


都心から約1時間。豊かな水辺に囲まれた群馬・板倉町には、
空を舞うグライダーや清流育ちの川魚グルメなど、
ここでしか出会えない景色と味があります。
女優・矢田亜希子さんが、2つの旅プランでこの町の魅力をたっぷり満喫しました。
写真/山田大輔 スタイリング/高野夏季(HITOME)
ヘアメイク/千葉万里子 文/竹林佑子
車 約1時間
関東各地に点在する「雷電神社」の総本宮が、ここ板倉町にあります。その起源はおよそ1400年前。この地を訪れた聖徳太子が神のお告げを聞き、沼に小さなほこらを建てたことが始まりとされています。矢田さんが参拝後に見入っていたのは、さまざまな重要文化財に指定されている社殿たち。本殿には名匠・石原常八による精巧な彫刻が施されており、一見の価値あり。浦島太郎などのおとぎ話が色鮮やかに表現されています。裏手には水に関わる神様・弁財天や、板倉町の大切な食資源でもあるなまずの銅像も。「なまずさん」を撫でると、地震を除けて自信が湧き出るといわれ、地元でも古くから親しまれています。
雷電神社
住所/群馬県邑楽郡板倉町大字板倉2334
時間/9:00~16:00(なまずさんの参拝)





車 約4分




板倉町の郷土料理といえば、なまずや鯉などの川魚(かわうお)。水資源が豊かなこの地域では、川魚の鮮度がよく、ひと昔前までは各家庭で釣って食卓に並ぶことがあったそう。1897(明治30)年創業の「うおとし」では、板倉産の新鮮な川魚を堪能できます。なかでもおすすめは、なまず料理。他地域では珍しい天然ものを味わえるのは、自然に恵まれ水がきれいな環境だからこそ。そのため臭みもなく、味わいは鯛に似て、淡白ななかにうまみと甘みを感じます。地をはって泳ぐため筋肉質で、刺身ならしっかりとした歯応えがあり、火を入れるとフワッと柔らかな真逆の食感を楽しめます。変幻自在の食材で、和洋問わずどんなメニューにもマッチするんです。
川魚郷土旬菜 うおとし
住所/群馬県邑楽郡板倉町大字板倉903
電話/0276-82-0054
時間/11:00〜15:30(LO14:30)、16:30〜20:30(LO19:30)
定休日/火曜日

車 約4分

1234年に創建され、学問の神様・菅原道真公を祀るのは「髙鳥天満宮」。鳥居をくぐると、その先には社殿を彩る華やかな彫刻の数々が目に飛び込んできます。現在の社殿は江戸後期の建築で、色鮮やかな龍たちが参拝者を静かに見守る姿が印象的。こちらも彫物師・石原常八らによって手がけられたものです。また社殿内の格天井には、百人一首の歌と詠人の絵が99枚もはめ込まれていて、圧巻。江戸時代、娯楽として庶民に広く普及していた百人一首。当時の人々もきっと、ワクワクしながらこの天井を見上げていたことでしょう。
髙鳥天満宮
住所/群馬県邑楽郡板倉町大字大高嶋1665
電話/0276-82-0122



車 約7分




板倉東洋大前駅近くにある、煙突が付いたかわいらしい三角屋根のカフェ、それが「ロポン」です。大きな窓から光が柔らかく差し込む店内は、つい長居したくなる心地よさ。ショーケースに並ぶケーキはもちろん、夏に人気のかき氷のシロップも手作りにこだわっています。板倉町出身のパティシエール・増田さんは地元の素材を知っているからこそ、「イチゴやいちじくなど、できるだけ旬の地元産食材を使いたい」と話します。この日いただいた「ベリーピスタチオ」はコクのあるムースにベリーの酸味が効いて、おもわずにんまりしてしまうおいしさ。ドリンクと一緒に味わいながら、ほっとひと息ついてみては。
Cake Cafe ロポン
住所/群馬県邑楽郡板倉町朝日野3-8-8
電話/0276-55-4525
時間/10:30〜18:00
定休日/日~火曜日(火曜日は館林販売所のみ営業)

車 約7分

日帰り旅の終わりに立ち寄りたいのが、“歩いて行ける三県境”。「三県境」とは3つの県の県境が1カ所に集まるスポットのこと。全国に40カ所以上ありますが、山や河川の中にあることがほとんどで、徒歩で行けるのはここだけ。この珍しさに来訪者は全国からやってきます。田畑の中に遊歩道が整備され、一歩歩けば栃木県栃木市、さらに進むと埼玉県加須市に。そしてもう一歩踏み出せば群馬県板倉町に戻るという、ちょっとユニークな体験ができます。矢田さんもリズミカルに三県を越境して、記念写真をパシャリ! 来訪者ノートにもメッセージを書いて、旅の思い出を残していました。
三県境 住所/群馬県邑楽郡板倉町大字海老瀬間田地内




三県境近くを通る、渡良瀬遊水地沿いの県道9号「佐野古河線」。板倉町から南へ向かって車を走らせるときは、ぜひカーナビの県境案内をオンにしてみてください。たった1.5kmほどの間に「埼玉・群馬・栃木・埼玉」と、目まぐるしく県境越えのアナウンスが聞こえてきます。かつては川の流路に沿って入り組んでいた県境ですが、渡良瀬遊水地の誕生によって流路が変化。県境はそのままに、直線道路が整備されたため、県をまたぎ続ける不思議な道となりました。