今月のロマン秘湯

その湯にまつわる伝説やストーリーにロマンを感じる、温泉の旅。今回は、歴代天皇も訪れた和歌山市街地に佇む秘湯へ。
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今月のロマン秘湯 花山温泉 [和歌山県]
「花山温泉の大浴場」は、炭酸ガスの圧力のみで温泉が自噴する数少ない炭酸温泉。水面には湯の花が浮遊し、放っておくと、湯船の縁に成分が結晶となって堆積します。
今月のロマン秘湯 花山温泉 [和歌山県]
虎伏山にそびえる「和歌山城」は、和歌山のシンボル的存在。天正13(1585)年に豊臣秀吉の命により、弟の秀長が築城しました。
今月のロマン秘湯 花山温泉 [和歌山県]
「番所庭園」は、平坦で海に長く突き出た“番所の鼻”にあり、紀州藩が設けた遠見番所です。和歌山城に最も近い番所として重要な場所でした。現在は景勝地となっています。

平安の世に重宝された
稀有な天然炭酸温泉に癒される

和歌山市内の落ち着いた住宅地にある、花山温泉。旅館としてはもちろん、日帰り入浴もできるので、地元の人々の憩いの場でもあります。その起源は遠く、平安時代、803年までさかのぼります。行基の法力の湯として名高く、歴代の天皇が熊野行幸の際には必ず入湯していたと伝わっています。その後は、地質の変化により自然湧出が止まってしまいましたが、昭和40(1965)年にボーリング調査を行ったところ、地下501mから突然湧出。現在では、炭酸ガスのみで自噴する、日本でも珍しい「自噴天然炭酸温泉」として知る人ぞ知る名湯となりました。花山温泉では、26度の源泉風呂と41度に加熱した大浴場があり、交互に浸かることで血管を広げ、自己治癒力を高めるといわれています。そのほか炭酸泉には肌を引き締める効果や、リフレッシュ効果も期待できます。冬から春に季節が変わるこの時期に、心身の疲れを癒しに訪れたい温泉です。
文/清水由香利(RUNS)

名湯DATA

泉質/
含二酸化炭素・鉄-カルシウム・マグネシウム-塩化物温泉
効能/
冷え性、疲労回復、不眠症など

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湯を愉しむお宿

高濃度な温泉と
和歌山の旬の味覚を堪能
花山温泉
花山温泉
全国有数の高濃度な炭酸鉄泉として知られる創業53年の花山温泉。宿泊だけでなく日帰り利用もできるので地元客も多く訪れています。温泉は大浴場のほか、露天風呂やサウナも完備。食事つきの宿泊プランで、伊勢エビやアワビをはじめ、イノブタのしゃぶしゃぶやクエ鍋など、和歌山の海と山の幸をふんだんに使った会席料理をいただきましょう。客室は広々とした和室で、入浴後にのんびりと過ごすことができます。

住所/〒640-8303 和歌山県和歌山市鳴神574
電話/073-471-3277