今月のロマン秘湯

壁湯温泉[大分県] その湯にまつわる伝説やストーリーにロマンを感じる、温泉の旅。今回は、かつて仙女も身を清めた温泉処・九重にある天然洞窟の秘湯へ。
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今月のロマン秘湯 壁湯温泉 [大分県]
川面に大きくせり出した岩壁にある「壁湯天然洞窟温泉」。無色透明な湯は肌触りが柔らかく39度とぬるめなので、湯疲れせずに浸かれます。
今月のロマン秘湯 壁湯温泉 [大分県]
かつて蔵として使われていた石で造った旅館福元屋の「隠り国の湯(こもりくのゆ)」。歴史を感じる風情たっぷりの風呂で、印象的な名前は作家の森まゆみさんが名付けました。
今月のロマン秘湯 壁湯温泉 [大分県]
壁湯温泉の上流約200mにある「仙洞の滝」は、落差約8mで水量が多く、ダイナミックなしぶきが特徴。しぶきの合間には龍が、側岩には仙女が見えるといわれています。
今月のロマン秘湯 壁湯温泉 [大分県]

かつて仙女が入浴した
300年以上湧き出る柔らかな湯

くじゅう連山に囲まれた自然豊かな大分県九重町は、日本屈指の温泉地として知られており、町に点在する12以上の温泉は「九重“夢”温泉郷」と呼ばれています。そのうちのひとつ、壁湯温泉は、法泉寺温泉郷から北に少し外れた、町田川沿いにある一軒宿の温泉です。享保年間(1716~1735)の頃、傷ついた鹿が町田川で湯浴みする姿を猟師が発見したのが始まりとされ、300年以上も前から自噴を続けています。また、かつては仙女が住み、入浴して身を清めたのち、日の出とともに昇天したという伝説が残っていることから、別名「仙洞温泉」と呼ばれることも。

今月のロマン秘湯 壁湯温泉 [大分県]

温泉の近くには同じ名の「仙洞の滝」があり、滝の側壁を見れば仙女の姿を見つけられるかも。岩石をくりぬいたような半洞窟の混浴露天風呂は、絹のように滑らかな湯が毎分1300ℓも湧き出しています。温泉に癒されたら、くじゅう連山を見に出かけてみて。初夏の風物詩である、ミヤマキリシマのピンク色が山肌一面に広がる光景は必見です。

文/清水由香利(RUNS)

名湯DATA

泉質/
単純泉
効能/
神経痛、筋肉痛、冷え性、疲労回復 など
今月のロマン秘湯 壁湯温泉 [大分県]

九重町のおすすめ情報

九重“大”吊橋

九重“大”吊橋

筑後川源流域にある鳴子川渓谷に架かる、高さ173m、長さ390mの大きな吊橋。歩道専用としては日本一の高さを誇っており、遠くには広大なくじゅう連山が見渡せます。壁湯温泉から車で約25分。

今月のロマン秘湯 壁湯温泉 [大分県]

九重町のおすすめ情報

やまなみ牧場

やまなみ牧場

やまなみハイウェイ沿い、飯田高原にある観光牧場。約12万平方メートルの広大な敷地では、牧羊犬がヒツジを追う「シープドッグショー」や、引き馬体験などが楽しめます。牧場オリジナルの飲むヨーグルトも絶品です。入園料は400円。壁湯温泉から車で約30分。

今月のロマン秘湯 壁湯温泉 [大分県]

九重町のおすすめ情報

ミヤマキリシマ

ミヤマキリシマ

ツツジの一種であるミヤマキリシマは、天然記念物に指定される九重町花。5月中旬頃から咲きはじめ、5月末~6月初旬に見ごろを迎えます。くじゅう連山が鮮やかなピンク色に染まる姿はまさに絶景。

今月のロマン秘湯 壁湯温泉 [大分県]

九重町のおすすめ情報

九重“夢”バーガー

九重“夢”バーガー

大分のブランド牛である豊後牛をはじめ、九重夢ポーク、朝採れトマトなど、九重町の厳選された食材を使用したバーガー。認定基準をクリアした店舗で提供されています。

今月のロマン秘湯 壁湯温泉 [大分県]

湯を愉しむお宿

壁湯温泉旅館

町田川に面した
和の風情感じる小さな一軒宿

壁湯温泉旅館

明治40(1907)年創業の老舗の一軒宿。全9室の小さな宿には、昔ながらの囲炉裏や先々代の嫁入り箪笥が使われており、懐かしい雰囲気が漂います。天然洞窟温泉のほかにも内湯が2種類あり、館主自らが造った「切り出しの湯」は、切り出した石を湯舟に埋め込んだデザインで、なかにはハート形の石が見つかることも。食事には、自家栽培のお米をはじめ、豊後牛や旬の野菜など、地元食材をふんだんに使った田舎会席を。料理用の水として温泉の源泉が使われており、柔らかく優しい味わいがします。客室は全和室で、多くは町田川沿いに面しています。昔ながらの日本を感じる宿でのんびり過ごしましょう。

住所/〒879-4723 大分県玖珠郡九重町大字町田62-1
電話/0973-78-8754