2021年は、甲斐(現在の山梨県)の戦国大名・武田信玄公が生誕500年を迎えます。「甲斐の虎」という異名を持ち、戦国時代最強ともいわれた武田軍を率いて、生涯70回以上の合戦に参加したとされています。戦国の世を力強く突き進んだ信玄公を知ることができるゆかりの地をめぐって、パワーを感じる旅に出かけてみましょう。
文/松尾好江(ランズ)
「勝運」のご利益もあるスポット
大正8(1919)年創建の武田神社は、武田信玄公を御祭神として祀っています。神社が建つこの地には信玄公の父・信虎、信玄公、信玄公の息子・勝頼の三代が62年にわたって居住した「躑躅が崎館(つつじがさきやかた)」がありました。
信玄公は数多くの合戦で連戦連勝を収めていたことから、勝負事をはじめとした「勝運」のご利益をいただけると人気です。さらに甲斐国において治水工事、交通網の整備などにも力を入れ、人の行き交う都市に発展させたことで、産業や経済の面でも信仰を集めています。
武田神社の境内には、信玄公の娘が誕生した際、産湯に使用したといわれる「姫の井戸」や、名刀「吉岡一文字」などが展示されている宝物殿もあります。
武田神社
住所/山梨県甲府市古府中町2611
拝観時間/9:00~16:00
料金/300円(宝物殿)
休/無休、宝物殿は水曜日(祝日の場合は翌日)
アクセス/電車:JR中央本線甲府駅からタクシーで約10分 、車:中央自動車道甲府昭和ICから約30分
電話/055-252-2609
南信濃支配の拠点となった城
武田信玄公は天文14(1545)年、信濃の伊那谷攻略のために当時の城主であった高遠氏から高遠城(たかとおじょう)を奪います。信玄公は高遠城に限らず、侵略した多くの城を修築・増改築してその後の領地拡大のための拠点として活用していました。天文16(1547)年、高遠城の改修を担ったのが、家臣の山本勘助だといわれています。城内は、堀によって複数の区画に分けられており、その区画を曲輪(くるわ)と呼びます。山本勘助に由来して「勘助曲輪(ぐるわ)」と名付けられた場は大きな堀がありましたが、現在は埋められ広い駐車場になっています。
明治5(1872)年に廃城となり、明治8(1875)年に公園となりました。現在は桜の名所としても知られています。
高遠城跡
住所/長野県伊那市高遠町東高遠
開園時間/24時間入園可(さくらまつり期間中のみ8:00~17:00)
料金/無料(さくら開花期間のみ大人500円)
休/無休
アクセス/電車:JR飯田線伊那市駅からタクシーで約20分、車:中央自動車道伊那ICから約30分
電話/0265-78-4111(伊那市観光協会)※桜の開花状況により開園時間、有料期間の変動あり。最新情報は要問合せ。
伝説が残る武田信玄の隠し湯
飛騨山脈南部の乗鞍岳のふもとにある平湯温泉。奥飛騨のなかでも歴史ある温泉とされ、武田信玄公の隠し湯だという伝説も残っています。信濃の国で、上杉謙信公と壮絶な戦いを続けていた武田軍は、越中を手に入れようと飛騨に攻め入ることに。武田軍の大将・山県昌景は多数の軍勢を率いていましたが、峠を越えるころには兵は疲れ切っていました。平湯の地域に辿りついたとき、老いた白猿が武田軍の前を歩いて道端の湯に導き、その湯で疲れを癒したという逸話が残ります。
平湯温泉には、活火山の焼岳と乗鞍岳を熱源とした40以上の源泉があります。透明、茶褐色、緑褐色、白濁と、20数軒ある旅館・ホテルでそれぞれ泉質が異なるので、お湯の違いを楽しむことができます。
平湯温泉
住所/岐阜県高山市奥飛騨温泉郷平湯763-191(平湯温泉観光案内所)
アクセス/電車:JR高山本線高山駅、高山濃飛バスセンターから平湯温泉バスターミナルまで約50分、車:長野自動車道松本ICから約60分
電話/0578-89-3030(平湯温泉観光案内所)
武田信玄公生誕500年を記念した
特別企画展
武田信玄公の本拠地であった甲斐(山梨県)。2022年1月31日まで、甲府駅北口の特設スペースにおいて武田の旗印である「風・林・火・山」をコンセプトに、信玄公について学べる特別展示を開催しています。たとえば「ZONE 風」では、信玄公の年表や数々の功績、「ZONE 火」では「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」といった信玄公の名言も解説を交えて紹介しています。それ以外にも、信玄公と父、息子の三代が住んでいた躑躅が崎館のジオラマや、信玄公の銅像のモデルといわれる像も見ることができます。
生誕500年という記念すべきこの1年、スタンプラリーや第49回信玄公祭りなど、県内各地では信玄公にまつわるさまざまなイベントが開催される予定です。
信玄公生誕の地・甲府展
~THE SHINGEN 500 PARK~
住所/山梨県甲府市丸の内1丁目 甲府駅北口ペデストリアンデッキ
時間/9:00~18:00
休/無休
アクセス/電車:JR中央本線甲府駅徒歩すぐ、車:中央自動車道甲府昭和ICから約15分
電話/055-237-5327(甲府市役所 記念事業課)