いま「京町家泊」はどうなっているの? ホテル評論家の瀧澤信秋さんが泊まって体験してみた

京都府

2022.01.26

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いま「京町家泊」はどうなっているの? ホテル評論家の瀧澤信秋さんが泊まって体験してみた

京都の中心部を散策していて、以前から気になっていたのが町家の宿泊施設でした。確かに、コロナ禍前のインバウンド活況時にはブームになっていたこともあり、京町家泊が数多く誕生しました。一方で、雰囲気はいいものの基本的に古い建物ですので、ホテルライクな快適性という点からは疑問符の付く宿泊施設というイメージもありました。コロナ禍において一般のホテルも打撃を受けている中で、果たして京町家の宿は今現在どうなっているのか、京都へ出向いて確かめてみました。

目次

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町家の前にまずはホテルへ……⁉

鈴 四条高瀬川

鈴 プレミアム 町家 京都七条 III

おわりに

町家の前にまずはホテルへ……⁉

Rinn Horikawa Gojo

京都市街を東西に貫く五条通、南北を結ぶ堀川通といえば比較的大きな通りとして知られますが、その交わる堀川五条交差点近くの堀川通に面するホテルが「Rinn Horikawa Gojo」。エントランスは京都らしい和のイメージを醸し出していますが、館内はモダンな都市型ホテルの快適性の高いホテルです。うん? 京町家の記事ではないのか、といった声が聞こえてきそうな冒頭になってしまいましたが、今回紹介する京町家泊に入る前に、このホテルの登場は必須なのです。

今回、京町家の宿泊施設で「鈴」という表記をよく目にしていたこともあり、2施設の予約を試みると、チェックイン場所が当該施設ではないとのことでした。確かに町家にはフロントは無いでしょうし、鍵の受け渡しはどうするのだろうか? と疑問でした。前置きが長くなりましたが、そのチェックイン場所が冒頭のホテルなのです。“Rinn”と“鈴”……なるほど。Rinnも鈴もグループの宿泊施設で、ホテルのほかに京都で町家の宿泊施設を複数手がけているようです。

Rinn Horikawa Gojo

話を聞いてみると、当初、不動産事業の会社による運営だったのですが、最近、多くのホテルを手がける事業者へ運営が移り目下進化途上とのこと。後日談ですが、チェックイン場所である「Rinn Horikawa Gojo」も気になって泊まってみました。かなり快適です。特に客室面積が44平方メートルもある和モダンデラックスツインはおすすめ。ダブルベッド2台にソファーベッドも配されているので、女子旅や夫婦、ファミリーも快適に過ごせそうです。


◆Rinn Horikawa Gojo
住所:京都府京都市下京区堀川通松原下る柿本町573-4

鈴 四条高瀬川

鈴 四条高瀬川

今回それぞれ1泊、計2泊しました。ネットで見るとかなり贅沢な空間ですが、繁忙日を外したこともあり、かなりリーズナブルに予約できました。チェックイン場所のホテルからはそれぞれ離れていますので、事前にチェックインホテルから目的の町家までのアクセス方法などをホテルへ確認するのが吉です。

鈴 四条高瀬川

まず「鈴 四条高瀬川」へ。立地は河原町。市街地でもさらに中心部ですが、裏通りに面しており京風情に溢れています。裏通りに面している、と書きましたが、町家は大抵裏通りという立地ですので駐車場はありません。そもそも一般的に京都観光には車は忌避されますが、仮に車でのアクセスであれば、近隣のコインパーキングをチェックしておきましょう。

ドアノブのパネルに手を当てて起動させた後、カードキーをかざして開錠します。古い町家ですがその辺りは近代的。これは鈴の町家で共通している方法とのこと。中へ入ると2階建てになっており、リビングスペースは1階に設けられています。障子と窓を開けるとそこにはなんと高瀬川のせせらぎが。

鈴 四条高瀬川

縁台が設えてありまさに京風情のゆったりした時間が流れます。バスルームをはじめ水回りはリフォームされており、経年建物で感じる暗いイメージはありません。キッチン、冷蔵庫、電子レンジなど生活できそうなアイテムも揃っています。2階にはゆったりしたスペースの寝室が。一見こぢんまりとしたイメージの町家ですが、居住性が高いのでグループ旅にもマッチしそうです。


◆鈴 四条高瀬川
住所:京都府京都市下京区西木屋町通松原上る三丁目市之町260-4

鈴 プレミアム 町家 京都七条 III

鈴 プレミアム 町家 京都七条 III

さて、翌日はもう1つの町家泊へ。「鈴 プレミアム 町家 京都七条 III」は京都駅からほど近い井筒町に佇む京町家です。“III”の文字が気になりますが、実はこちら3連棟の京町家でI・II・IIIと名付けられています。今回泊まったのはIII。そういえば、さきほどの四条高瀬川にはないプレミアムの文字を冠するあたり気になります。

鈴 プレミアム 町家 京都七条 III

さきほどの四条高瀬川と比べて質感の高さが際立ちますが、よく見ると当時のままの丸太梁や竹子舞も残されており日本文化の奥深さを感じます。京都駅から近いですが閑静な住宅地の立地なので、街の躍動感という点からも河原町という賑やかなエリアに立地する四条高瀬川の動と比べ、静の滞在というイメージです。存在感のある土間のスペースから続くリビングは、贅沢にとられた庭に面しており、京町家にして贅沢な京の雅といった異空間にいる感覚です。

鈴 プレミアム 町家 京都七条 III

一方、大型テレビを配するなど、一見京町家には似つかわしくないアイテムも揃いますが、そこはやはりホテルの快適性ということでしょう。こちらも四条高瀬川同様ですが、水回りも快適に使用できるようリフォームされています。こちらで驚くのがバスルームです。高級ホテルといっても過言ではない空間にテンションアップです。何より感心してしまうのはアメニティ、タオル類のクオリティ。多くの人気ホテルを手がける運営事業者ならではのエッセンスが随所にちりばめられています。パイル地のスリッパひとつとってもかなり秀逸です。

鈴 プレミアム 町家 京都七条 III

京町家の宿泊で気になっていたのが朝食。ホテルならまだしもどうやって提供するのだろうかと思っていたところ、精進料理の仕出しが届けられました。京町家で精進料理の仕出し朝食なんて贅沢な時間です。ドアはオートロックなので、食べ終わったら外に出しておけばいいスタイル。

鈴 プレミアム 町家 京都七条 III

チェックアウトは、室内に備えられたファイルのカードケースにカードキーを入れて退出すれば完了です。オートロックなのでカードキーがないと再入室できませんので忘れ物に要注意です。これら朝食とチェックアウトのやりとりは四条高瀬川と共通の方法です。


◆鈴 プレミアム 町家 京都七条 III
住所:京都府京都市下京区北小路新町西入井筒町654

おわりに

ホテルライクに進化する京町家泊の体験を紹介しましたが、基本的に昔ながらの家をリノベーションした施設であり、たとえば防音や機密性などホテルの快適性とイメージが異なる点は多くあります。とはいえ、一棟貸しというプライベート感は魅力ですし、インバウンド活況で宿泊施設が粗製濫造されたイメージの京都にあって、京町家泊とホテルライクな快適性の追求は今後も楽しみです。

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#ホテルステイ #ホテル #京都 #瀧澤信秋

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ホテル評論家

瀧澤信秋

1971年生まれ。ホテル評論家、旅行作家。国内ホテルを対象に、利用者目線やコストパフォーマンスを重視した取材調査、評論、批評を行う。財団法人宿泊施設活性化機構理事、一般社団法人宿泊施設関連協会アドバイザリーボードを務めるほか、多数メディアでも幅広く活躍。著書に『辛口評論家、星野リゾートに泊まってみた』(光文社新書)など。 (プロフィール画像撮影:片桐圭)

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