『暗い宿』
推理作家と犯罪学の准教授が活躍する人気ミステリーシリーズ、今回の舞台はすべて「宿」。廃業した旅館、石垣島の豪華ホテルのミステリーイベントの夜、関西の奥座敷である温泉郷、来日したアーティストが宿泊している都内のホテル、4つの場所で起きる事件の真相は? 犯罪学者の推理が冴えわたり、彼のクールなまなざしが、トリック以上に犯人の人間性を見抜いていくのが読みどころです。
660円/角川文庫
『国立科学博物館のひみつ
地球館探検編』
冬休みは「科博」に足を運んでみませんか? 生物の多様性あふれる地球史、恐竜コレクションから宇宙探査まで、私たちが変わり続ける謎、在り続ける謎にあふれています。おすすめは「系統広場」。床に埋め込まれたLEDの光で生物の分類をたどる仕掛けは「美しすぎる展示」として有名です。さらに屋上は東京の隠れ名所。ハーブガーデンがあり、晴れるとスカイツリーも! 入場規定についてはHPをどうぞ。
1,980円/ブックマン社
『異界神社 ニッポンの奥宮』
観光客や売店のにぎわいとは別な顔を持つのが、由緒ある神社に大切に保たれている「奥宮」です。本書は18か所を紹介。隠れ里である南伊豆・白鳥神社の怪樹の森、浄土をほうふつとさせる津軽・高山稲荷の果てしない鳥居、愛らしい拝殿の後に「奥宮」と「奥の奥宮」を有する東京の武蔵御嶽神社など、美と畏怖の場にはおごそかな気持ちで行きたいもの。日本の古代信仰にふれる眺めがここにあります。
1,980円/駒草出版
『ラストナイト・イン・
ソーホー』
文化の震源地“スウィンギング・ロンドン”と呼ばれた1960年代の華やかなイギリスへタイムリープしてみませんか? 異なるふたつの時代を生きる2人の女性の夢と恐怖が交差していくサイコホラーです。華やかな場所に必ず存在する光と影、時代は違えども変わらない人間の欲、そして神経がすり減りそうな驚愕の真実。タイムリープの謎が解けた時、鳥肌が……! でも、怖いだけじゃないんです。体感的にはオシャレなジェットコースター! 終始ファッション誌を眺めているような演出に惹き込まれます。出演のアニャ・テイラー=ジョイは次世代のミューズ、大きな瞳は宝石の輝きです。必ずスターになる存在なので、今からチェックを!
配給:パルコ、ユニバーサル映画
『ウインド・リバー』
ある事件を調べる女性FBI捜査官と地元のハンターが、衝撃の真相にたどり着くクライムサスペンスです。内容はハードですが、アメリカの無法地帯となっているエリアで起きている社会問題を目の当たりにすると、とても考えさせられます。今も先住民族の暮らすアメリカ・ワイオミング州の雪深い土地の荘厳な景色。終始画面には白銀世界が広がり、この土地に実際に追いやられてしまったネイティブアメリカンの現状を考えずにはいられません。切ない物語ですが、余韻を残すラストは文句なしの傑作。映画は世界を知る窓と再認識した作品です。
『エターナル・サンシャイン』
「好きな人を記憶から消し去りたい」と思ったこと、一度でもありませんか? アカデミー脚本賞も受賞した本作はSF要素を絡めた恋愛映画。バレンタインに喧嘩別れした男女が辛い過去を消すための“記憶除去手術”を受けるというお話です。時系列が複雑なので、複数回みることで理解が深まりますが、謎を解くにはヒロインの髪の色がヒント。満点の星空を眺める氷上デートはロマンチックの極みで「この思い出だけは消さないで!」と気付けば語りかけています。時間軸を巧みに使った、恋愛映画の分岐点とも言える作品。孤独と向き合い、自分の心を見つめ直したい夜にも響きます。