『女のいない男たち』
カンヌで4冠に輝いた映画『ドライブ・マイ・カー』の原作が収録された短編集。車の中は、時に懺悔の部屋のようになる。孤独な男優は自分専属の若い女性運転手に、亡き妻の話をするようになります。浮気をしていた彼女の気持ちを知りたくて、相手の若い男と友達になろうとした彼は……。心の旅を描いたこの作品のおもな撮影場所は広島。映画を観た後は、美しい風景に触れるロケ地巡りの計画を立ててみては?
748円/文春文庫
『ジョエル・ロブションの
おいしいおべんとう』
手作りランチがあればドライブは盛り上がる! 本書はミシュランの星を世界一獲っているフレンチの巨匠・ロブションが提案するお弁当の数々です。「筑前煮はパリでも人気上昇中」「大好きなエビのせんべい揚げを入れて」など、長年フランス料理の普及につくしてきた彼は日本食の愛好家でもあり、09年にはなんとモナコに和食のお店「YOSHI」をオープン! 冷めても美味しく色鮮やかな品々に心が躍ります。
内坂芳美/料理製作&作り方解説
1,650円/INSTYLE PUBLISHING
『ROADSIDE JAPAN珍日本紀行 東日本編』
『ROADSIDE JAPAN珍日本紀行 西日本編』
車で道路を走っていると、奇妙なオブジェ、異様な建物を目にすることがあります。そんな思いっきりアヤシイ、しかし妙に惹きつけられる珍スポットを集めたのが本書。東日本編には「秋田犬会館」「キリストの墓」ほか176件、西日本編には「淡島神社」「ハブ公園」ほか165件を掲載。文庫の刊行から21年、今はなき施設もたくさんあるでしょう。だからこそアンダーな魅力に満ちたこの眺めは貴重!
2,200円(ROADSIDE JAPAN珍日本紀行 東日本編)、2,090円(ROADSIDE JAPAN珍日本紀行 西日本編)/ちくま文庫
『ウォールフラワー』
アメリカの高校生たちの青春映画なのに、共感のポイントがなんと多いことか! 恋愛というカテゴリーを超越した深い愛情関係、傷ついた心と心の共鳴、自分の居場所を探してもがく姿。「ライ麦畑でつかまえて」の再来と公開当時にはささやかれ、年齢を重ねた大人にとっても心を重ねられる普遍的な物語です。エマ・ワトソンが車から身を乗り出し、トンネルで両手を広げ風を感じる。オレンジの光に全身が包まれ、その背景にデイビッド・ボーイの「Heroes」が。そのノスタルジーの引力は、まるで自分がその場にいるような感覚に。ほろ苦い余韻まで最高の1本。
販売・発売元:ギャガ
『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』
これぞ、人生の教科書。全盲の退役軍人と高校生男子の年齢差がある友情を描いたブラザーフッドムービー。見えないからこそ、見つけられるものが人生にはたくさんあります。毎日を楽しもうとする姿勢でいること。無傷でいられる人生なんてないからこそ、すべては自分の心の在り方次第であること。観るものを希望の光へと導いてくれる映画です。青年にナビゲートされながら、盲目の軍人が赤いフェラーリでニューヨーク・ブルックリンを駆け抜ける。このシーンは映画だからこそ許されるシーンですが、世界中の映画ファンに今も愛される名場面! 2人が可愛くて頬が緩んでしまいます。
発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
『ボクたちはみんな
大人になれなかった』
燃え殻原作、森山未來主演の切ない恋愛映画。1990年代から現代まで、時代ごとに切り取られた“東京”の描写はリアルで焦げそうな匂いがします。恋愛の煌めき、若さの儚さを幻のような質感の映像で撮っていて、気付けば、自分の"あの頃"を同時に並走させている不思議な感覚になります。幾多の出会いと別れが自分にもあったことを思い出させてくれる鏡のような映画です。恋人と行く先を決めずに仕事をサボって向かうドライブシーンは、楽しくて切ない。2人の子どものように自由な表情と、ドライブ中の何気ない会話。いつの間にか「これは自分の思い出のよう」と思えてしまうんです。
配給:ビターズ・エンド