今月のロマン秘湯

その湯にまつわる伝説やストーリーにロマンを感じる、温泉の旅。今回は、ご縁の国・島根にある神話が息づく秘湯へ。
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出雲神話のふるさとの地で1300年湧き続ける古湯 海塩温泉[島根県]

海潮温泉の一軒宿「海潮荘」にある源泉かけ流しの露天風呂「宝樹の湯」。巨岩が巧みに配置され、まるで天然の岩風呂に浸かっているかのよう。
今月のロマン秘湯 海塩温泉[島根県]
日帰り入浴施設の「桂荘」の大浴場は、贅沢な源泉かけ流し。源泉温度は42.4度と心地良く、匂いもなくさっぱりとした感触の湯が特徴。入浴料300円。
今月のロマン秘湯 海塩温泉[島根県]
「赤川ほたる公園」をはじめ、5月下旬から6月中旬にかけてゲンジボタルの光の舞を見ることができるスポットが多い。湿度と気温の高い夜が狙い目。

かつて松江藩主も惚れ込んだ山のいで湯と
ホタル舞う景色に心奪われる

島根県雲南市大東町にある海潮温泉。斐伊川(ひいかわ)支流の赤川沿いに湧く、日帰り入浴施設と一軒宿のみの知る人ぞ知る秘湯です。海潮温泉がある大東町は雲南市の東の玄関口で、松江市に隣接し、ヤマタノオロチ退治を中心とした出雲神話のふるさとです。海潮温泉の歴史は約1300年以上。出雲に伝わる神話が記された「出雲國風土記」(733年)に登場し、この時代から湧き出していたようです。江戸時代には松江藩7代藩主・松平不昧公が何度も入浴に訪れたという記録が残っています。温泉は無色透明のなめらかな柔らかい湯で、湯上りはしっとりとした肌に。疲労回復や冷え性などに効果があるとされています。また、海潮温泉周辺では、5月下旬から6月中旬にかけてゲンジボタル(赤川ホタル)が飛び交い、幻想的な景色が広がります。
文/鈴木阿由美

名湯DATA

泉質/
低張性弱アルカリ性泉、ナトリウム塩化物泉
効能/
冷え性、慢性消化器病、慢性婦人病など

周辺のおすすめ情報

須我神社
須我神社古事記に記されている、日本最初の御宮。八岐大蛇(やまたのおろち)を退治した須佐之男命(すさのおのみこと)が稲田姫とともに宮作りを行ったといわれ、夫婦円満や縁結びのパワースポットとして知られる。
須我神社
山王寺の棚田
山王寺の棚田標高300mの山腹に位置し、棚田数は約200枚。展望台から一望することができる。棚田は地区の農家によって守られ、時期によって稲作体験なども行われている。
出雲大東茶
出雲大東茶安永2(1773)年に松江藩主・松平治卿が宿陣で出されたお茶を気に入り、この地での栽培が始まった。奥出雲大東茶は香り高く風味がしっかりしているのが特徴。時期によっては工場見学やお茶づくり体験ができる施設もある。
宍道湖
宍道湖海潮温泉から車で30分ほど。淡水と海水が入り混じり、生き物が豊富な汽水湖。特に美しい夕日が有名で、「夕陽百選」に選ばれるほど。湖周辺には夕日を眺める鑑賞スポットも多い。

湯を愉しむお宿

山峡に静かに佇む一軒宿で
極上露天と島根の食材を愉しむ
海潮荘
海潮荘
海潮温泉の一軒宿、海潮荘。木の香りが漂う純和風の宿で、玄関を開けるとノスタルジックな木造空間が広がります。部屋は川沿いの和室と中庭沿いの和室があるほか、宿自慢の2部屋だけの特別室も。ここからの景色が最も美しくなるように宿全体が設計されています。料理は和洋折衷のコース料理。奥出雲和牛や日本海ののどぐろ、山王寺の棚田で採れたコシヒカリなど、島根のおいしい食材をいただくことができます。温泉は内風呂と露天風呂「宝樹の湯」があり、ドアで繋がっているため内風呂からそのまま露天風呂へ。「宝樹の湯」は樹齢800年の椎の木に覆われ、渓流をテーマに巨岩を配した風情ある湯です。

住所/〒699-1253 島根県雲南市大東町中湯石451
電話/0854-43-5000