まるでタイムスリップしたかのような趣きのある街並み。
立ち並ぶ風雅な建物や倉庫も、できた当初は最先端だったはず。
そんな建物を、人々が集うカフェやレストランとして
生まれ変わらせたスポットが増えてきました。
小江戸の雰囲気溢れる場所を中心に、空間ごと
味わいたくなるお店とグルメを紹介します。
文/石塚あみ(RUNS)
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旅人や大名行列が行き交った三国街道。その宿場町として栄えた塩沢宿の「牧之(ぼくし)通り」は、雪国の風習や生活を描写した名著『北越雪譜』を手掛けた江戸時代の文人・鈴木牧之にちなんで名付けられました。伝統的な雪国の建築である雁木(がんぎ)造りが魅力の牧之通りに佇む「OHGIYA CAFE」は、享保2(1717)年創業、300年以上の歴史を誇る青木酒造、2棟の蔵を移築して建てたカフェです。
看板メニューの「ソフトクリームワッフル」(450円)は国産の小麦に新潟県産の米粉と酒米粉(さかまいこ)、豆乳を配合し、バターを使わずに焼き上げたヘルシーでサクサクなワッフルにソフトクリームを添えて。酒米粉とは、酒米を削った際に出る米粉で、柔らかさの中にしっかりとした食感を残します。日本酒の仕込み水で淹れた香り高いブレンドコーヒー(430円)など酒造ならではのメニューが豊富です。
OHGIYA CAFEはランチメニューにもヘルシーなこだわりがあります。「スパイスチキンカレー」(1,500円)は自家製の発芽酵素玄米とチキンカレーに、甘いプレーンワッフルをトッピング。ワッフルをパンのようにカレーに付け、マイルドに味わうのがおすすめです。店内の本棚には、雪国の風習や生活を描写したベストセラー「北越雪譜」など雪国ならではの本が。コーヒーを片手に読みながら、ほっとしたひと時が過ごせます。
住所/新潟県南魚沼市塩沢181-1
電話/025-775-7701
営業時間/月・木~日曜日10:30~17:30(LO17:00)
定休日/第2・4火曜日、水曜日(不定休あり)
アクセス/JR塩沢駅から徒歩約5分
「蔵造りの町並み」で有名な川越ですが、ほかにも趣深い場所が随所にあります。明治から大正期に建てられた芸者置屋や土蔵が並ぶ「弁天横丁」は、かつては「芸者横丁」と呼ばれた繁華街。今は静かな通り沿いに佇む古民家のひとつが、芸者たちの置屋として使用されていた、築100年以上の長屋をリノベーションした「ギャラリー&カフェ二軒堂」です。看板メニューは店主の気分でラインナップが変わる「本日のカレー」(1,100円)。定番の「グリーンカレー」は季節の野菜と、鶏やきのこの出汁、赤唐辛子の辛味とココナッツのマイルドな甘さが口の中で広がる、まろやかな味わいが特徴です。
住所/埼玉県川越市元町1-16-6
電話/049-214-6276
営業時間/水〜日曜日12:00~15:00(LO14:30)18:30~22:30(LO22:00)、土・日・祝日12:00~17:00(LO16:30)18:30~22:30(LO22:00)
定休日/月曜日、火曜日
アクセス/西武鉄道新宿線本川越駅から徒歩約20分、東武鉄道東上本線川越市駅から徒歩約20分、東武バス 札の辻バス停から徒歩約2分
蔵前には、江戸時代、幕府が集めた年貢米を保管する蔵がありました。そこに、武士が幕府からもらう給料ともいえる俸禄米(ほうろくまい)を代わりに受け取って換金する札差(ふださし)が住み、粋を競っていたそう。近くには寺社仏閣も多かったため、大正時代はものづくりの街として栄え、玩具問屋だけで約120軒もあったとか。「Nui. HOSTEL & BAR LOUNG.」は、享保9(1724)年から300年以上続く老舗おもちゃ会社「増田屋コーポレーション」の元倉庫ビルを改装したホステル兼バーラウンジです。木の形をそのまま生かしたバーカウンターでいただくオリジナルカクテルは格別の味わい。人気のカクテル「ペニシリン」は注射器の飾りがついて、遊び心満載。スコッチウイスキーにオリジナルのジンジャーシロップとはちみつ、レモンの甘さを効かせた人気カクテルです。
朝8時からは宿泊客以外でも食べられる「ブランチプレート」(1,600円)を提供。ピリ辛のチリコンカンと季節のサラダ、カリっと焼いたベーコンにやわらか食感のカンパーニュが彩るボリューム満点のプレートです。隅田川の川沿いならではの開放感から、数年前までは世界各国からのバックパッカーが集まるホステルでした。徐々にまた賑わいを見せつつあるグローバルな場所で、やすらぎタイムを満喫しましょう。
住所/東京都台東区蔵前2-14-13
電話/03-6240-9854
営業時間/8:00~18:00(LO17:30)、18:00~24:30(LO24:00)
定休日/不定休
アクセス/都営大江戸線蔵前駅から徒歩約15分
徳川家康は鎌倉を「武家政権発祥の聖地」として重視し、
鎌倉幕府の正史「吾妻鏡」を愛読し、武士の道理や治世の術を学んでいたそう。
江戸幕府のルーツともいえる鎌倉の、とっておきの古民家グルメをご紹介します。
参道である若宮大路を中心に、多くの商店が軒を連ねる鶴岡八幡宮周辺。若宮大路と並行する観光名所・小町通りの間、「裏小町通り」と呼ばれているあたりは日本家屋が点在する古都らしい風情に溢れています。裏小町通りに2022年にオープンした「enso」は、ビューティーブランド「OSAJI(オサジ)」が手掛ける食と調香を楽しむレストラン。白い暖簾をくぐると、築100年以上の元芸者置屋をリノベーションした古民家が迎えてくれます。ランチメニューは「季節のお料理コース(6,000円)」1コースのみで、時期によってメニューが変わります。シェフが選び抜いた野菜は、地元鎌倉や湘南の旬のもので、モダンフレンチへと生まれ変わります。出汁や発酵⾷品など、和の要素も取り入れて「⾝体と⾵⼟に調和する料理」をコンセプトに上質なランチを提供しています。
メイン料理は「旬魚 鎌倉発酵白菜 enso産柚子」。塩麹でマリネした旬の魚と、発酵させた鎌倉産の白菜に、庭で収穫した柚子のソースがかけられ、風味豊かな味が広がります。平日の15時からはカフェ営業をしていて、コースでも提供されるいちごスイーツが楽しめます。
住所/神奈川県鎌倉市小町2-8-29
電話/0467-39-6141
営業時間/11:00~15:00(LO13:30)、15:00~18:00(LO17:00)※時間制・予約制、土・日・祝日8:00~19:00 (LO17:00)※時間制・予約制
定休日/水曜日
アクセス/JR鎌倉駅から徒歩約5分