を見ながら進むというもので、道すがらも牧歌的アクティビティです。

月刊旅色2020年9月号|連載「宿旅」

月刊旅色2020年9月号|連載「宿旅」

山頂には「王ヶ頭ホテル」のみなので、晴れていれば夜空の星はまばゆいばかり。個人的に興奮したのは、大浴場や予約なしで入れる貸し切り風呂が、チェックアウトまでいつでも入れること。チェックアウト後に清掃に入るそうなので、フルタイムでお風呂が楽しめます。朝風呂の絶景は秀逸です。ちなみに、電波はあまりよくないのでデジタルデトックスにもぜひ。(旅色を読んでからどうぞ!)

「王ヶ頭ホテル」の特集はこちらから

電話もメールもテレビもなし。だがそれがいい「苫屋」(岩手県野田村)

東京駅から新幹線+電車+村営バスで約4時間40分

月刊旅色2021年12月号|連載「宿旅」

月刊旅色2021年12月号|連載「宿旅」

味のある南部曲がり屋を改築した「苫屋」さんは、数々のメディアで取り上げられた人気の宿。テレビや電話がなく、予約はハガキのみ。ですが、浅田さんの映画をご存知で、取材を快諾してくださいました。訪れてみると、囲炉裏で焼く自家製パン、お茶も茶葉摘みからブレンドまですべてお手製のオリジナル。囲炉裏から立ち上がるスモーキーな香りのなかの、囲炉裏端はなんとも居心地のいいもので、現世に戻りたくないと強く思います。

月刊旅色2021年12月号|連載「宿旅」

月刊旅色2021年12月号|連載「宿旅」

苫屋のオーナー夫妻・坂本さんたちの、予約のハガキにお返事をしたためる姿や食材を取りにいく姿に鼓舞される思いで、現世に戻りましょう。

「苫屋」の特集はこちらから

ニッポンの秘境「ホテルかずら橋」(徳島県祖谷市)

東京駅から新幹線と電車とバスで約6時間

月刊旅色2020年4月号|連載「宿旅」

月刊旅色2020年4月号|連載「宿旅」

都を落ちた平家が隠れた場所ともいわれる祖谷温泉。その深淵で穏やかな里山の風景が残る場所にあるホテルは人里離れた静けさも魅力です。ここにたどり着くまでに、かなりの急カーブや急勾配を超えなければたどり着けないため、達成感もひとしお。

月刊旅色2020年4月号|連載「宿旅」

月刊旅色2020年4月号|連載「宿旅」

宿に到着後、自慢の露天風呂に行くのも、ケーブルカーへの乗車がおすすめ。健脚でもかなり険しい道のりなので、おとなしくケーブルカーに乗って、気軽に露天風呂ツアーを楽しみましょう。

「ホテルかずら橋」の特集はこちらから

おわりに

なんでもコンパクト、ミニマム、スマートな時代に、少し時間をかけてゆっくりできるのが連休のいいところ。すぐに行けなくても、次の連休にはこのなかの宿、あるいは別の宿への旅計画をたてましょう。できたら、片道4時間以上を推奨します。それが別世界へのスイッチです。

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#浅田政志 #宿旅 #月刊旅色 #苫屋 #英国村 #ドゥリムトンヴィレッジ #祖谷温泉 #王ヶ頭ホテル

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編集部 ホソブチ

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ホソブチ

『月刊旅色』副編集長。写真家・浅田政志さんの連載「宿旅」を担当して痛感したのは、全国各地にいい宿がたくさんあるということ。趣味は「温泉石鹸」集め。名物・お土産探しが大好きですが、下戸なので銘酒やお酒との相性はちんぷんかんぷんです。

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