雪が舞う幻想的な温泉街で
コウノトリの伝説が残る湯に浸かる
“まち全体がひとつの大きな宿”という考えが根づいた城崎温泉。文豪・志賀直哉をはじめとする文人墨客が訪れて疲れを癒した温泉地です。開湯の歴史は1300年前、奈良時代に城崎を訪れた僧侶・道智上人によって開かれたとされています。ほかにも開湯伝説が残されており、奈良時代よりさらに100年ほど前に、ケガをしたコウノトリが温泉を発見したという物語です。城崎を流れる大谿川の上流に、大きな松の木があり、ここに巣を作ったコウノトリが足を痛めてしまったそう。しかし、田に降りて足を付けていたところ、数日後には元気よく飛び立っていきました。
この様子を見た里山の人が調べてみると、コウノトリがいた場所には温泉が湧いていたといいます。この温泉は、城崎温泉に7つある外湯のうちのひとつ「鴻の湯」だとされて親しまれています。また、足の傷を湯で癒したのは2羽のコウノトリ夫婦だった、という説もあり、このことから鴻の湯には夫婦円満のご利益があるという話も。泉質は塩化物泉で、温泉街を歩いたあとの冷えた体をぽかぽかと温めてくれる、冬期に訪れたい温泉です。
- 泉質/
- ナトリウム・カルシウム-塩化物・高温泉
- 効能/
- 神経痛、冷え性、うちみ、疲労回復 など
城崎温泉ロープウェイ
城崎温泉から大師山までをつなぐロープウェイ。大師山の山頂からは、海や山、川、温泉が一望できます。山頂にはコーヒーや軽食が楽しめる「みはらしテラスカフェ」も。
末代山温泉寺
大師山の山腹に建てられたお堂で、城崎温泉を開いた道智上人により天平10(738)年に開創。聖武天皇より、城崎温泉の守護寺として山号・寺号を賜って以来、城崎温泉を見守る山陰の名刹です。
城崎文芸館「KINOBUN」
城崎温泉ゆかりの作家に関する展示を行う文芸館。常設展では、志賀直哉をはじめ、彼とともに近代文学を担った白樺派の作家たちと城崎との関わりを展示しています。
松葉ガニ
丹後半島から島根県沖で漁獲し、地元城崎で水揚げされた松葉ガニは、毎年11月から3月まで味わえる冬の味覚。大きな殻にぎっしりと身が詰まり、上品な旨味を堪能できます。
森林に囲まれた宿で
4種の湯を堪能
西村屋ホテル招月庭
創業160余年の歴史ある西村屋の別館として建てられた宿。伝統を受け継ぎながら、現代らしい新しさも取り入れています。なかでも自慢なのは、5万坪もある広い森林に囲まれた大庭園。森林庭園で散策が楽しめるほか、森の中にはチャペルがあり、日によっては結婚式が執り行われていることも。温泉は自然に囲まれた露天風呂のほか、大浴場やミストサウナ、開放的なジャグジーバスにも浸かれます。この時期の料理はなんといっても松葉ガニ。地元の津居山港や柴山港などで水揚げされた松葉ガニを浜ゆでや刺身、焼きガニなどさまざまな調理方法でいただけます。
住所/兵庫県豊岡市城崎町湯島1016-2
電話/0796-32-4895
華やかな貸切風呂に
癒される
湯楽 Kinosaki Spa&Gardens
城崎温泉のメイン通りから一本細道に入った場所にある、豊かな自然に囲まれた宿。貸切露天風呂が魅力で、蘭やローズなど摘みたての花が浮かぶ華やかな信楽焼陶器風呂の「竹」、満月をイメージし自然石を丸くくり抜いた浴槽に、オレンジとライムを浮かべた「月」、天然石を豪快にくり抜いて造られたリンゴが浮かぶ風呂「風」の3種のなかから好みの風呂を選ぶことができます。食事は、仲買暦20年の若旦那が直接目利きした厳選食材で作る料理。毎朝市場から仕入れる松葉ガニや、但馬地方伝統の名牛・但馬牛などが味わえます。城崎の自然をテーマにしたデザイナーズの客室もこだわりです。
住所/兵庫県豊岡市城崎町湯島844
電話/0796-32-2738