歩 く ほ ど に
心ときめく発見がある 広島・竹原へ

Special Interview Rina Kawaei
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  •  Contents
  • Special Interview 比嘉愛未
  • 1泊2日のRefresh Trip 竹原]広島県
  • あの人の旅プラン 村上佳菜子 〜旅について〜
  • 写真家・浅田政志の宿旅 toggle hotel suidobashi]東京都
  • エリアフィーチャー 広島[広島県]
  • タベサキ 上庄さといも物語
  • 今月のロマン秘湯 峰温泉[静岡県]
  • テーマのある旅 冬の天体観測
  • 今月の旅カルチャー 珈琲
Special Interview Manami Higa
ドラマに映画、CMとメディアで見かけない日はない比嘉愛未さん。歳を重ねるにつれますます美しく、磨きがかかった演技を見せてくれています。そんな大活躍の比嘉さんにとって、欠かせないもののひとつが旅。2022年全国公開予定の、広島を舞台にした主演映画『吟ずる者たち』で滞在した竹原市や、故郷の沖縄県のお話を聞いてみると、ひとりの女性としての、比嘉さんの“今”が見えてきました。 撮影/山田大輔 スタイリング/後藤仁子
ヘアメイク/奥原清一 文/若宮早希

期待値をはるかに超える感動が竹原市にはありました。

広島を舞台にした映画『吟ずる者たち』の撮影で、竹原市を何度も訪れたという比嘉さん。改めて竹原市を巡り、以前と変わらない魅力、今回新しく発見した魅力についてお伺いしました。

久しぶりに訪れた竹原市はいかがでしたか?

竹原市には3年程前、撮影で2週間くらい滞在しました。またこの街に戻ってくることができて本当に嬉しいです。懐かしい感じがしました。
作品を作るときは、まずその土地を知ることが大切だと思っているので、撮影中は空き時間があれば出かけています。「たけはら町並み保存地区」もよく歩きました。「照蓮寺」をお参りしたり、「ほり川」でお好み焼きを食べたり。「藤井酒造」はロケの際にもとてもお世話になりましたね。撮影後に皆さんと飲みに行ったり、とても楽しい時間を過ごさせていただいたので、またお会いできてよかったです。

街の歴史や人の思いに触れると、たくさんの気づきがあるんです。

映画の撮影にあたり、広島の日本酒造りの歴史についてはかなり勉強しました。竹原市は塩の産業で栄えた街ということもあり、そこからお酒や味噌造りに発展していったんですよね。どうして広島には酒蔵が多いのかなど、その土地の歴史を知ると旅はもっと楽しくなると思うんです。特に竹原市は町並み保存地区として守られている街なので、ここで暮らしてきた人たちの足跡を感じられます。年齢を重ねていくにつれて、ロマンを感じられるような歴史ある街の素晴らしさが分かるようになってきました。

ストールコート57,200円(グレースコンチネンタル/グレースコンチネンタル 代官山本店 03-5456-0209)、タートルニット15,400円(ラブレス/ラブレス青山 03-3401-2301)、スカート19,800円(キャストコロン/SANYO SHOKAI カスタマーサポート(CAST:) 0120-340-460)、イヤリング13,200円(ラ・キアーヴェ /ドレスアンレーヴ 03-5468-2118)、バッグ 参考商品(マロウ/モガ 03-6861-7668)、ブーツ55,000円(ロトゥセ/リエート 03-5413-5333)、タイツ(スタイリスト私物)

地元の人たちと過ごすことも役作りの大切な時間。

旅は心のデトックス。自分自身をクリアにする時間が今の私には必要なんです。

特に印象に残ったのはどこでしょうか?

1日目に訪れた「CAFE HOXTON」は景色が最高でした! 瀬戸内の静かな海を眺めながらのんびり過ごせるんです。島が遠くのほうまで連なって、グラデーションのようになっていて、まるで1枚の絵画を見ているような、無心になれる素敵な場所でした。サンセットもきれいだとお店の方がおっしゃっていたので、ぜひまたプライベートで行きたいです。
そのあとフェリーに乗って、野生のうさぎがいる大久野島に。船に乗ると、旅してる! という感じがしてワクワクしますよね。うさぎはみんな、マイペースに寝転がったりしていて癒されました。小学生のとき、飼育委員でうさぎ担当だったので懐かしくて(笑)。

感動したのは、撮影のオフの日に訪れた大崎上島の温泉ですね。「ホテル清風館」という老舗の旅館があり、日帰りで温泉に入れるんです。温泉好きの私としては、今までで一番よかった温泉かもしれないです! 硫黄のバランスがよくて、そこからの景色も素晴らしくて。目の前には瀬戸内海と島々しかなく、夕日がキラキラと水面に反射して絶景でした。やっぱり自然の美しさには敵わないなと圧倒されてしまいました。
竹原市は人も温かくて、この素晴らしさをどう伝えたらいいんだろうって思うほど、魅力的な街。沖縄育ちだからか、同じ海に囲まれた街として通じる所があるような気がして、私にとって心地よい場所です。

竹原市の食についてはいかがですか?

印象に残っているのは、3年前の撮影のときに初めて連れて行っていただいた「ますや」のカキフライですね。監督の油谷誠至さんの同級生のお店で、そこで食べたカキフライがものすごくおいしくて忘れられないです。大げさでなく、今まで食べたカキフライの中で1位! あと日本酒もおいしくて、もう初日から竹原市のことが大好きになりました。心と胃袋を掴まれたって感じです。カキフライといい温泉といい、“比嘉史上1位”が竹原での滞在で2つも出ましたね(笑)。その土地の食事に合わせて地酒を楽しむのが、一番の贅沢じゃないかなって思うんです。家族や仲間と楽しくお酒を飲んだり食べたりすることが大好きなので、そういうのも旅の大きな楽しみですよね。

なかなか旅行しづらい時期ですが、
比嘉さんの最近の旅について教えてください。

久しぶりに実家のある沖縄に帰りました。最近、コロナの影響で価値観が変わって、生き方を見つめ直すきっかけになりましたね。上京して15年、仕事で求められることは本当にありがたく、がむしゃらに頑張ってきましたが、仕事を自分のすべてにするのではなく、本来の自分も大切にしたい。これからは、仕事に支障がでない程度に、もっと沖縄に帰れたらと思っています。待っていてくれる家族もいますし、何より沖縄の自然が私にはなくてはならないものなんです。自然からエネルギーをもらって、それを仕事に戻ったときに自分なりに表現できたら、インプットとアウトプットのバランスが取れるのかなって。

最近より強く感じているのが、人を感動させる仕事、表現する仕事をしている自分が、疲れていたり余裕がない状態だったら、見ている人には絶対伝わらないということ。小手先でごまかしたくないので、なるべく自分自身をクリアにしたい。だから今、自分の中で旅のテーマにしているのは“浄化”なんです。自ら運転していろいろなところに行って、スマホやテレビから離れて静かに時間を過ごすとか。いいものを見て、おいしいものを食べて、五感を研ぎ澄ませることが、いい演技につながると思っています。

コート64,900円(ダイアグラム/ダイアグラム 表参道ヒルズ店 03-6804-3121)、ベスト(参考色)44,000円、ブラウス42,900円 共に(IRENE/リステア総合カスタマーサービス 03-3404-5370)パンツ¥36,300円(プレインピープル/プレインピープル青山 03-6419-0978)、ピアス396,000円(イレアナ・マクリ/ イレアナ・マクリ 伊勢丹新宿店 03-3351-7374)、バッグ23,100円 (ダブルスタンダードクロージング/フィルム 03-5413-4141)、ブーツ・ソックス(スタイリスト私物)

わたしの旅アイテム

旅慣れた比嘉さんの鞄の中身は、最小限の荷物だけ。だけど絶対に欠かせないアイテムがあるといいます。

スケッチブック

この小さなスケッチブックが、私の旅の必需品。スマホで撮るだけではなくて絵にすることで、対象をよく見るので、深く心に刻まれるんです。忘れたくない景色を描くようにしています。

カメラは見た!撮影オフショット

プロ意識の高さで周囲を圧倒する比嘉さんですが、撮影の合間には素顔がチラリ。動物好きな一面や、趣味だという絵を見せてくれました!

比嘉愛未さん撮影オフショット
比嘉さんを目がけて集まってくる大久野島のうさぎたち。動物にはすぐになつかれるそうです。
比嘉愛未さん撮影オフショット
スケッチブックの中身を見せてくれました! カラフルな色彩が素敵です
比嘉愛未
比嘉愛未
Profile
沖縄県出身、1986年6月生まれ。2005年に映画『ニライカナイからの手紙』で女優デビュー。2007年、NHK連続テレビ小説『どんど晴れ』で2,000人以上の中からヒロインに抜擢され、一躍実力派俳優の仲間入りを果たす。ドラマ『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』シリーズ(CX)、NHK大河ドラマ『天地人』、『DOCTORS ~最強の名医~』シリーズ(EX)、『TWO WEEKS』(CX)、『ケイジとケンジ〜所轄と地検の24時〜』(EX)など話題作に出演する傍ら、映画『大綱引の恋』や舞台『プラトーノフ』など幅広く活躍。最近では、2021年の主演ドラマ『推しの王子様』(CX)で同世代の女性の共感を集める。広島県東広島市・竹原市を舞台とした映画『吟ずる者たち』は、2021年11月に広島で先行公開され、2022年3月25日(金)東京公開後、全国で順次公開。