食と景観を楽しむ列車「海里」で日本海を堪能する旅へ
愛読書は時刻表。暇さえあればリュックひとつで旅に出かける私は、こよなく愛する鉄道で絶景巡りをしています。今回は新潟県と山形県庄内地方を走る、食と景観を楽しむ列車「海里(かいり)」をご紹介したいと思います。
目次
観光列車「海里」とは?
新潟駅と酒田駅(山形県)を結ぶ「海里」。美しい夕日を車窓から眺められる羽越(うえつ)本線を経由することから、鮮やかなサンセットオレンジを基調としています。観光列車は既存の車両を改造するものが多いのですが、「海里」はディーゼルハイブリッド車両を新造。JR東日本が力を入れているようです。
4両編成の車体カラーは、先頭と最後尾の車両がサンセットオレンジ。真ん中の車両に向かって、「新雪」をイメージした白のグラデーションがかかっています。大きなエンブレムのあしらいが、車体に華やかさをプラスしています。
海里は15:00に始発の酒田駅を発車。私は15:23に鶴岡駅に到着した上り列車に乗車して新潟駅に向かいます。鶴岡駅では30分の停車時間があるので、車内だけでなく駅周辺の観光も楽しめます。
1号車:リクライニングシート
一般乗客用の1号車。落ち着きのあるグレーのモケットにサンセットオレンジのヘッドレストがいいアクセントになっています。先頭部分にはテーブルがあり、歓談しながら車窓を眺めることができます。走行中絶景ポイントに差し掛かると、この場所で写真を撮る方が多くいました。
2号車:コンパートメントシート
2号車は、コンパートメントシート。通路の左手に4人掛けのシートを設けた半個室が8室用意されています。通路の壁の上部に描かれた夕日の絵が雰囲気を演出しています。
客室内は、通路と対照的にモノトーン基調の落ち着いた印象。団らんしながら日本海の絶景を楽しめます。座面はフルフラットにできるので、足を伸ばしてゆったり寛いだり、疲れて寝てしまったお子さんも横にできます。
3号車:売店・イベントスペース
3号車は売店とイベントスペース。売店では「海里」オリジナルグッズやお弁当、ビールなどのアルコール類を含む飲み物の他に沿線の特産品も販売しています。
窓辺はカウンターになっていて、購入した商品を食べながら車窓を眺め、移り行く景色を撮影できます。
4号車は24席のダイニング車両になっていて、新潟や庄内の食を味わいながら旅を楽しむことができます。こちらは、専用の指定席券が必要になります。JR東日本のHPから予約可能です。
いざ、日本海の絶景へ!
羽越本線から眺める絶景は海が売りですが、山も美しいです。時は4月。東北の山々にはまだ雪が多く残ります。田んぼに水が張ったら水鏡に映る山もきれいでしょうね。
小波渡(こばと)、五十川(いかがわ)あたりから日本海が見えてきます。ここから村上駅までは海岸線に沿って走る時間が長く、存分に海の景色を堪能することができます。
西に傾く太陽の下に人口340人ほどが住む粟島を望むことができます。漁業と観光の盛んな小さな島です。
16:52 列車は桑川駅で約30分停車。こちらの駅は「特急いなほ」は停車せずに通過してしまいます。
すぐ向こうに海岸が見える桑川駅。「海里」では、海をゆっくり見てほしいという思いから停車時間を設けています。越後寒川から桑川周辺は「笹川流れ」と呼ばれる絶景スポット。透明度の高い海に奇岩などが眺められる景勝地です。観光船で奇岩巡りもできるそうです。
庄内の山海の幸をいただく
桑川駅には「道の駅笹川流れ」(夕日会館)が併設されています。
道の駅では食事もできるのですが、200円のあおさの味噌汁が飛ぶように売れていました。これはおいしいに違いない、と私も購入。
乗車してすぐにゲットした「海里特製 庄内弁」を頂くことにします。「海里特製 庄内弁」は、2,400円となかなかのお値段……。しかし「海里」は食を楽しむ列車ですので欠かせません。お弁当は、鶴岡駅で入手しておかないと売り切れのこともあるので注意を! 鉄道旅のお供、ビールも購入してあります。「新潟限定ビイル 風味爽快ニシテ」は、サッポロビールの黎明期を支えた新潟に感謝して醸造した限定ビールです。
17:21 桑川駅を出発した後、お待ちかねのお弁当をオープン! あおさの味噌汁は、車内に持ち込むことが可能です。
「海里特製 庄内弁」は、山形県産の米・つや姫とだだちゃ豆を焚き上げ酢飯にし、遊佐産めじか鮭で巻いた「めっこい巻」、山形牛のローストビーフ、出羽産のぜんまいの煮物など庄内の山海の食材をふんだんに使ったお弁当になっています。ブログを書きながらもおいしさが蘇り、よだれがでてきます。「海里特製 庄内弁」は、上り列車のみの販売。下り列車では、新潟加島屋特製の「加島屋御膳」を楽しめます。違った味を楽しめるのもいいですね。
※お弁当の内容は時期によって変わることがあります。最新情報は、JR東日本のHPでご確認ください。
夕日を眺めて旅はクライマックスへ
食事を楽しんでいるうちに、車窓には美しい夕日が。「海里」の走る沿線は、旅の終点新潟駅へ向かいます。
18:31 新潟駅に定刻で到着。3時間の「海里」の旅が終わりました。余談ですが、この日の車掌さんは「海里」初担当だったそう。自己紹介も沿線の観光案内もちょっとぎこちないところが初々しくて素敵でした。快適な旅をありがとうございました。
「海里」の走る沿線は笹川流れのほか、あつみ温泉や城下町鶴岡の街並みなど観光資源も豊富にあります。観光列車「海里」に乗って、観光をしながら食や景色を楽しんでみてはいかがでしょうか。
◆海里
運行日:おもに金・土・日・祝日
運行区間:新潟駅~酒田駅
※運行スケジュールについては公式HPをご確認ください。