斜面に集落がぎっちり、ネコちゃんいっぱいの男木島は宿も景色も最高だった(2025年情報更新)

いきなりですが男木島ってご存知ですか? 香川県の瀬戸内海に浮かぶ小さな島で、先日訪れた鬼ヶ島(=女木島)の隣にあります。なんかクセになる不思議な魅力が詰まっているんですよね。ステキな囲炉裏がある古民家宿に海辺のキャンプ場、島を闊歩するネコちゃんは人懐っこいし、なんかもう、心がトロントロンにとろけるのでした。
目次
まずは男木島灯台からの映像を!
まずは、総御影石造りで無塗装の男木島灯台と、上空からの映像をご覧ください。
お手軽な離島、男木島ってどんなとこ?
高松駅すぐ近くの高松港から「めおん」号に乗ってたったの40分、料金片道510円。女木島(めぎじま)を中継してさらにフェリーで20分、1キロメートルほど奥に位置します。こんなハードルの低い別世界なら、いつだって行きたくなりませんか? ふたつは夫婦島とも言われるのですが、実はあんまり似ていないのも面白い、どちらも訪れて違いを楽しんでいただきたいです。

男木島の面積は1.34平方キロメートルで周囲は5キロメートル、といっても道は一周していません。そんなサイズなので歩き観光で十分な島です。そもそもレンタカーもレンタサイクルもありませんしね。集落はひとつで、人口は150人ほど。半数以上が高齢者ですが、働き盛り世代の移住者が多いのも特徴です。島の端々にセンスのよさを感じるのは、島の独特な自然と、外からやってきた人々の感覚が融合した証かな。もちろん、この島が瀬戸内国際芸術祭の開催地であることも大きな要因でしょう。なんか漂うセンスは、降り立つ港の情景からも感じられます。

かわいすぎませんか。青い世界に赤と黄色のレトロなベンチ。さらに、港にはとっても目立つ斬新な建物がありますよ。特に夜の様子がステキなんです。

水面に白い屋根が映って貝みたい。屋根の柄はなんだと思いますか? 8カ国語の文字ですって。日本語、ヘブライ語、アラビア語、ラテン語、中国語、ギリシャ語、ロシア語、ヒンディー語がデザインされているとか。これは2010年の第一回瀬戸内国際芸術祭の「男木島の魂」という作品名だそう。こんなかっこいいアートが島の玄関口にあるなんて、住む人も訪れる人もだいぶ気分よさそう。
この作品にはばっちりお役目があって、芸術祭の後は男木島の交流館として使われています。島の案内、高松から届く荷物の受け渡し、船のチケット販売などはここで行われているんです。
山の斜面に張り付く家々、おしゃれな集落
さて、とっても独特な集落へ行ってみましょう。港の目の前です。引きで見るとこんな感じ。

家がぎゅっと詰まっているでしょう。男木島はほとんど山なので、家は斜面に建てられているのです、段々畑みたい。集落に入っていくと、こう。

なにこれおしゃれ! 狭いっ! 両方言わざるを得ません。小さな離島の道とは思えないおしゃれ感ですよね。しかもこんなに道幅が狭いから、おしゃれの圧迫感がすごいんです、迫りくる~。こんな道を歩いたらすぐ、この島に興味津々になるのもわかるでしょ。これも2010年の瀬戸内芸術祭の作品で、「男木島 路地壁画プロジェクト wallalley」だそうです。
◆路地壁画プロジェクト wallalley
住所:香川県高松市男木町195
それにしても狭い。本当に集落内はこんな道幅のところばかりなうえに、登ったり降りたりウネウネしたり、ナチュラルに迷路なんですよ、予測不可能。次はどんなシーンが目に入るかな、歩いているだけでワクワクが止まりません。さらには歩いていて随所に見える絶景ったら。

これは「象と太陽社」さんの「海とひなたの美容室」の一角からの景色です。ため息でちゃいますよ。丘を登った風景ではなく、集落の中からのワンシーンっていうのがまたすごいですよね。段々状に家が並んでいるので、あちこちの見晴らしがとってもいいんです。

今、象と太陽社さんの敷地は絶賛工事中です。近い将来、この最高にきもちのいい眺めを生かしたお宿に生まれ変わるんですって、楽しみです! こちらの代表、山口憲太郎さんは移住者さんのおひとり。島にご家族と住み始めてもう8年近くになるそう。美容師ならではの洗練されたセンスを生かして、仕事でもそれ以外でも大活躍中です。
◆海とひなたの美容室
住所:香川県高松市男木町1896-1
※完全予約制となります
ロマン漂う男木島灯台と、海っぺりのキャンプ場
集落から海を見渡す森の中のきもちのいい道を20分ほどお散歩すると、あっという間に道は終わり。そこには男木島灯台があるんです。

これが男木島灯台。総御影石、無塗装の灯台は日本で2つしかないんですって。男木島灯台と、山口県の角島灯台のみ。なんだか気分はヨーロピアーン。

日清戦争の直後、急増する瀬戸内海航路の安全のために作られたんですって。たしかに、今も驚くほど船が通るんですよ。瀬戸内海の真ん中を向いて、大きな船が次々とすれ違っていくのをみていると、ここは海にぽつんと浮かぶ小さな離島で田舎の奥地なんだ……と少しでも思った自分を笑いたくなります。いやいやこの海こそ大都会、交通の要、産業の中心! なんて、なぜかわたしが誇らしい気持ちになったのでした(笑)。

ちなみに灯台のふもとは、キャンプ場にもなっているんです。キャンプ道具はここで一式借りられますよ。テントから出たら目の前が海って、贅沢ですね〜。しかも季節によっては朝日も夕日も見られるんだから、最高がすぎます。暖かくなったらキャンプをしにまた行かなきゃ。
瀬戸内海がパーッと開ける展望台
男木島の最高峰の名前はコミ山です。なんか笑っちゃうのはわたしだけでしょうか? ちなみに高さは212.8メートルです。他にズッコ山(185メートル)とミ山(39.5メートル)もありますよ。山にもお笑いトリオとかあったかな。
そんなコミ山の展望台へ、男木島灯台から登ってみました。瀬戸内海の島々の中に沈んでいく夕陽を拝みたかったのです。先にコースの強度をいうと、ちょっと疲れるハイキング。所要時間は20分ほどなので決して大変な道ではないけれど、登ったり下ったりが多めです。とっても気軽に構えていたので裏切られた気分でした(笑)。

ご褒美は最高です。いい眺めでしょ。真ん中にちょんとかわいく浮かぶ三角形は大槌島。右手前は直島で、その奥は岡山かな。左手の陸地は香川の大地。登っているとだんだん雲行きが怪しくなってきましたが、それがまた最高にアートなこと。雲の濃淡が美しい、もれ溢れる太陽の光が美しい〜、たまりません。こちらは降っていないのに、あちらの雲の下ではたまらなく雨がこぼれ落ちている様子。そんなのを広く眺めていると、神さまはこんなふうに世間を見下ろしているのかなぁ、なんて思えてきます。

こちらは展望台から飛ばしたドローンで集落を見下ろしている様子です。すぐ隣にみえるのが女木島。それにしても、雲や雨のある風景はなんて繊細なのでしょう。
日本昔ばなしの世界、囲炉裏のお宿が最高すぎる
男木島は宿も最高でした。リピート確定の「ゆくる」さんは囲炉裏のお部屋がしびれます。

古民家を改装したお宿で、部屋はこの居間の他に2部屋。それぞれ定員2名。4人で訪れたらあっという間に貸切ですよ。ということは、囲炉裏を囲んで夜中まで飲んで語れるのです、最高でしょう。
窓からはもちろん絶景! 集落と港と海と、瀬戸内海の島々と。「めおん」号が行って帰ってくるのも眺められます。いくらでもこの窓に張り付いていられそう。

しかも、夕飯はこれ。日本昔ばなしを実写化したようなシーンです。

心のこもったおいしい料理とお酒と囲炉裏。なんなら、この時間のためだけにでも、島を訪れてもいいなと思ったりもします。
◆ゆくる
住所:香川県高松市男木町194-1
電話番号:070-4228-8483
高松のシルエットがステキすぎ、離島の朝焼けは最高に平和
まだ暗いうちから島の東まで歩きます。といっても、小さな島だから10分程度のお散歩。

日の出前に海に到着すると、空が幻想的に燃えていました。波の少ない瀬戸内海の海面が、幻想色を取り込んで淡い光を発しています。空も海も刻一刻と色調を変え、まばたきするのをためらうのです……あまりに美しすぎて、時間が止まればいいのにと心の底から願うのでした。
それにしても、この美しい情景を演出してくれている山々ったら。対岸は高松です。高松の山々の形は漫画みたいですね。右に見える、頂上がすり切れたように平らになっているのは屋島です。聞き覚えがあるかもしれません、源平合戦の一幕「屋島の戦い」の屋島ですよ。真ん中のとんがっているのが五剣山(ごけんざん)。こちらはなだらかな山に円錐型のパーティー帽をちょこんと乗せたみたいで、なんだか親しみが湧いてきます。とっても印象的なシルエットが、海の向こうにいい距離感で並んでいてくれているなんて、神さまが計算して配置したとしか思えません。あまりにも美しい世界にもう夢中。寒さなんてあっという間に忘れてしまうのでした。
男木島にはネコちゃん!
ところで男木島を歩いていると、ネコちゃんたちとよく遭遇しますよ。ネコの多い島なんです。

しかも人懐っこいんです。初めて会った時から近寄ってきてくれるネコが多くて、ほっこり効果がすごいこと。このときも、茶色いこの子がわたしにすり寄ってきていたのですが、向こうからこちらの黒ネコちゃんがやってくると、あらと振り向きまっしぐら。近寄った瞬間、ほっぺにチューをしていました(笑)。男木島には至る所にネコのモチーフも見受けられましたが、そういうことなんですね。こんなかわいいネコたちが島中をふらふらしているなんて、そりゃあ平和が加速しますね。
いかがでしょう、男木島のピースにはまりそうでしょ? 高松からすぐそこの秘境、ぜひあなたも訪れてみてください。