テーマのある旅 レトロ洋館で過ごす特別な休日
「迎賓館赤坂離宮」でアフタヌーンティー。本館を眺めながらいただくスタイルは、時を忘れてくつろげそう
レトロ洋館で過ごす特別な休日

レトロ洋館で過ごす特別な休日

ノスタルジックな雰囲気を纏う、異国情緒あふれる洋館。近年のレトロブームも相まって、若者をはじめ多くの人を魅了し続けています。今回は、施設見学だけでなく、プラスアルファで楽しめる洋館をご紹介。併設カフェやアート展などその洋館ならではの体験は、旅の思い出に彩りを与えてくれるはず。意匠をこらした建築と、ちょっといい体験で、素敵な休日を過ごしてみませんか。

文/石塚あみ(ランズ)

Spot01 2021年リニューアルオープン。最新技術とともに楽しんで 旧函館区公会堂

旧函館区公会堂
函館を代表する坂道「基坂(もといざか)」を上った高台に佇む
北海道函館市
旧函館区公会堂
皇族が利用した貴賓室が、当時の雰囲気のまま展示されている
旧函館区公会堂
無料ARアプリ「COCOAR」を事前にインストールすれば館内のARが体験可能
旧函館区公会堂
つり天井で柱を使っていない大広間

和と洋の要素が融合した建築意匠に優れている「旧函館区公会堂」。明治43(1910)年に完成した木造2階建てで、正面にバルコニーがある左右対称のコロニアルスタイルが特徴です。かつては演奏会や展示会の会場など様々な形で利用され、函館市民に親しまれてきました。昭和49(1974)年には国の重要文化財に指定。大規模な保存修理工事のため長らく休館していましたが、令和3(2021)年春、リニューアルオープンしました。リニューアル後は創建当初のように外壁が色鮮やかな青灰色と黄色に塗り直され、美しいコントラストが生み出されています。また、館内展示にはAR(拡張現実)技術が導入され、各部屋に設置された案内板のQRコードを読み込むことでより詳しい解説が見られるようになりました。2階のバルコニーからは、美しい海と函館の街を一望できます。

旧函館区公会堂 住所/北海道函館市元町11-3
料金/300円
営業時間/9:00〜17:00(11月〜3月)
9:00~18:00(火曜~金曜)、9:00~19:00(土曜~月曜)(4月~10月) 
休館日/年末年始(12月31日~1月3日)、ほか臨時休館あり
アクセス/電車:JR函館駅から車で約10分、車:函館新道函館ICから約30分
電話/0138-22-1001

spot02 宮廷建築の庭で非日常感を味わうアフタヌーンティーを 迎賓館赤坂離宮

迎賓館赤坂離宮
花崗岩でおおわれた重厚な造りの正面玄関
迎賓館赤坂離宮
迎賓館で最も格式高いとされる「朝日の間」

明治42(1909)年に東宮御所として建てられた、日本では唯一のネオ・バロック様式による宮殿建築物。その豪華絢爛さからは、明治期日本の近代洋風建築技術の到達点が窺えます。その後、国の迎賓施設への大規模な改修が行われ、昭和49(1974)年には現在の迎賓館として新たに歩み始めました。これまで多くの国王、大統領、首相などを迎えたほか、国際会議の場としても使用されています。そんな迎賓館では、接遇に支障の無い範囲で一般公開を行っています。また、通常の参観だけではなく前庭で1日20セット限定のアフタヌーンティーを楽しめます。キッチンカーから提供されるカジュアルなスタイルで、国産の有機茶葉のみをブレンドしたオリジナル和紅茶や、日本各地の食材を使ったスイーツなどがいただけます。開放的な特等席で、本館を眺めながら優雅なティータイムを過ごしてみてはいかが。

迎賓館赤坂離宮住所/東京都港区元赤坂2-1-1
料金/1,500円(本館・庭園)、300円(庭園)
営業時間/10:00~17:00(本館最終受付は16:00)
休館日/水曜日、年末年始 ※HPで要確認
アクセス/電車:JR、東京メトロ四ツ谷駅から徒歩約7分
電話/03-5728-7788(テレフォンサービス)

東京都港区
迎賓館赤坂離宮
「彩鸞(さいらん)の間」の部屋の装飾は、19世紀初頭ナポレオン一世の帝政時代にフランスで流行したアンピール(empire=帝政)様式
迎賓館赤坂離宮
国宝にも指定された噴水
迎賓館赤坂離宮
アフタヌーンティーは事前予約がおすすめ。1セット/2名分5,600円(令和5年1月より5,900円)

spot03 「デザイン都市・神戸」の拠点で感性を磨く デザイン・クリエイティブセンター神戸

デザイン・クリエイティブセンター神戸
神戸市の中心部・三宮の海側に位置する
兵庫県神戸市
デザイン・クリエイティブセンター神戸
「KIITO SHOP」ではここでしか買えないKIITOオリジナルグッズやクリエイターのグッズなどを販売
デザイン・クリエイティブセンター神戸
イイダ傘店「翳す―かざす―」ではPOP UP SHOPなども開催
デザイン・クリエイティブセンター神戸
情緒あふれるカフェのテーブルは旧生糸検査所時代にも使われていたそう

昭和初期に輸出生糸の品質検査を行う施設として建てられた旧生糸検査所を改修し、平成24(2012)年にオープン。“KIITO(キイト)”という愛称で親しまれる、ユネスコ創造都市ネットワークにより指定された「デザイン都市・神戸」を推進する上での拠点施設です。当時の形を継承する外観はネオゴシックを基調とし、港町・神戸の景観に溶け込んでいます。館内ではデザイン、アートに関する展示やイベントなどを開催するほか、図書館やカフェなど施設が充実。令和4(2022)年12月2日(金)~令和5(2023)年1月9日(月・祝)には「イイダ傘店」による展覧会「翳す-かざす-」が開催され、1本の傘が完成するまでの物語と、イイダ傘店の世界を堪能できます。

デザイン・クリエイティブセンター神戸住所/兵庫県神戸市中央区小野浜町1-4
料金/無料
営業時間/9:00~21:00
休館日/月曜日(祝日、振替休日の場合は翌日)、年末年始(12月29日~1月3日)
アクセス/電車:JR三宮駅から徒歩約20分、車:京橋ICから約3分
電話/078-325-2201

spot04 門司港レトロ地区でアートを満喫 旧大阪商船

旧大阪商船
かつては“港の美貌”ともよばれたそう
旧大阪商船
ギャラリーではオリジナルグッズの販売も

大正6(1917)年、大阪商船門司支店として現在の門司港レトロ地区に建てられました。当時の門司港からは1カ月の間に台湾、中国、インド、欧州などに向けて約60隻もの客船が出航。大阪商船ビルは大陸航路の待合所として賑わっていました。灯台のような八角形の尖塔と、鮮やかなオレンジ色のレンガ造りが洗練された印象です。1階はカフェのほかに、現在は北九州市出身の漫画家・わたせせいぞう氏の画廊『わたせせいぞうギャラリー』となっており、レトロな雰囲気のギャラリーに作品が飾られています。展示作品は春と秋に入れ替わり、テーマも設けられているのでぜひ足を運んでみて。

旧大阪商船住所/福岡県北九州市門司区港町7-18
料金/入館無料、150円(わたせせいぞうギャラリー)
営業時間/9:00〜17:00 
休館日/無休
アクセス/電車:JR門司港駅から徒歩約3分、車:春日ICから約5分
電話/093-321-4151(門司港レトロ総合インフォメーション)

福岡県北九州市
旧大阪商船
総レンガ造りの見た目に反して建物は木造
旧大阪商船
夜のライトアップは幻想的な光景が広がる