今月のロマン秘湯

知る人ぞ知る秘境や、その湯にまつわる伝説やストーリーにロマンを感じる、温泉の旅。今回は、岩盤浴発祥の地とされる秋田・田沢の湯治場へ。
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免疫力の向上が期待できる効能豊かな湯治のふるさと 玉川温泉[秋田県]

玉川温泉は岩盤浴発祥の地といわれ、地熱を利用した天然の岩盤浴が体験できる。岩盤帯の上にゴザを敷いて寝転んでいると、体の芯からポカポカに。
今月のロマン秘湯 玉川温泉[秋田県]
湯治宿「玉川温泉」の趣ある大浴場。源泉100%の浴槽や蒸気湯、気泡湯など10種類の浴槽があり、それぞれの湯で異なる効能が期待できる。
今月のロマン秘湯 玉川温泉[秋田県]
姉妹施設「新玉川温泉」の露天風呂は、ブナの木々や季節の花に囲まれ、開放感たっぷり。昼は爽快な青空、夜は満天の星が広がる。

江戸時代から続く湯治場で
全国でも珍しい強酸性の湯と天然の岩盤浴を堪能する

秋田県仙北市の北側、秋田焼山のふもとにある玉川温泉。玉川温泉の特徴は、1カ所から毎分9000lという日本一の湧出量と、pH1.2という日本一の強酸性の泉質です。硫黄臭のある無色透明の湯は、微量のラジウム放射線を含み、疲労回復や免疫力の向上が期待できます。玉川温泉の歴史は古く、江戸時代の初めに猟師が手負いの鹿を追って源泉を発見したという伝説があることから、当時は「鹿湯」と呼ばれていました。本格的な湯治場としてこの地を開発したのは関直右衛門で、彼の努力により昭和25(1950)年に県道が開通。玉川温泉の開発が進むようになりました。周辺の十和田八幡平国立公園内には源泉の「大噴(おおぶき)」や轟音を立てて水蒸気を吹き上げる「噴気孔」、岩盤地帯があります。岩盤地帯では、地熱を利用した天然の岩盤浴を楽しむことができます。
文/鈴木阿由美

名湯DATA

泉質/
酸性-含二酸化炭素・鉄(Ⅱ)塩化物温泉
効能/
筋肉痛・疲労回復・健康増進など

周辺のおすすめ情報

源泉湧出口(大噴)
源泉湧出口(大噴)大噴と呼ばれる源泉からは毎分9000l(ドラム缶45本分)の湧出量があり、日本一。日本でも屈指の強酸性の源泉で、98度の高温の湯がグツグツと湧き立っている。
湯の川湧き出た温泉は幅3mもある川となって、散策路のすぐ横を流れていく。川からは蒸気が立ち上り、散策しながらマイナスイオンをたっぷりと浴びることができる。
湯の川
宝仙湖(玉川ダム)
宝仙湖(玉川ダム)体積約114万3mの大規模な動式コンクリートダム。コバルトブルーの水面が美しい景観を作り出している。周辺には公園やダム展示館があり、多くのカメラマンが訪れる観光名所。
焼きゆべし
焼きゆべしゆべしとは、もともと東北の寒冷地帯で作られている干し餅のこと。田沢地域の「焼きゆべし」は餅粉、砂糖、卵、水を練って焼いたもので、もちもちとした食感と焼き目の香ばしい香りがたまらない。

湯を愉しむお宿

日本有数の湯治宿で
効能豊かな強酸性の湯に浸かる
玉川温泉
玉川温泉
玉川温泉は本格的な湯治ができる宿です。源泉・岩盤に隣接する最も古い施設で、旅館部と自炊部があります。旅館部の部屋は和室と洋室があり、1泊2食の食事付き。夕食はメインを肉料理と魚料理から選ぶことができ、長期滞在でも飽きることがないようにメニューは日替わりで提供。自炊部は部屋のみの用意のため、食事は共同炊事場を利用し、自由に調理が可能です。大浴場には効能や源泉濃度、温度などが異なる11種類の浴槽を愉しむことができます。強酸性の特殊な泉質のため、無理せず入浴を。館内には看護師が常駐している湯治相談室があり、湯治についての相談が受けられます。日帰りも可能で、誰もが安心して温泉を利用できる宿です。

住所/〒014-1205 秋田県仙北市田沢湖玉川字渋黒沢
電話/0187-58-3000(玉川温泉・新玉川温泉予約センター)

ブナの森に囲まれた露天風呂と
秋田の郷土料理を堪能
新玉川温泉
新玉川温泉
玉川温泉の姉妹館の新玉川温泉は、ブナの森に抱かれた癒しの宿です。客室は洋室と和室があり、1人旅用の部屋も用意。長期の滞在でもゆったりと過ごすことができます。食事は、秋田の郷土料理と旬の味を堪能できるバイキングスタイルです。栄養バランスを考えられたメニューのほか、秋田名物のきりたんぽ鍋や比内地鶏の鉄板焼き、比内地鶏の鉄板焼きなどが日替わりで提供されます。温泉は大浴場と露天風呂、貸切風呂の3種類。青森ヒバで造られた大浴場は明るく開放的で、14種類の浴槽があり、体調に合わせた入浴方法を選ぶことができます。露天風呂は夜になるとライトアップされ、幻想的な雰囲気に。玉川温泉同様、日帰り入浴も可能です。

住所/〒014-1205 秋田県仙北市田沢湖玉川字渋黒沢
電話/0187-58-3000(玉川温泉・新玉川温泉予約センター)