ゆったりヒストリー

ゆったりヒストリー
かつて円智上人が病に倒れた際、夢枕に童子が現れ、この地に温泉ありとお告げがありました。温泉を見つけて沐浴すると快復したそうです。
イラスト/池田衣絵

大鰐温泉[青森県]

その湯にまつわる伝説や歴史を巡る、温泉の旅。今回は、津軽の奥座敷である大鰐の名湯にゆったり浸かります。
大鰐温泉[青森県]
ゆったりヒストリー 大鰐温泉[青森県]
9月初旬から5月初旬頃まで、リンゴを浮かべたさわやかな香りの内風呂で湯浴みが楽しめます。夏は青森ヒバをリンゴに見立てたヒバリンゴを浮かべています。
大鰐温泉[青森県]
ゆったりヒストリー 大鰐温泉[青森県]
四季の移ろいを肌で感じられる、不二やホテルの「四季の湯」。内湯と露天風呂があり、露天風呂は庭園の中に設けられています。日曜・祝日のみ外来入浴も可能です。
大鰐温泉[青森県]
ゆったりヒストリー 大鰐温泉[青森県]
「大鰐町地域交流センター 鰐come」は、大鰐温泉を手軽に楽しめる日帰り温泉施設。木と石をふんだんに使用した2種類の大浴場があり、男女日替わりで入浴ができます。
ゆったりヒストリー 大鰐温泉[青森県]

800年以上の歴史の中で
僧侶や津軽藩主を癒してきた津軽の名湯

青森県津軽地方の南端、大鰐(おおわに)町。町の中心を流れる平川の両岸には、レトロな銭湯や老舗の温泉宿、近代的な旅館が立ち並び、温泉客を迎えています。大鰐温泉は800年以上の歴史を持ち、古くから津軽の奥座敷として親しまれてきました。開湯の歴史を遡ると、平安末期から鎌倉初期頃、東国行脚中の円智上人が発見したと伝わっています。円智上人は、本尊である大日如来を移奉するため、蔵館(くらだて)に高伯寺を建立していたところ病に倒れてしまいました。その時夢に童子が現れ、「この地に温泉あり。土用丑の日に沐浴すべし」というお告げがあり、その言葉通りに沐浴したところ快復した、といいます。また、江戸時代に初代津軽藩主となった津軽為信公も、夢のお告げに従って大鰐温泉で目を洗ったところ、眼病が快癒したというのです。時は流れ、明治28(1895)年に奥羽本線大鰐駅が開業したことから、大勢の湯治客で温泉場は賑わいました。無色透明の湯は肌にやさしく、洗い上がりはすべすべに。また、保温性に優れているので湯上がりもしばらくポカポカとした温かさが続きます。5月下旬は温泉街の南側にある茶臼山公園のツツジが見頃を迎える頃。花見とともに訪れたい温泉です。

文/清水由香利(RUNS)

名湯DATA

泉質/塩化物-硫酸塩泉
効能/神経痛、冷え性、胃腸病、皮膚病など

大鰐温泉周辺のおすすめ情報

神岡山 大円寺

神岡山 大円寺

大日如来を本尊とする大円寺。“大鰐の大日様”として篤い信仰を集めています。干支の未(ひつじ)と申(さる)も祀られており、朱色の山門には未と申の模様が彫られています。

ホットパーク加賀助

ホットパーク加賀助

町内を流れる平川沿いにある足湯。かつて津軽の奥座敷として栄えた加賀助旅館の跡地に作られました。近くには餅菓子店などもあり、甘味をいただきながら浸かるのもおすすめです。

大鰐温泉もやし

大鰐温泉もやし

約400年前から、温泉熱と温泉水のみで栽培されている津軽伝統野菜のひとつです。津軽三代藩主・信義が大鰐に湯治で訪れる際には必ず献上されたといいます。シャキシャキとした歯触りが特徴です。

弘前公園

弘前公園

弘前藩主・津軽家代々の居城であった弘前城の敷地跡に広がる公園。弘前城は江戸時代に築かれた東北唯一の現存天守です。例年、おおむね4月下旬には桜が満開を迎え、5月5日まで弘前桜まつりを開催しています。

湯を愉しむお宿

星野リゾート 界 津軽
津軽の伝統文化に触れ
ヒバの香りの湯に癒される

星野リゾート 界 津軽

自然に囲まれた星野リゾートの温泉旅館。青森ヒバを使用した湯舟に浸かれば、ヒバの香りに癒されながら湯浴みが楽しめます。また、5月初旬まではりんごを浮かべており、青森ならではの温泉が体験できます。食事には、青森を代表する食材のひとつ、大間のマグロをはじめ、季節の食材を使用した会席料理を堪能。食後には、津軽三味線全国チャンピオンと、界のスタッフによる津軽三味線の生演奏も。また、こぎん刺しや津軽三味線といった津軽の伝統文化を体験できるオプションもあります。津軽こぎん刺しの模様を現代風にアレンジした客室も見どころです。

住所/青森県南津軽郡大鰐町大鰐字上牡丹森36-1
電話/0570-073-011(代表予約番号)

大鰐温泉 不二やホテル
四季の移ろい感じる
老舗の温泉宿

大鰐温泉 不二やホテル

大正15(1925)年創業の老舗宿。創業当時は340平方メートルの小さな宿でしたが、創業者・藤田綱吉により増改築を行い、総面積1980平方メートルの現在の不二やホテルの基礎が造られたと言います。純和室の客室からは、周囲の山々を見渡すことができ、緑に囲まれた空間でくつろぐことができます。本館12畳掘りごたつ付きの客室がおすすめ。食事には津軽の山と海の恵みをたっぷりと盛り込んだ季節の和食膳を。倉石牛やホタテ、シャモロックなどの特選素材を使った特別追加料理も堪能できます。温泉は、露天風呂、大浴場のほかにサウナも楽しめます。

住所/青森県南津軽郡大鰐町歳館川原田63
電話/0172-48-3221