地方独立行政法人 青森県産業技術センター
りんご研究所県南果樹部 部長（総括研究管理員）内藤 誠さん

さくらんぼの新品種開発は、平成8（1996）年に事業計画が立てられ、その翌年からりんご研究所県南果樹部にてスタートしました。「研究員一人ひとりが各々の研究を個別に行っているので、実際には主に一人の研究員がジュノハートの開発を担当していました」と内藤さん。いろんな品種の組み合わせで受粉し、種を採り、それを育てて、果実を観察、そして試食の繰り返し……。農家や県職員など多くの人々が、大きさ、形、甘さ、食感ともに優秀と評価し、交配から16年、平成25（2023）年に品種登録され、ついに新品種「ジュノハート」が誕生しました。

留長果とめちょう樹園　園主留目とどめ 秀樹さん

2023年6月下旬、ジュノハートがつややかに、そして深紅に色づき、収穫の時期を迎えています。青森県で唯一、ジュノハートのハウス栽培と露地栽培の両方を行っている留目さんによると「ハウス栽培はマニュアルもなく、果実を実らせることもひと苦労ですが、その難しさこそが“面白さ”。実らせたときの喜びは作っている人にしか味わえない」のだそう。留目さんは、ジュノハートについて「持って生まれた形はかわいいハート型だし、艶があるし、味もいい。どこをとっても文句のつけようがない」と評し、「お客さんが口に運んでおいしいと言ってくださる喜びは、苦労が報われる瞬間」と笑顔で話してくれました。

八戸中央青果株式会社 果実部 果実第一課
課長代理古里 直貴さん

鮮度が命のジュノハートが出荷されるのは、初競りからわずか3週間ほどの短い期間のみ。年々ジュノハートへの注目度が高まっているようで、競り人は栽培や性質などの知識を培ったり、収穫時期を把握したり、毎年の出来栄えを確認するための情報収集が欠かせません。市場で26年間果実の競りを担当する古里さんも、日頃から生産者や農業協同組合の元など現地に足を運んでいるのだとか。「ジュノハートへの期待値が上がるほど初競りはプレッシャーですが、市場から果物を購入する買受人（かいうけにん）やジュノハートの生産者の情熱が集結する大事な日なので入念な準備は欠かせませんね」と話していました。