自転車旅ライターがおすすめ! 自転車で走りたい全国各地の絶景道5選
こんにちは! 山岳自転車旅ライターの土庄です。クロスバイクやロードバイクといったスポーツ自転車を購入し、日帰りで少し遠出するようになると「この道を走ってみたい! 」という感情が自転車旅に出るモチベーションになることがあります。かくいう私も「日本百名道」という本を読み漁っては、次にどこを旅するのか決めていました。そこで今回は、全国各地からイチオシの絶景道を5つご紹介したいと思います。初心者でも走りやすい道をセレクトしているので参考にしてみてください。
目次
【北海道】パッチワークの路
雄大な自然を走り抜ける道が多くある北海道。中でもサイクリストから一番人気なのが美瑛(びえい)エリアです。
醍醐味は、アップダウンに富んだ丘と目まぐるしく変わる風景。夏から秋には点在するお花畑が見頃を迎え、特に初夏はラベンダーや赤い小麦畑などどこか異国情緒が感じられます。
そんな美瑛でイチオシの道が「パッチワークの路」。北瑛(ほくえい)にある「ケンとメリーの木」から「セブンスターの木」をつなぐ丘陵上を走る道です。まるでパッチワークを眺めているように、丘が装いを変えていきます。
おすすめは、花畑の季節に先立つ7月です。素朴な風景から感じられる自然の安らぎや包容力、そして土や稲のどこか懐かしい香り。風を切る爽快感とともに、それらの感覚が自分へ流れ込んでくるような癒しのサイクリングが楽しめます。
【大分県】メイプル耶馬渓サイクリングロード
全国にいくつか事例の見られる廃線跡を活用した自転車道。その代表例の一つが「メイプル耶馬渓(やばけい)サイクリングロード」です。旧守実温泉駅から中津駅をつなぐ総距離36kmのコースとなっています。
廃線跡をそのまま活用しているため、勾配が緩やかで非常に走りやすいのが特徴。市街地を抜けると信号も全くなく、日本の原風景の中をストレスフリーに走り抜ける古きよきサイクリングが楽しめます。
なお「耶馬渓」は日本三大渓谷美の一つに数えられる景勝地。各所で見事な柱状節理や奇岩を眺めることができるのも魅力と言えるでしょう。中でも、江戸時代に諸国行脚をしていた禅海和尚(ぜんかいおしょう)が手彫りで完成させたと言われる「青の洞門」は圧巻です。
他にも、線路を築くために巨岩を貫いた「切り通し」などの秘境渓谷に道を作った先人の努力が垣間見えるポイントが点在しています。ディープな視点で見ると至るところに発見があり、好奇心を刺激されるサイクリングルートです。
【青森県】夏泊ほたてライン(夏泊半島一周)
青森県の絶景道といえば、津軽半島の竜泊(たつどまり)ラインや、下北半島の海峡ライン・尻屋崎道路などが挙がりますが、私のおすすめは「夏泊ほたてライン」を走り夏泊半島を一周することです。
醍醐味は、青森市街からとても近いこと。そして走行距離が40kmで、累積標高差も400m程とそれほど大きくなく、初心者でも挑戦しやすい道です。しかし味わえる景色と旅情は一級品!
路面状況のいいシーサイドラインを爽快に駆けていきます。横目に流れるのは、点在する漁村と入り江の風景。海の向こうには、遥か津軽半島・下北半島を望みます。空の色が映り込み、どこまでも続く大海原は、陸奥湾の壮大なスケールを感じさせてくれます。
ハイライトは、夏泊半島北端の大島周辺。東屋も設けられているので、潮風を感じつつ休憩を楽しめます。一周を終えたら、青森屈指の名湯・浅虫温泉へ。疲れに効く気持ちのいいお湯で、運動後さっぱりとリフレッシュできますよ。
【山口県】秋吉台カルストロード
総面積は4,502ヘクタールを誇っており、日本三大カルストの一つ「秋吉台(あきよしだい)」。そんな日本最大級のカルスト台地を縦断できる道が「秋吉台カルストロード」です。
総距離は12キロメートルとそれほど長いルートではないものの、抜群の眺望とスケール感を誇っています。ストレートと緩やかなカーブが交互に現れる場所は、減速することなくテンポよく走り抜けることができ、爽快なサイクリングが楽しめます。
中でもおすすめの区間は、秋吉台ジオパークセンターとの分岐から少し北側の区間です。雄大に広がる台地の中へ、吸い込まれていくような道の景色は圧巻! カーブを曲がっていく二輪の姿もとても絵になりますね。「日本百名道」に掲載されている写真もここで撮影したもの。私は、この風景を本で見て「この道を走りたい!」と思い実際に行ってきました。本で見る以上の絶景に感無量でした……。
【岐阜県】乗鞍スカイライン
自然保護のため、マイカー規制が行われている「乗鞍(のりくら)スカイライン」。自転車は規制の対象ではありません。自転車で行ける日本最高標高の道として、今ではヒルクライマーの聖地となっています。
ゲートのある平湯峠(ひらゆとうげ)から、乗鞍岳の登山拠点である畳平(たたみだいら)まで、標高差約1,000メートル、距離約15キロメートル、平均勾配7%。これまでご紹介してきた道と比べると、難易度がグンと上がりますが、それでも訪れて欲しい理由があります。
それは標高3,000メートルに迫る天空の絶景道だということ。日本ではここしかありません。樹林帯を駆け上がり、雲海を横目に、森林限界へと突入する。グランツール(自転車の世界三大レース)を思わせる日本離れした絶景は、一度見たら一生忘れられません。
登山と自転車を掛け合わせて旅を始めた私にとって原点と言える道。もしかしたらあなたの自転車人生も変えるきっかけをくれるかもしれませんよ。
自転車旅の思い出を作ってくれる道
いかがでしたでしょうか。今回は自転車で走りたい私のおすすめの絶景道をご紹介しました。道は目的地のアプローチに使うものだと思いますが、自転車旅をしていると、道自体がその土地を訪れる目的になります。
そして、その道を走った時の路面の感触や感動、そして爽快感はいつまでも脳裏に刻み込まれて離れないもの。これからもかけがえのない自転車旅の思い出を作ってくれる道を求めて、愛車と一緒に全国各地を巡っていきたいと思っています。