【北海道自転車旅の魅力 最終章】ライダーハウスでの一期一会な出会い
こんにちは! 山岳自転車旅ライターの土庄です。これまで2回にわたり、北海道自転車旅の魅力をご紹介してきました。今回はライダーハウス(通称:ライハ)を通じで出会った“一期一会な出会い”についてです。毎年夏になるとツーリング文化が根付く北海道を多くの二輪乗りが目指します。ライダーが集まるライハには、旅人同士の個性的な出会いが待っています。
目次
ライダーハウス文化にハマったきっかけ
私がはじめて北海道のツーリング文化に触れたのは、大学3年生の秋です。しかし、それは北海道ではなく、香川県の小豆島(笑)。小豆島自転車旅で宿泊したライダーハウス「ライハのツボ」で、北海道のツーリング文化の片鱗を知ることに。
ライダーハウス(以後、略称ライハ)とは、全国各地に点在する二輪乗り向けの格安宿です。「ライハのツボ」のオーナーはかつて自らの北海道自転車旅でライハに感銘を受け、地元に戻ったあとにライハを起業しました。「ライハのツボ」という名前には、自分のように宿泊者がライハにハマってほしい! そんな想いが込められています。
オーナーの思い通り、夕飯で一緒にBBQをしたり、翌日にはバイクと自転車で連なって一緒に島を巡ったりしながらたまたま同じタイミングでの宿泊になった者同士が、とても仲良くなることができました。ライハのツボに宿泊したおかげで、旅がさらに思い出深いものとなりました。そんな出来事がきっかけで「ライハのツボのオーナーさんが感動した“北海道のライハ”とは、どんな場所なのだろう?」という好奇心が芽生え、大学4年生で初めての北海道自転車旅に出ることとなったのです。
ツーリングの聖地・北海道での出会い
大学4年生になった私は、夏休みに11泊12日で北海道を自転車で巡りました。宿泊先は基本的にライハ。無料のライハも組み合わせて、宿代を総額1万5千円ほどに抑えることができました。学生にとって金銭的に大助かりな旅です。宿泊候補のライハは、ツーリングマップルやライダーハウス口コミサイト「はちのす」で調べて選びました。
噂には聞いていましたが、ライハでは数えきれないほどの一期一会がありました。特に記憶に残っている2つの思い出を紹介します。
網走「民宿ランプ」での思い出
5日目に宿泊した網走にあるライハ「民宿ランプ」では、社会人バイク旅1人、学生バイク旅1人、学生青春18切符旅1人、学生車旅1人、学生自転車旅2人(私たち)が集まり、なんと宿泊者が全員20〜30代。ミドル・シニア(40~60代)が多いライハでは珍しい宿泊者構成です。お互いの旅スタイルもさまざまで話も弾み、あまりに熱中しすぎて深夜まで歓談に耽っていました。
翌日は網走監獄を一緒に観光し、それぞれの目的地へ向かって出発していきました。あの日であった中の2人とは北海道から帰った後も、定期的に飲みに行くかけがえのない友人となりました。
◆民宿ランプ
住所:北海道網走市新町3丁目3番9号
電話番号:0152-43-3928
料金:素泊まり2,300円~
支笏湖「モーラップ樽前荘」での思い出
9日目に訪れた支笏湖(しこつこ)のライハ「モーラップ樽前荘」では、学生自転車乗り1人とシニアの自転車乗り1人との出会いました。なんと学生の方は、東京大学に通うバイオリニストという華やかな経歴の持ち主。しかし、東京から大阪間を24時間以内で走る“キャノンボール”をするなどチャレンジ精神に溢れていて、出会った時は、自転車で北海道を走破しに来ていました。また、シニアのサイクリストの職業は大学講師です。自転車旅が趣味で、大学が休講となる8月を利用して北海道へ来ていました。「趣味のために仕事を活用する。」こんな生き方もあるんだと、当時学生だった私は新たな価値観を学びました。
ライハだけではなく自転車旅をしていると「自転車だからエネルギーいるでしょ!? 」とパンを差し入れしてくれる家族ライダーさんや「調理を手伝ってくれたら、さっき仕入れた支笏湖のヒメマスを食べさせてあげる」と言ってくれたおじさんライダーさん、利尻島・礼文島の朝焼けが忘れられないと熱弁してくれたひとり旅美人ライダーさんなど様々な人と出会うことができます。
ライダーハウスをきっかけに再会へつながる旅
旅人同士の拠点として欠かせないライハですが、ひとつのエリアに数軒しかありません。北海道では長旅をする人も多く、別のライハで同じ方と再会することもあります。“北海道自転車旅あるある”です。
2020年8月に北海道の道東を自転車で巡った旅では「旅人宿昭栄」で出会ったバイク乗りの2人と翌日に「ライダーハウスお気軽屋」で再会しました。初めてお会いした時は、そこまで心を開いてもらえてなかった気がしていましたが、2回目にお会いすると「夕ご飯食べに行こう! 」と誘ってくれるくらい仲良くなりました。
20代後半から30代前半に見える男性2人組でしたが、実際の歳を聞くと、なんと40代半ば……。趣味を大事にしている方は、いつまでも若々しいのだと感心しました。また勤務先が、偶然にも私の父が定年前まで勤めていた会社という思わぬ発見もありました。北海道の最果て羅臼で、知り合ったばかりの旅人同士で楽しく焼き鳥を食べたあの思い出も忘れられません。
翌日、一緒に行動しようと決めていたわけではないですが、知床峠やお食事処の駐車場で一緒になるという偶然もあり、最後は一緒に知床で海鮮丼を食べました。
◆旅人宿昭栄
住所:北海道弟子屈町熊牛原野27線東1
電話:090-6364-4413
料金:素泊まり2,000円〜
◆ライダーハウスお気軽屋
住所:北海道目梨郡羅臼町緑町300-6
電話:0153-87-2189
料金:素泊まり1,500円~
唯一無二の旅行体験が待つ北海道
いかがでしたでしょうか? 今回は北海道自転車旅にハマった要素の中でもライハでの人との出会いについてご紹介しました。新型コロナウイルスの流行で、人との交流が盛んな北海道ならではの旅文化が影響を受けていないか心配でしたが、先日北海道を旅してた際にその不安は払拭されました!
ぜひ忘れられない旅行体験が味わえる北の大地・北海道へ自転車旅にでてみてはいかがでしょうか。ライハに泊まることで旅行費用も抑えることができるので、学生や新社会人のみなさんには特におすすめです。きっと価値観を広げてくれる出会いが待っているはずです。