今月のロマン秘湯

その湯にまつわる伝説やストーリーにロマンを感じる、温泉の旅。今回は、全壊からの復活を遂げた群馬・嬬恋村の秘湯へ
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新緑の空気に満たされる再建された鹿沢の湯治場 新鹿沢温泉[群馬県]

「休暇村嬬恋鹿沢」の露天風呂「雲井の湯」は源泉掛け流しの露天風呂。樹林の向こうに角間山を一望でき、鳥のさえずりや草木のざわめきに癒される。
今月のロマン秘湯 新鹿沢温泉[群馬県]
風情ある露天風呂や山の木々が見える「鹿鳴館」の大浴場。加温加水なしの源泉掛け流しの浴槽もあり、湯の花が漂うわずかに濁った“ささ濁りの湯”を堪能できる。

高原の美しい自然に抱かれて
江戸時代から続く美肌の湯を堪能する

1000年以上の歴史を持つ鹿沢温泉郷。名前の由来は、江戸時代に手負いの鹿が傷を癒しているところを発見したことからといわれています。古くから湯治場として親しまれてきましたが、大正7(1917)年に温泉街が火災で全焼。源泉の引湯管を整備して、新たに4㎞先に温泉街をつくりました。それが現在の新鹿沢温泉です。群馬県嬬恋村の浅間山と四阿山(あずまやさん)との間、標高約1300mの高原エリアにあり、自然豊かな温泉地。近くの「湯の丸高原」では、5月になるとガンコウランやオオカメノキなどの高山植物が咲き乱れます。同じく5月中旬頃からは「浅間高原」のシャクナゲも見頃に。カラマツの新緑も芽吹き始め、高原に遅い春が到来します。美肌の湯として知られ、保湿効果が抜群。肌への感触が柔らかいお湯なので、長時間無理なく浸かることができます。
文/鈴木阿由美(RUNS)

名湯DATA

泉質/
マグネシウム・ナトリウム-炭酸水素塩温泉
効能/
筋肉痛・肩凝り・疲労回復・冷え性など

周辺のおすすめ情報

鹿沢園地
鹿沢園地上信越高原国立公園の中にある自然学習のための園地。遊歩道が整備され、小径や野草園などで気軽に森林浴を楽しむことができる。鹿沢インフォメーションセンターで園内や鹿沢の自然について教えてくれる。
百体観音
百体観音長野県の東御市から嬬恋村までの峠の道沿いに約110mごとに並ぶ石仏観音。湯治に訪れた人々の旅の安全を祈り立てられた。源泉がある「紅葉館」横に100番目の千手観音像がある。
湯の丸高原
湯の丸高原気温の高低差が激しく、高山性と低山性の植物が混在する全国的にも数少ない植物の宝庫で「花高原」とも呼ばれる。ハイキングや登山、キャンプなど自然の中でのアクティビティがおすすめ。
雪山讃歌の碑
雪山讃歌の碑「雪山讃歌」は、大正15(1926)年にスキー合宿中の京都大学山岳部によりアメリカ民謡に歌詞をのせてつくられた曲。発祥の地として碑が建てられ、近くには、走行すると道路が曲を奏でるメロディーラインが設けられている。
山菜 写真:割烹 中居屋
山菜春になると、フキノトウやワラビ、タラの芽、コゴミ、山ウドなど山菜が豊富に採れる。前菜や料理に使われることもあるが、天ぷらでいただくのが美味。

湯を愉しむお宿

自然の景観を間近に感じられる
山の中のリゾートホテル
休暇村嬬恋鹿沢
休暇村嬬恋鹿沢
標高1400mの高原にあるリゾートホテル。全64室あり、客室によって遠くの山々や白樺林などが見えます。温泉は内湯と露天風呂があり、どちらも源泉掛け流し。2017年12月に改装した露天風呂は、嬬恋の自然を一望できる癒しの空間です。料理はオープンキッチンスタイルのビュッフェ形式で、地元食材や郷土料理を中心に約50種類の料理がずらり。季節ごとにメインの食材が異なり、春は上州牛や赤城ポーク・地元で獲れた川魚を味わうことができます。

住所/〒377-1695 群馬県吾妻郡嬬恋村鹿沢温泉
電話/0279-98-0511

古民家を移築した離れが自慢
温泉と旬の味覚を愉しめる純和風の温泉宿
鹿鳴館
鹿鳴館
大正初期創業の老舗旅館。リノベーションし、和モダンな雰囲気の宿に生まれ変わりました。客室は和室と和洋室、離れの14部屋で、温泉は源泉掛け流しの内湯や露天風呂などがあります。温泉成分が濃く、温泉ツウも多く訪れるほど。料理は地場の食材を生かした山里の料理を堪能できます。宿の人気は貴賓室の離れ「晩霞亭」。晩霞亭は約100年前に長野県の鬼無理村に建てられた古民家を移築したもので、昔懐かしい雰囲気が漂います。漆黒の柱は趣があり重厚感たっぷり。2部屋のみで、山間の温泉宿で静かに過ごしたい方におすすめです。

住所/〒377-1614 群馬県吾妻郡嬬恋村田代1017-92
電話/0279-98-0003