浅田政志の宿旅

旅の目的は、あの宿に泊まること―。至高の宿泊体験を切り取る写真連載。第19回は、「伊東に行くなら~♪」のコマーシャルソングでおなじみのホテルへ。その親しみやすさとは一線を画したユニークな宿でした。
写真家 浅田政志の宿旅
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Vol.19「ハトヤホテル」静岡県伊東市

ハトヤに決めた!
伊東市を代表する「ハトヤホテル」は、伊東駅から徒歩約15分。
昭和32年建設の建物はレトロな雰囲気で、どこを切り取っても絵になります。
本館と別館をつなぐ廊下は、人気の撮影スポット。ハトポーズも決まります。
食事をしまショー
別館にあるのは、その名も「レストラン シアター」。
コンサートホールのように舞台があり、2階までの吹き抜けになっています。
900人が収容でき、大きな宴会はもちろん、一般の宿泊客もこちらで夕食・朝食ともにバイキングが楽しめます。
Q.ハトヤをつくったのは、マジシャンである。マルかバツか?
「ハトヤホテル」は、戦前にハトを使って人気になったマジシャンがつくったホテルを、創業者が買い取って創業したそう。
マジシャンがつけた「ハトヤ」をそのまま受け継いで今に至っているというから、その懐の深さはハトの10羽くらい余裕で入ります。
ハトの目線で伊東市、一望
伊東駅から歩いて約20分の、高台に立つハトヤからは伊東市の街並み越しに相模湾が望めます。
人気なのはやはり海側。ハトになった気分で眺望が楽しめます。
ハト尽くし
館内の売店に並ぶオリジナルグッズも人気。ハンドタオルにポーチ、湯呑みといった定番アイテムから、
孫の手、おみくじ付きボールペンなどひと癖あるグッズも揃います。
オリジナルグッズの多さは、人気の高さの裏返し。ちなみに一番人気は「ハトヤサブレ」だそう。
至るところにハト、ハト、ハト…
浴衣にも、もちろんハト。青は大人用、黄色と赤は子どもや小柄な方用。
格子の模様のうえに、くり抜かれるように置かれたホテル名とハトが際立ちます。
“ゆとり建築世代”
本館は昭和32年、別館は昭和42年に建てられました。現在とは設計法が異なるため、
建物自体に独特のゆとりがあり、宿泊される方の多くは建物内の探検をされるそう。
「もともとあるものをできるだけ変えないようにしています」(代表取締役社長の原口さん)。
温泉街のシンボル
伊東駅からも見える「ハトヤ」の電飾は、伊東のシンボルと言っても過言ではありません。
建物のフォトジェニックさに目が行きがちですが、伊東温泉は湯量湧出量全国第2位を誇る名湯。
客室のお風呂もすべて温泉という贅沢さです。
ナンバープレートは「よい風呂」
払い下げの消防車もある「ハトヤ消防隊」。施設内だけで利用するため、ナンバープレートはなくてもよいものの、自前でつけたそのナンバー「41-26(よい風呂)」から温泉についての自負が伺えます。ちなみに出動したことはないそうです。

ハトヤホテル

「伊東に行くならハトヤ~♪」というCMが印象的なホテル。その知名度にふさわしい、大きなホテルで客室数は全162室。昭和32年に建てられた本館を軸に、3棟が連なっています。清潔感はあれど、昭和レトロなインテリアはどこを切り取ってもフォトジェニックで館内を探検される宿泊客も多いそうですが、温泉も食事も魅力的です。海沿いのグループホテル「サンハトヤ」の海底風呂も利用できるので、楽しみは2倍です。

住所 /静岡県伊東市岡1391
電話 / 0557-37-4126
料金 / 1泊2食付 1室13,000円~

浅田政志
Masashi Asada浅田政志
1979年三重県生まれ。2007年に写真家として独立。2008年、写真集『浅田家』(赤々舎刊)で第34回木村伊兵衛写真賞を受賞。2020年、『浅田家!』として映画化された。著書に『NEW LIFE』(赤々舎刊)、『家族新聞』(幻冬舎刊)、『家族写真は「」である』(亜紀書房)など。最新作は『浅田撮影局 まんねん』(青幻舎)。また、国内外で個展やグループ展を精力的に開催している。
http://www.asadamasashi.com/