浅田政志の宿旅

旅の目的は、あの宿に泊まること―。静やかな宿泊体験を切り取る写真連載。第37回は、雪国の暮らしに触れられる、豪農のお屋敷をリノベーションした宿。かまくらの中にいるように穏やかです。
写真家 浅田政志の宿旅
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親戚んち

Vol.37「ryugon」新潟県南魚沼市

多彩なアクティビティのなかでも一番人気は、地元のお母さんに郷土料理を習う「土間クッキング(1人3,850円、要予約)」。まるで親戚の家に遊びに来たように、おしゃべりしながらお手伝い。「おいしい」への助走が始まります。
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ビフォー
アフター
「土間クッキング」は先生の関さんの下ごしらえが完璧なので、火を焚べたり野菜を切るだけで気軽にできます。お膳には、旬の山菜を使った郷土料理も。ちなみに山菜は、関さんが旦那さんと収穫したものだそう。
実食!
ごはんと汁物を盛り付けたら、お昼ごはんとしていただきます。お料理もさることながら、香り高いごはんもごちそう! 里山の恵み、人の温かさを満喫できるアクティビティです。
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豪農や庄屋のお屋敷を移築・改築した趣のある母屋に入ると、前身の宿の屋号「龍言」と書かれた提灯が掲げられています。親戚の家のような親しげな雰囲気から、一流の宿としての風格に背筋が伸びます。そして穏やかなもてなしに、すぐ背中が丸まります。
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豪農の威厳
まるで、かまくら
伝統的な建築を生かしつつも、館内はモダンにアップデート。レセプション奥のラウンジにある「白い囲炉裏」は吹き抜けからの明るさで、座った誰もが天を仰ぎます。家具は雪や樹木など自然の造形美をモチーフにしたオリジナル。“寛ぎ”しかありません。
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お気をつけください。時間が普段よりゆっくり流れます
客室は大きく分けて、それぞれが独立したつくりのヴィラスイートと、
雪国の伝統的家屋の趣が残るクラシックの2タイプ。
ヴィラスイートは全室露天風呂付で、大きな窓のおかげで外と一体化しているよう。
雪が降るように、しんしんと己を見つめる贅沢な時間が過ごせます。
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出発のとき
豪雪地帯の南魚沼エリア。滞在を通して、建物の設えや保存食など、雪国ならではの暮らしの知恵に触れられます。冬には敷地内の移動に「みの」を利用することも。「かさ」や「かんじき」などはショップでも販売しています。

「ryugon」

創業50年以上の由緒ある宿が、日本一の豪雪地帯の風土や文化を知るための宿として、2019年にリニューアル。郷土料理や現地の暮らしを体験できる土間クッキング、周辺の自然を満喫するサイクリングや街歩きガイドツアーなど、宿を起点にここならではの体験が揃っています。もちろん、お部屋でのんびり過ごすのも、ここでしかできない体験。なにをするのも自由ですが、かまどで炊いたお米はぜひ食べてほしいと思います。

住所 / 新潟県南魚沼市坂戸1-6
電話 / 025-772-3470
料金 / 22,550円〜(1泊2食付き、2名一室あたり)*入湯税別

浅田政志
Masashi Asada浅田政志
1979年三重県生まれ。2007年に写真家として独立。2008年、写真集『浅田家』(赤々舎刊)で第34回木村伊兵衛写真賞を受賞。2020年、『浅田家!』として映画化された。著書に『NEW LIFE』(赤々舎刊)、『家族新聞』(幻冬舎刊)、『浅田撮影局 まんねん』(青幻舎)など。また、国内外で個展やグループ展を精力的に開催している。
http://www.asadamasashi.com/