2026/01/07
温泉と併せて美味しいグルメも堪能したいということで、有馬温泉に構える鉄板焼きのお店「有馬焼肉 丞-TASUKU-」を訪れました。神戸牛が堪能できるコース料理は、最初から最後まで絶品。実食の様子を、レポートします。
連日35度を超えるような夏日が過ぎ去ってもなお、日中の暑さはやっぱり季節外れの厳しさで、「秋はもうなくなったのかなぁ」なんて思っていたら、10月末になって急激に冷え込み始めました。
日々の忙しさに、この気温のジェットコースターが加わって、どうも体の調子がよくない。会社にも、つらそうに咳き込む部下が多数。ここで自分が体調を崩すわけにはいかないということで、ゆっくり湯治しようと、有馬温泉を訪れました。
それならば、温泉と併せて美味しいグルメも堪能し、なお一層、英気を養いたい。
入念に調べて、ディナーにセレクトしたのは「有馬焼肉 丞-TASUKU-」。ここは、厳選して仕入れた神戸ビーフを、この店独自の調理法で提供してくれるお店です。どんな味覚が待っているのか、実は前日からワクワクしていました。
いつの間にか、主目的が温泉からグルメにすり替わってる気がしますが、まぁよし。
実食の様子を、レポートします。
「有馬焼肉 丞-TASUKU-」は、2021年12月に有馬温泉にオープンした、鉄板焼きのお店です。店名のとおり、当初は焼肉も提供していましたが、現在は鉄板焼きのみを提供。有馬温泉では数少ない、ブランド牛「神戸ビーフ」のステーキが食べられるお店です。
ランチでは気軽に楽しめるお重の提供もあるものの、基本的にはコース料理のみ。神戸ビーフはこのお店ならではの調理法を施す都合から、コースはディナーなら17時~・19時~の完全2部制になっています。
そのこだわりの調理法については、後ほど紹介します。
「有馬焼肉 丞-TASUKU-」の立地は、神戸電鉄の駅「有馬温泉」の目の前。ここは温泉街の中とあって、近隣にコインパーキングが多数あるのもうれしいポイントです。
おすすめのコインパーキングは、お店の目の前! 奥まった位置にあり見つけにくいですが、コンビニすぐそばのコインパーキングよりも安いし、広いから駐車もしやすかったです。
※2025年10月20日時点の情報です
それでは、実際にディナーコースをいただいた際の様子をレポートしていきます。
「有馬焼肉 丞-TASUKU-」のディナーコースには、神戸ビーフのステーキがいただけるコース(100g1万6,000円・150g2万円)と、特選黒毛和牛がいただけるコース(100g1万1,000円・150g1万3,000円)の2種類があり、それぞれ17時~と19時~の完全2部制となっています。
私が予約したのは、17時からのコース。もちろん神戸ビーフのほうを選び、お肉のサイズは100gにしました。
※コースの内容は時期や仕入れによって異なります。今回紹介するコース内容は、あくまで一例です
1品目は、肉寿司です。隠し包丁を入れて火を入れ、ゆっくりと肉同士を熱交換させながら調理をしていくから、お肉は噛みしめる暇もないほどトロトロ。従来、お肉は強火で外側をカリカリに焼き上げる方法が一般的でしたが、小山シェフはそれをやらないのだそう。
「ゆっくりと火を入れて、とろりとさせる食べ方が最も美味しいと思っています。ちょうど、お口に入れたときに溶けだすくらいの温度でお出ししていますので、食感もお楽しみください」(小山シェフ)
酢飯は、見た目もあでやかな赤シャリ。肉の濃厚な旨みに負けていないし、酸味が強すぎるわけでもないという、絶妙なあんばいです。寿司には醤油で漬け込んだシソの実が添えられていて、肉の脂のまろやかな味わいを、最後に引き締めてくれます。
2品目は、お店で仕込んだ塩麹(こうじ)で漬け込み、野菜と一緒に煮た豚肩ロースです。小山シェフのオリジナル料理で、イメージとしてはクール・ブイヨンに近い一品。
ハムというだけあって、豚肉はしっとりと柔らかな口当たりでした。一緒に添えられたミョウガやキクラゲとともに口に運ぶと、さわやかな風味とポリポリとした食感が、なんとも心地良い。オリジナルのゴマダレがまた優しい味わいで、ミョウガの酸味も相まって、このあとがますます楽しみになるような料理でした。
真鯛を茶葉と昆布で締めた一品。柔らかく、昆布締めらしいややねっとりとした口当たりの真鯛には、昆布の優しい塩味(えんみ)が染みわたっています。噛みしめるたびに、お茶の爽やかな苦みが後味を引き締めてくれるのも、また贅沢な体験でした。昆布茶で締める「昆布茶締め(茶昆布締め)」とはまったく異なる味わいです。
添えられた松茸も、たまりませんね。芳醇な旨みと、奥深い苦みが最高です。秋の味覚を堪能できる喜びをかみしめながら、4品目を待ちました。
「有馬焼肉 丞-TASUKU-」は、その店名のとおり、元々は焼肉屋でした。4品目の醤油麹(こうじ)で漬けた和牛ハラミは、そんな焼肉屋の時代の余韻から生まれた料理だそう。お店で仕込んだ醤油麹に付け込んだ和牛のハラミ肉を、休ませながらじっくり、丹念に火入れしていきます。麹のおかげで柔らかな口当たりであることはもちろん、漬け具合も絶妙だから塩気がちょうどいい感じ。
付け合わせにチョイスされたセロリの名脇役ぶりにも、驚きました。みずみずしいセロリの苦みが、ハラミ肉の濃厚な旨みを最後に引き締めてくれるから、後味がもったりしないのです。添えられたピンクペッパーもまた、肉の旨みを引き立ててくれています。
このコンビネーションは、もちろん小山シェフの計算。
「醤油麹漬けは、セロリと合うでしょう。セロリは洋ものの野菜ですから、添え物もピンクペッパーにしています」(小山シェフ)
添え物までこだわりあり。来店の際は、ぜひ副菜まで楽しんでみてほしいです。
魚介がもう一品。なんと、小山シェフが手ずから釣ってきたという太刀魚です。手作業で三つ編みになった太刀魚は、白い身と輝く白銀の皮目がなんとも美しいメニューです。
もちろん、三つ編みにしているのは、見た目のためだけではありません。身が薄く、すぐに火が入ってしまう太刀魚だからこそ、こうして編み込むことで全体を厚くし、内部をミディアムレアに仕上げているのです。熱々の状態をいただくと、ふわふわと軽やかな食感に、思わず笑ってしまいました。こんな優しい口当たりのお魚料理は、食べたことがありません。
調理時には、塩とバターをかけるのみ。あとは提供する際に醤油がいくらか添えられているだけで、味わい自体はシンプルです。だからこそ、小山シェフの工夫と技が堪能できる一品でした。
鉄板で丁寧に焼き上げた野菜は、その時期のものから4品目を登場させることが多いそうです。この日はシイタケ・サツマイモ・オクラ・カボチャに加えて、滋賀県近江八幡市の名物「赤こんにゃく」も登場しました。野菜同士の色合いも見ながら小山シェフが調整するとのことなので、詳しいラインナップは当日のお楽しみに。
どの野菜も、シェフの目利きで仕入れている地場産・近郊産のものばかり。鮮やかでみずみずしい野菜たちが、鉄板の上で焼き上げられていく様子も、また鉄板焼きの魅力ですね。
最後に、いよいよ神戸牛の登場です。お肉はあまりにも柔らかく、一度、二度と咀嚼するだけでジュワっと溶け出してしまいます。存在感のある強烈なお肉の味と、滴り続けてほしいと思ってしまうほど甘美な脂に、思わず笑みがこぼれました。
一体なぜ、肉がこんなにトロトロになるのか。それは、焼き方に秘密がありました。高級ブランド牛である神戸牛の旨みを最大限引き出し、かつなるべく厚くカットして提供したいとの思いから、小山シェフは独自の「休ませ焼き」にたどり着いたのだといいます。
「火を入れて温まった表面(外側)と、熱が入りきっていない内側とでじっくり熱交換を進めることで、肉全体をトロトロに仕上げることができます。そのためには、肉を休ませる時間が大切」(小山シェフ)
肉の状態や同時に焼いている肉の焼き加減にもよりますが、大体3~5回くらいは、熱を入れてから皿の上で休ませるという流れを繰り返すそう。素人目にはしっかり焼き色がついているように見えても、それは実は外見だけなのですね。
「有馬焼肉 丞-TASUKU-」ではレアがもっとも調理時間が長いというのは、なるほど、この焼き方だからこそというわけです。ウェルダンなら、ステーキをカットしたあとで内部にも焼きを入れればいいのに対し、レアはあくまでレアの状態を超えないように、それでいてトロトロになるように時間をかけて熱交換を進めていかなければいけないので、相応に休ませる時間が必要だと。
皿の上で鎮座しているステーキをみて、「ほったらかしにされてるんじゃないよな?」と一瞬戸惑いましたが、素人のいらぬ勘繰りでした。
なお、こうした調理方法ゆえに、レアの状態からの焼き直しはできません。じっくりと内部まで火を入れたレアは、少し焼いただけでもあっという間にミディアムレアの加減を超えてしまうからです。一方で、ミディアムまたはミディアムレアなら、焼き直しにも対応していただけます。迷ったら、ミディアムレアがベターですよ(写真はミディアムレア)。
使用している肉にもこだわりが光ります。神戸牛であることは言うまでもなく、肉の仕入先も、小山シェフが信頼する食肉加工業者のみに絞っているのだそう。小山シェフご自身が働いていたこともある肉屋だということで、品質の高さについては「信頼してます」と小山シェフ。和牛も同様の業者から仕入れているため、品質が高いものだけを楽しむことができます。
お肉は、丁寧にトリミングした状態から重量を選べるのもうれしい配慮です。
「お客様がグラム数を選んだとき、脂や筋を含めてグラム数を量るようなことはしたくありません。お客様を疑心暗鬼にさせた時点で、飲食店としては失格。当店では、トリミングして、きちんと磨き上げたお肉を提供しています」(小山シェフ)
お肉は100グラムか、150グラムから選べますよ。
最後は、季節のフルーツで締めます。この日はイチジクや早摘みのミカンなど秋らしい果物が多数登場しました。
なかでも特にうれしかったのは、梨です。私は自他ともに認める梨好き! この日の梨は鳥取県のブランド梨「新甘泉(しんかんせん)」とあって、大興奮! 一口頬張れば、とにかくみずみずしいこと。たっぷりの果汁とともに梨らしい味わいのある甘さが口に広がり、なんとも贅沢な瞬間でした。
最後の最後まで、大満足のコースでした。
以上、全8品からなるコースを堪能しました。神戸牛も登場して、これでお値段は1万6,000円なのだから、お手頃な価格だと思います。有馬温泉を訪れるなら、温泉に加えて鉄板焼きを楽しんでみてはいかがでしょうか。
ただし、コースのスタート時間には注意してください。ステーキはじっくりと時間をかけて焼き上げる都合上、どうしてもコースは一斉にスタートせざるを得ないのです。夜なら17時スタートと19時スタートの二部制ですので、無理なく来店できる時間を予約しましょう!
参考になりましたか? 旅行・おでかけの際に活用してみてください。
記事企画・監修: 旅色編集部
ライター:
有馬焼肉 丞-TASUKU-