浅田政志の宿旅

旅の目的は、あの宿に泊まること―。新しい宿泊体験を切り取る写真連載。第32回は、ひとつの集落のようにマルシェやレストランと共にある宿。新しい“村”は思っている以上に未来です。
写真家 浅田政志の宿旅
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近未来的、第一村人

Vol.32「VISON」三重県多気町

日本最大級の商業施設のVISONは宿、レストラン、ショップが点在して形づくられています。敷地の大きさは東京ドーム約24個分。移動手段には電動キックスクーターもあり、金の雲のように軽やかな移動が叶います。未来がここにあります。
照明は太陽
元々の地形を生かし、自然に近い形で設計されているVISONは、照明や看板も必要最小限。ホテルは2つあり、町の賑わいが感じられる「旅籠ヴィソン」と、ヴィラやタイプの異なる客室のある「HOTEL VISON」。HOTEL VISONのエントランスは窓が広く、太陽が照明。日向ぼっこももはやアクティビティです。
我が家より我が家感
HOTEL VISONには、独立したヴィラが6室。畳のスペースもあり、自宅以上にくつろげます。アメニティは原料に天然のワラを配合したものを用意するなど、自然にも人にも配慮されています。
清かな日
一棟ごとに季節の名前を冠したヴィラには、プライベートな庭と広縁がそれぞれにあります。「月清夜(つきがさやかなよる)」からのお月見は心もさぞ清かになるのでしょう。
マルシェか畑か
人気のマルシェには、朝どれ野菜や色とりどりの果物から、山海の幸、また地元のお菓子などが並び、地元の人も利用しているそう。気軽にお買い物だけでもどうぞ。
口福
敷地内にはレストランやカフェも多数。「竜吟虎嘯(りょうぎんこしょう)」では松阪牛と伊勢海老が一度に味わえる、伊勢松老重(いせしょうろうじゅう・5,500円)が人気。松阪牛の低温ローストと伊勢海老のマリネがのったごはんに、伊勢海老のビスクと和牛骨スープ、薬味がついてくるので、ひつまぶしのようにいろんな楽しみ方ができます。ソムリエの若山さんのおすすめは、伊勢海老ビスクと牛骨スープの合せ技。おいしさの二重奏。
滞在時間は余裕をもって
マルシェ以外にも専門店がたくさん。味噌や酢などの日本の伝統食材のメーカー運営ショップが並ぶ「和ヴィソン」では多彩なお土産が並びます。お土産を選んだあとでひと休みできるカフェも。滞在時間は想像の3倍は必要です。

「苫屋」

2020年4月29日オープンした、日本最大級の商業リゾート。三重をはじめとして日本各地の豊かな食や自然の恵み、文化を集めた敷地内には、さまざまなお店が約70店も並びます。さらに、温浴施設「本草湯(ほんぞうゆ)」や、木と触れ合って学べる「kiond(キオンド)」、農園エリアなど1日では絶対楽しみ尽くせません。HOTEL VISON、または旅籠ヴィソンを拠点に、VISONの世界にひたり、村人として楽しみ尽くしましょう。

住所 / 【HOTEL VISON】三重県多気郡多気町ヴィソン672-1、【旅籠ヴィソン】 三重県多気郡多気町ヴィソン672-1サンセバスチャン通り5番地
電話 / 0598-39-3090(受付時間 10:00~17:00)
料金 / 1泊22,100円~(税・サービス料込)

浅田政志
Masashi Asada浅田政志
1979年三重県生まれ。2007年に写真家として独立。2008年、写真集『浅田家』(赤々舎刊)で第34回木村伊兵衛写真賞を受賞。2020年、『浅田家!』として映画化された。著書に『NEW LIFE』(赤々舎刊)、『家族新聞』(幻冬舎刊)、『浅田撮影局 まんねん』(青幻舎)など。また、国内外で個展やグループ展を精力的に開催している。「三陸国際芸術祭三陸国際芸術祭『縦』」では2022年3月にかけて、参加中。
http://www.asadamasashi.com/