「あれ食べに行こう」からはじまる旅 タベサキ

昔ながらの製法にこだわります
発酵王国福井県で究極のへしこ体験!
発酵食品が多い日本のなかでも気象条件などもあいまって特に郷土料理が多く存在する福井県。その代表格が“へしこ”。究極のへしこをつくる職人と樽上げ体験もできる学校があるんです。
地域の食を伝える「学びの場」として、よみがえった廃校
再び「学びの舎」として生まれ変わった旧田烏小学校
タベサキ「小学校×へしこ」
本当は苦手だったへしこ作り

本当は苦手だったへしこ作り

「本当は作るの苦手だったんですよ、へしこ作り(笑)」と語るのは、小学校を活用してへしこ作りを行う角野さん。『さかなの学校うちとみKitchen』を借りて、現在へしこを熟成させる樽の保管や加工場の見学、へしこの作り方や食べ方の説明、へしことなれずしの試食・販売も行っています。
「へしこは地元の郷土食材なので各自自分の家で作っているんです。実家でも祖母の代まで作っていました。でも通常の製法だと虫が湧いたりするんですよ。でも私は虫が苦手で(笑)」そこに地元でへしこの研究をされている方から「虫がわかない方法」を教えてもらって、自分で作ってみようと思ったのだとか。

タベサキ「小学校×へしこ」
本当は苦手だったへしこ作り

こだわりは「昔ながらの製法を守ること」

へしこの作り方はまず、背開きした鯖を流水で洗い塩漬けに。樽に入れ、1~2週間漬け込みその後糠を入れます。樽に戻し塩水を入れ重石を置き、袋をかぶせ1年間寝かせると完成。自作のへしこを自宅の民宿に出したりイベントで販売したところ好評で、口コミで大口注文が来たこともあるのだとか。「でも忙しくなっても昔ながらの製法にはこだわります。サバは国産のみ、糠は地元で採れる無農薬のもの、塩はマイルドなものを使います。出汁やミリンなど調味料は使いません。」最低1年寝かして、味を見てまだならもう少し寝かすの繰り返し。最長2年寝かしたことがあるそう。

タベサキ「小学校×へしこ」
全国に美味しいへしこを届けたい
全国に美味しいへしこを届けたい

全国に美味しいへしこを届けたい

『さかなの学校うちとみKitchen』の2階では、へしこの発酵・熟成が進んでいい頃合いになると、樽から挙げる「樽上げ体験」希望者を募集。「へしこって生臭いのかと思っていましたが全然イメージと違いますね!」と体験者から驚きの声があがります。たち昇る芳醇な香り、糠の硬さを自分の手で確かめたり、五感を刺激する楽しい体験です。へしこは塩辛さと旨さのバランスが絶妙、なれずしはより甘みが強い味わいです。「糠の適量を量って手を抜かないこと。そして、全国の人に『へしこってこんなに美味しいんだ!』って思ってもらいたいですね」

※なれずしはへしこを洗い、流水で塩抜き後、炊いた米と麹を混ぜへしこに詰め、樽に重石を置いてさらに約2週間漬けたものです。

タベサキ「小学校×へしこ」
さかなの学校うちとみKitchen

[DATA]
さかなの学校うちとみKitchen 2階
(旧田烏小学校)

住所:福井県小浜市田烏61-4 旧田烏小学校2階
電話:0770-54-3006(民宿かどの 担当者 角野高志)
定休日:なし
営業時間:見学(通年)10:00~16:00の間で30分程度
料金:見学料 1人 500円(見学・試食込み)
座席数:見学は2名からです。
アクセス:JR小浜線 大鳥羽駅から車約8分(5.9km)
駐車場:約10台ほど
https://www.kadono-heshiko.com

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話したくなる福井の発酵蘊蘊

福井は古来、朝廷に食を納めてきた「御食国(みつけくに)」。以来、都との間には「京は遠ても十八里」と若狭・小浜の海産物を送るルート「鯖街道」が賑わいました。当時も「小浜の鯖が峠を越えるうちにちょうどいい塩梅になる」と言われたように食と時間が良いバランスを持って息づいてきた街なのかもしれません。それでは、現在の「御食国」で食をあずかる人たちに、若狭・小浜での発酵食について聞いてみましょう!

文/鐘江 和利(ART&旭)

へしこ

どうして福井には発酵文化が育まれたのですか?

へしこ
へしこ

福井は、湿度が高く、寒暖差もあるという発酵にはうってけの気象条件ということもあり、多くの発酵食品がつくられました。特に、大規模リアス海岸「若狭湾」に臨む小浜市では、四季折々の豊かな魚介類が水揚げされ、先人達は、新鮮な状態でいただくとともに、海からの恵を無駄にせず、おいしく健康的に食べるための工夫を重ねてきました。その代表が、鯖を塩と糠を使って樽に詰めた「へしこ」。正月が近くなると、日常食であるへしこを改めて米麹で発酵させ、ハレの日のご馳走「なれずし」に仕立てました。(御食国若狭おばま食文化館)

教えてくれたところ!
御食国若狭おばま食文化館
御食国若狭おばま食文化館
住所:福井県小浜市川崎3-4
電話番号:0770-53-1000
営業時間:9:00~18:00(3/1~10/31)9:00~17:00(11/1~2/末)
定休日:水曜日(祝日の場合は開館します) 年末年始(12/28~1/5)
料金:無料

坂本龍馬が食べたことがある醤油があるの?

坂本龍馬に愛された醤油『龍馬』です。こちらは、幕末に輸出していた無添加の天然醸造醤油を再現したもの。坂本龍馬が室次の醤油を口にしたのは1867(慶応3)年10月。由利公正を新政府の大臣にスカウトするため訪れた福井・莨屋(たばこや)旅館でのことだそうです。旅館は当時藩の金庫番である由利が、醤油と生糸を輸出する際の積出港として使っていた九十九橋の船着場から100mほどの距離にあり、隣の室次分店が納めていた醤油を龍馬が褒めてくれたそうです。(株式会社室次 白崎さん/室屋15代次左衛門)

坂本龍馬に愛された醤油『龍馬』
教えてくれたところ!
株式会社 室次
株式会社 室次
住所:福井県福井市田原2-4-1
電話番号:0776-22-8227
営業時間: 9:00~17:00(室次本社2F事務所)
定休日:土日祝・お盆・年末年始
かわった味噌料理

かわった味噌料理が食べられるって本当ですか?

かわった味噌料理

“みそに恋する”がコンセプトの「みそカフェmisola」。こちらでは、みそや塩こうじ、あまざけなどの発酵食品を使用したランチプレートやスイーツなどを用意。みそ汁の具材にチーズを入れたり、トマトソースやカレーにみそでコクを出したりなど、家庭ではなかなか味わえない、みその使い方が楽しめます。他にもみそづくりの工場見学や体験教室も開催するなど、福井の醸造文化を学べる施設という一面も。(みそカフェ misora岡さん)

教えてくれたところ!
みそカフェmisola
みそカフェmisola
住所:福井県福井市春山2-25-1
電話番号:0776-43-0525
営業時間:11:00~14:00(ランチタイム)、14:00~17:00(カフェタイム)
定休日:水曜、お盆、年末年始(臨時休業あり) 月曜日が祝日の場合の翌火曜日