故郷である茨城県の観光大使を務める俳優の渡部豪太さん。まずはご自身の旅について教えてください。マイペースに過ごせる旅が好きだとか?
そうですね。仕事柄、平日に出かけられるので、できれば空いている時に行きたいです。まあ、混雑は平日でも日曜でもありますし、時の運だと思っています。目指して訪れたそば屋がいっぱいで品切れの時もあれば、普段は1時間待ちのソフトクリーム屋が並んでいない時もある。そんなことがあるのも、また旅の醍醐味ですよね。
前向きですね! では、のんびり旅をする派なんですか?
海外旅行だったら予定を詰め込んじゃいます。全部見たいぐらい。ただ、それもまた“出会い”だと思っているので、一応プランは決めているんですけど、移動中に興味のあるお店に出会ったら全然入っちゃいますね。入ってみてあまりにかわいくて時間がかかりそうだったら、「うー……、じゃあ明日来る!」として、その場は切り上げて、翌日にまわします。
東京が「心臓」だとして
茨城はほとんどの人が意識しない「指の関節」
次は観光大使を務めている茨城県について教えてください。魅力度ワースト1の時代もありましたが、なにか思うことはありますか?
日本で2番目に大きい湖がどこか知っていますか?
日本で一番大きいのは滋賀県の琵琶湖ですよね。
2番目は? 実は、茨城県にあるんです。「霞ケ浦」。ただあまり知られていないです。そういうことが多いですよね。例えば、日本という国を人間の体に例えたら、東京が「心臓」だとして、茨城はほとんどの人が意識しない「指の関節」とかなのかもしれません。でもそれぞれ役割が絶対にあるんです。東京のスーパーに行けば茨城の野菜が並んでいますし、それを仕入れている飲食店も多いので、茨城の野菜が東京に入ってこなかったら大変なことになると思うんです。ただ、これをわざわざ伝えるのって粋じゃないじゃないですか(笑)。押し付けることもしたくないので、「どうにかして茨城の人気を全国1位にしたい!」というより、「知らなくていいかもしれませんね」くらいのスタンスで、ニッチでコアなことをお伝えできる観光大使でいればいいのかなと思っています。行けばわかるんだよなー、茨城のよさは。
お湯さえよければ内風呂で全然いい
湯と向き合いたいタイプなので
なるほど。おすすめの温泉として挙げていただいた、「横川鉱泉」。確かに、知りませんでした。
ここのお湯はすごいです。PH10の超アルカリ性で、シルバーの指輪とか付けてたらすぐ真黒になっちゃうんです。お湯が化粧水みたいで、肌がつるつるになります。実家からだと、日帰りで行きますね。父、母、妻、みんな風呂が好きな家族なんです。というか、風呂に入るしかやることがないのかも(笑)。湯めぐりというほど高尚な趣味ではないですけど、「今日はどのお風呂に行く?」とか「あそこは今日空いているんじゃない?」とか話ながらいつもお風呂に行っていますね。泉質も気になりますけど、“湯船のフチ”が好きで。ヒノキの一本木でドーンとした設えがベストですね。フチにごろんと横になったり、そこに座って外を見たり、またお湯に入ったり、というのを延々と繰り返しています。お湯さえよければ露天風呂でなく、内風呂で全然いいです。湯と向き合いたいタイプなので。
「お湯と向き合う」。真剣ですね。温泉に行くときは、手ぬぐいをお持ちになりますか? たくさんお持ちだそうですね。
手ぬぐいは常に持ち歩いています。大きさもちょうどよくて、乾くのもすごく早いので、1枚あると便利なんです。100種類ぐらい持っていて、その日の洋服や靴下の色、マスクと合わせたりして選んでいます。好きな染め方・織り方があって、東京で一番憧れるのは日本橋にある「竺仙(ちくせん)」という呉服屋さん。そこの柄がすごく好きです。柔らかい織り方がされているので、おしとやかに使う方におすすめです。贈り物としても相当かわいいと思います。あと、「かまわぬ」さんも素敵な柄がたくさんありますし、とても丈夫です。実は自分で手ぬぐいのデザインもしていて、制作をお願いしている会社は浅草にあるんですけど、染めているのは大阪(手ぬぐいの産地)なんです。いつか大阪に行って、染めているところも見てみたいですね。
すごいこだわりですね。次回は、しみじみとよいものに向き合う渡部さんにおすすめの旅プランを聞きます。