貸切の古民家宿「小豆島 三都の郷」でおもてなしと自然に浸る小豆島ステイ
こんにちは! トラベルライターの土庄です。私がトラベルライターとして活動する原点となった大好きな場所・小豆島の「小豆島 三都の郷(みとのさと)」へステイしてきました。瀬戸内屈指のリゾート地・小豆島の中でもややマイナーな三都(みと)半島に位置する貸切の古民家宿です。近海で獲れた海の幸など地元食材を使ったお料理や、レトロでモダンな温もりを感じるお部屋、手付かずの自然に癒される抜群のロケーションなど感動と癒しに富んだ宿泊体験が待っていました。
目次
三都半島とは?
高松・屋島(やしま)方面を一望できる三都半島。
小豆島南部に広がる周囲30kmほどの小さな半島です。小豆島を一周する国道436号線から逸れることもあり、島の中でも穴場なエリアといえます。そんな三都半島のすばらしさに気づいたのは、大学時代に小豆島を自転車で旅した時でした。透き通った海と爽快なシーサイドロードでペダルをこげば漕ぐほど、刻々と変化をする景色に魅了されました。
もちろん自然もすばらしいのですが、3年に1回瀬戸内の島で開催される「瀬戸内国際芸術祭」では、小豆島の新作アートの発信拠点という役割も担っており、自然に調和したさまざまな作品を鑑賞できます。
三都半島の一軒宿で旅情とアットホームな雰囲気を楽しむ
今回宿泊したのは、三都半島の西側・神浦(こうのうら)に位置する「小豆島 三都の郷」。2020年9月にオープンした古民家をリノベーションした宿です。6つのお部屋を備えていますが、2023年3月時点では母屋と別棟それぞれに1日1組の貸切スタイルを継続しています。神浦は穏やかな瀬戸内海を見渡す小さな漁村。昔ながらの島の原風景が根付いていており、景色に溶け込む佇まいが素敵です。
自分の原点に立ち返って自転車で訪れましたが、池田港から小豆島町営バスを使ってアクセスすることも可能で、車がないという方でも大丈夫! 例えば神戸港・高松港→坂手港(ジャンボフェリー)、新岡山港→土庄港(国際両備フェリー)などで島に入った場合でも、池田港で路線バスを乗り継いで三都半島へ向かえば、旅情をたっぷり味わえるバス旅が楽しめます。詳しくは、小豆島町営バスの時刻表をご確認ください。
チェックインすると、温かなスタッフのみなさんが迎えてくれます。メインで接客をして下さった中島さんは、小豆島のリゾートホテルの支配人を歴任された島を知り尽くすプロフェッショナル。島や宿のことや敷地の水路に筒を置いておくだけで穴子が獲れる話、地元漁師さんとの結びつきや漁場についての話などお聞きしながら、楽しいひとときを過ごすことができました。また宿の周囲もほとんど私有地で、アート作品を作る場所を提供されているお話は驚きでした!
レトロモダンなお部屋で癒しに富んだおしゃれな古民家ステイ
宿泊したのは、全6部屋あるうち唯一2階にある「風穴」。古民家の梁を生かしたレトロモダンな空間で、落ち着きの中にセンスのよさも感じられます。そのままお部屋の区切りとして使われている昭和の型板ガラスにも思わず見入ってしまいました。所々掲げられているのは、画家・出水(いずみ)徹さんの絵画作品。実は元々「小豆島 三都の郷」の古民家は出水さんのお宅だったそうです。
温もり溢れるお部屋は広々としており、ゆっくりと安らぐことができます。机とイスも用意され、Wi-Fiもサクサクと快適だったので、束の間ですがワーケーションもはかどりました! とてもきれいにリノベーションされており、初めての古民家に泊まるという方にもおすすめできます。また冷蔵庫の中にはお水とお茶、テーブルの上には小豆島のお菓子が用意されていて、細やかなおもてなしも嬉しかったです。
古民家の趣を残すデッキの居心地も抜群でした。季節は3月上旬でしたが、日中はすでに暖かく、日が暮れたあとは夜風が清々しかったです。夕食前にはお風呂にも入りました。大きな陶器でできている露天風呂を備えた貸切風呂の気持ちよさも格別! 日中は青空、夜には満天の星を眺めながら、非日常の時間を過ごすことができました。
夕食の前には感動的なトワイライトを鑑賞
訪れた日は天気が良かったため、夕日を眺めようとスケジュールしていた、はずでした...…。なんと日没の時間を誤り、夕日を見ることが叶わなかったのです。しかしそこに待っていたのは、幻想的なトワイライト。柔らかな光を映す海、水墨画のように輪郭をはっきりさせる島の影、波が押し寄せるたびに波打ち際に当たる残照に、思わず見入ってしまいました。三都半島に泊まるからこそのプライスレスな体験ではないでしょうか。
島で一番! 小豆島の幸と料理人が織りなすお料理に舌鼓
宿泊する醍醐味のひとつが、島の味覚が詰まったお料理です。小豆島のホテルで腕を振るった4人の匠の料理長が、日替わりで担当し、地元の幸をふんだんに使った懐石料理を提供しています。この日は瀬井料理長のお料理をいただきました。「うちの料理は島で一番」とスタッフの中島さんのお墨付き。小豆島のホテルの歴代支配人を務めた方がおっしゃるのだから期待が高まります。
食材との一期一会を楽しむ、感動的な内容の夕食
まず目を引くのは、小豆島産のお刺身の舟盛り。1人前でこのボリューム! 高級魚のアコウやタケノコメバル、サワラ、カンパチなどが並びます。お刺身は、時期や仕入れ内容によってガラリと変わるとのこと。オリーブ塩でいただくのが小豆島流! コリコリと甘いアコウの身と、オリーブの独特なコクの相性が抜群でした。調味料も料理長の独自に配合したもので、細やかなところにもこだわりやおもてなしが感じられます。
次に小豆島産のオリーブ牛を醤(ひしお)で焼いた醤焼き。ジューシーな旨味に醤油らしいキレと芳醇さが加わります。最後に添えてあるトマトでさっぱり締めるのが最高でした。
優しい出汁が染みた鴨鍋のカモ肉はプリップリ。こんなに弾力があり脂が乗っているカモ肉は初めていただきました。なんと世界一狭い海峡としてギネスにも登録されている土渕(どふち)海峡で獲れるカモなのだそう。
高級魚のマナガツオは照り焼きで。なんとアワビ串がサブになっていて驚きました! 口いっぱいに魚の旨味と甘辛いタレが広がります。ほろほろと感動的なおいしさで食べ応えもありました。
車海老の天ぷらは紫蘇が巻かれており、抹茶塩でいただきます。サクプリッとした海老の食感とともに感じられる紫蘇の清涼感と、抹茶塩の香りと塩気。海老の美味しさを一層高めてくれました。
〆はお寿司でした。季節によって鯛めしなど提供内容が変わります。大好きな穴子は丸々一尾。しなやかな口触りで、脂の乗りも抜群でした。
一期一会の極上の食材を、熟練の料理人が生かした懐石料理。どんなお食材やお料理に出会えるかは、その日までのお楽しみ。
シンプルイズベスト! 島の味覚が詰まった朝食
朝食は“日本の棚田百選”にも選ばれている、小豆島「中山千枚田」のお米がでてきました。夕食では趣向の凝らされたバリエーション豊かなお料理が多かったですが、朝食はどちらかといえばシンプルな内容。しかしいざいただいてみると、料理長の技が生きていると感じられました。
お腹に優しい梅入りの茶碗蒸しや、海老と梅湯葉の腕物。朝の活力チャージにもってこいなとろろ。ふわふわな卵焼きは出汁の効き具合が絶妙です。そして朝にもオリーブ牛のしぐれ煮という豪華なおかずも。さっぱりとしたお漬物まで揃っており、棚田米をすすませる至高の朝ご飯を堪能しました。市販には出回らない希少な棚田米を4杯分もいただけて幸せです。
小豆島の秘境・三都半島のおすすめスポット
最後に私の大好きな三都半島のスポットをご紹介したいと思います。四季折々美しい自然とアート作品。メジャーなエリアではないですが、魅力が満載です。
釈迦ヶ鼻園地(しゃかがはなえんち)
三都半島の最先端に整備されている公園です。半島一周道路沿いの高台から望むと、白い砂浜と透き通った海のコラボレーションが絶景! 降りると四国まで一望する海辺を歩けます。実は河津桜の隠れた名所としても知られるお花見スポット。公園の広場の芝生で寝転がるのは最高のひとときです。
◆釈迦ヶ鼻園地
住所:香川県小豆郡小豆島町蒲野
西村オリーブ並木
三都半島の東にある名前のないオリーブ並木です。海を背景にオリーブが並ぶ風景はどこか異国情緒を感じさせ、しかし日本の離島らしい漁村の穏やかさも見せてくれる。まさに小豆島の原風景といえるスポットと言えます。こちらも三都半島一周道路にあるのでドライブやサイクリングで探してみてください。
◆西村オリーブ並木
住所:香川県小豆郡小豆島町草壁本町
ダイダラウルトラボウ
瀬戸内国際芸術祭2022に際して、伊東敏光(いとうとしみつ)さんと広島市立大学芸術学部有志によって制作された巨人のアート作品です。拡幅工事によって撤去された地元の石垣や、廃船や流木を使って大宇宙や自然界、そして人間界をつなぐアイコンとして考案したのだそう。まさに神浦の守り神として漁村を見渡す高台に位置しています。
◆ダイダラウルトラボウ
住所:香川県小豆郡小豆島町神浦甲274
飯神山(いかみやま)
三都半島の付け根に位置する標高237mの里山です。ディープなパワースポット・誓願寺のソテツから内陸にのびる林道に登山口が位置しています。山頂まで往復1時間というお手軽ながら、山頂からは360度の大パノラマが広がります。途中には幾つもの巨岩=天然の展望台があり、開放感抜群のハイキングが楽しめますよ。
もう一つの故郷。記憶に残る三都半島の旅
癒しの時間とおもてなしに富んだ「小豆島 三都の郷」。“瀬戸内らしい穏やかな時間を過ごしたい”であったり、“旅に食は欠かせない”という方にぜひ泊まっていただきたいですが、農業体験や漁業体験といった着地型観光の提供も行っているのも特徴です。連泊をして釣りを楽しんだり、無料で貸出している電動レンタサイクリングで半島を回ってみるのもいいかもしれませんね。
すばらしい滞在をありがとうございました♪
元々大好きな三都半島ですが、「小豆島 三都の郷」に宿泊させていただいたことで一段と思い入れが深くなりました。そして「再び戻ってきたい」と思える場所ができたことも、何よりの旅の幸せです。みなさまもぜひ心から癒しを得られる三都半島へ足を運んでみてはいかがでしょうか。