ヘアメイク/奥原清一 文/若宮早希
広島を舞台にした映画『吟ずる者たち』の撮影で、竹原市を何度も訪れたという比嘉さん。改めて竹原市を巡り、以前と変わらない魅力、今回新しく発見した魅力についてお伺いしました。
久しぶりに訪れた竹原市はいかがでしたか?
竹原市には3年程前、撮影で2週間くらい滞在しました。またこの街に戻ってくることができて本当に嬉しいです。懐かしい感じがしました。
作品を作るときは、まずその土地を知ることが大切だと思っているので、撮影中は空き時間があれば出かけています。「たけはら町並み保存地区」もよく歩きました。「照蓮寺」をお参りしたり、「ほり川」でお好み焼きを食べたり。「藤井酒造」はロケの際にもとてもお世話になりましたね。撮影後に皆さんと飲みに行ったり、とても楽しい時間を過ごさせていただいたので、またお会いできてよかったです。
映画の撮影にあたり、広島の日本酒造りの歴史についてはかなり勉強しました。竹原市は塩の産業で栄えた街ということもあり、そこからお酒や味噌造りに発展していったんですよね。どうして広島には酒蔵が多いのかなど、その土地の歴史を知ると旅はもっと楽しくなると思うんです。特に竹原市は町並み保存地区として守られている街なので、ここで暮らしてきた人たちの足跡を感じられます。年齢を重ねていくにつれて、ロマンを感じられるような歴史ある街の素晴らしさが分かるようになってきました。
ストールコート57,200円(グレースコンチネンタル/グレースコンチネンタル 代官山本店 03-5456-0209)、タートルニット15,400円(ラブレス/ラブレス青山 03-3401-2301)、スカート19,800円(キャストコロン/SANYO SHOKAI カスタマーサポート(CAST:) 0120-340-460)、イヤリング13,200円(ラ・キアーヴェ /ドレスアンレーヴ 03-5468-2118)、バッグ 参考商品(マロウ/モガ 03-6861-7668)、ブーツ55,000円(ロトゥセ/リエート 03-5413-5333)、タイツ(スタイリスト私物)
特に印象に残ったのはどこでしょうか?
1日目に訪れた「CAFE HOXTON」は景色が最高でした! 瀬戸内の静かな海を眺めながらのんびり過ごせるんです。島が遠くのほうまで連なって、グラデーションのようになっていて、まるで1枚の絵画を見ているような、無心になれる素敵な場所でした。サンセットもきれいだとお店の方がおっしゃっていたので、ぜひまたプライベートで行きたいです。
そのあとフェリーに乗って、野生のうさぎがいる大久野島に。船に乗ると、旅してる! という感じがしてワクワクしますよね。うさぎはみんな、マイペースに寝転がったりしていて癒されました。小学生のとき、飼育委員でうさぎ担当だったので懐かしくて(笑)。
感動したのは、撮影のオフの日に訪れた大崎上島の温泉ですね。「ホテル清風館」という老舗の旅館があり、日帰りで温泉に入れるんです。温泉好きの私としては、今までで一番よかった温泉かもしれないです! 硫黄のバランスがよくて、そこからの景色も素晴らしくて。目の前には瀬戸内海と島々しかなく、夕日がキラキラと水面に反射して絶景でした。やっぱり自然の美しさには敵わないなと圧倒されてしまいました。
竹原市は人も温かくて、この素晴らしさをどう伝えたらいいんだろうって思うほど、魅力的な街。沖縄育ちだからか、同じ海に囲まれた街として通じる所があるような気がして、私にとって心地よい場所です。
竹原市の食についてはいかがですか?
印象に残っているのは、3年前の撮影のときに初めて連れて行っていただいた「ますや」のカキフライですね。監督の油谷誠至さんの同級生のお店で、そこで食べたカキフライがものすごくおいしくて忘れられないです。大げさでなく、今まで食べたカキフライの中で1位! あと日本酒もおいしくて、もう初日から竹原市のことが大好きになりました。心と胃袋を掴まれたって感じです。カキフライといい温泉といい、“比嘉史上1位”が竹原での滞在で2つも出ましたね(笑)。その土地の食事に合わせて地酒を楽しむのが、一番の贅沢じゃないかなって思うんです。家族や仲間と楽しくお酒を飲んだり食べたりすることが大好きなので、そういうのも旅の大きな楽しみですよね。
なかなか旅行しづらい時期ですが、
比嘉さんの最近の旅について教えてください。
久しぶりに実家のある沖縄に帰りました。最近、コロナの影響で価値観が変わって、生き方を見つめ直すきっかけになりましたね。上京して15年、仕事で求められることは本当にありがたく、がむしゃらに頑張ってきましたが、仕事を自分のすべてにするのではなく、本来の自分も大切にしたい。これからは、仕事に支障がでない程度に、もっと沖縄に帰れたらと思っています。待っていてくれる家族もいますし、何より沖縄の自然が私にはなくてはならないものなんです。自然からエネルギーをもらって、それを仕事に戻ったときに自分なりに表現できたら、インプットとアウトプットのバランスが取れるのかなって。
最近より強く感じているのが、人を感動させる仕事、表現する仕事をしている自分が、疲れていたり余裕がない状態だったら、見ている人には絶対伝わらないということ。小手先でごまかしたくないので、なるべく自分自身をクリアにしたい。だから今、自分の中で旅のテーマにしているのは“浄化”なんです。自ら運転していろいろなところに行って、スマホやテレビから離れて静かに時間を過ごすとか。いいものを見て、おいしいものを食べて、五感を研ぎ澄ませることが、いい演技につながると思っています。
コート64,900円(ダイアグラム/ダイアグラム 表参道ヒルズ店 03-6804-3121)、ベスト(参考色)44,000円、ブラウス42,900円 共に(IRENE/リステア総合カスタマーサービス 03-3404-5370)パンツ¥36,300円(プレインピープル/プレインピープル青山 03-6419-0978)、ピアス396,000円(イレアナ・マクリ/ イレアナ・マクリ 伊勢丹新宿店 03-3351-7374)、バッグ23,100円 (ダブルスタンダードクロージング/フィルム 03-5413-4141)、ブーツ・ソックス(スタイリスト私物)
旅慣れた比嘉さんの鞄の中身は、最小限の荷物だけ。だけど絶対に欠かせないアイテムがあるといいます。

この小さなスケッチブックが、私の旅の必需品。スマホで撮るだけではなくて絵にすることで、対象をよく見るので、深く心に刻まれるんです。忘れたくない景色を描くようにしています。
プロ意識の高さで周囲を圧倒する比嘉さんですが、撮影の合間には素顔がチラリ。動物好きな一面や、趣味だという絵を見せてくれました!


