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夜遊びも旅のカタチ 恵比寿 NIGHT OUT with カジヒデキ

90年代の「渋谷系」ムーブメントの中心にいて、
今なお表現者、制作者、フェス主催者など
音楽業界で幅広く活躍するカジヒデキ。
あの頃から彼が仲間と集まっていた恵比寿は
喧騒から離れた、居心地のいい街だった。

撮影/倭田宏樹 取材・文/小林未亜

Vol.1「walk」
渋谷橋交差点の歩道橋
恵比寿 NIGHT OUT Vol.1「Walk」

「渋谷系」と言われた時代も
仲間たちといたのは恵比寿

ここ数年、改めて注目されている「渋谷系」。その中心的存在だったカジさんが、当時から過ごしていたのは恵比寿だったという。

恵比寿は90年代初期から2000年代中頃まで、僕がかつて所属していたレコード会社があった場所で、プライベートでも恵比寿~代官山~中目黒で過ごすことが多かったんです。だから、その頃までに出した作品は、恵比寿に通いながら作ったものもあるから、どこか恵比寿への気持ちとかが入っているかもしれないですね。「My Love,My Milk」(2001年)という曲には、駒沢通りをイメージした「駒沢 鎗ヶ崎」という歌詞もありますし。歌詞に出てくるサンドイッチは、ヒルサイドテラスの中にあった「トムスサンドイッチ」(2019年閉店)のこと。なくなっちゃって本当に残念です。

オシャレな店と大衆的な店が共存
素でいられて、落ち着ける街

恵比寿は昔から居心地の良い空気が流れている感じがして好きです。中心ではなく2番手の感じというか。用がない人は行かない街だと思うので、素でいられるし、オシャレな部分も同居している。オシャレなお店と大衆的なお店がいいバランスで共存しているのが落ち着きますね。五差路周辺や駒沢通りは洒落たお店が数多くあるけど、一本線路側の商店街に入ると庶民的なお店があったり。

恵比寿 NIGHT OUT Vol.1「Walk」
恵比寿には、居心地のいい空気が流れている
恵比寿 NIGHT OUT Vol.1「Walk」

変わりゆく景色の中でも
変わらず2番手、それが魅力

強いこだわりを持ったお店が好きだというカジさん。なじみ深い店がいくつもなくなっていく中、引き付けられる店はまだ恵比寿にあるのだとか。

中華料理の「筑紫楼」は、レーベルのスタッフとランチミーティングをしたり、この20年くらい利用しています。フカヒレがおいしいお店で、ランチだとちょっと安いんです。あと、2000年代半ばくらいに「おしゃれなメガネ屋さんができた」とみんなで噂したのが「Continuer(コンティニュエ)」。当時知り合いが店長をやっていて、3回ぐらいお店でライブをやりました。すぐ目の前までお客さんがいて、すごく楽しかったな。最近久しぶりにお店へ行ったんですけど、みんなメガネが大好きで、プロフェッショナルに仕事をされていて、相変わらずいいお店だなと思いました。

こだわりのライブハウスも
今でも引き付けられる街

恵比寿には、「リキッドルーム」や「UNIT」といったライブハウスもあって、それぞれこだわった音楽をやっていて。少しオルタナティブだけど人気があるバンドが出ているハコ、というイメージ。やっぱりサブカルチャー的なものが好きな人を引き付ける街でもあるのかな。昔は「Neuf cafe」や「GAZEBO」とかサブカル好きをくすぐるようなカフェもあったんですけど、最近はどんな人にも対応するお店が増えているような気がします。でも、お店が新しくなっていっても、恵比寿には今でも引き付けられます。2番手みたいなところが変わらないからですかね(笑)。今もバランスがすごくいいなと思うんですよね。

恵比寿 NIGHT OUT Vol.1「Walk」
Continuer(メガネ・サングラス店)
カジヒデキ
PROFILE
カジヒデキ
シンガーソングライター。1989年にネオアコースティック・バンド、BRIDGEを結成しベースを担当。1992年メジャーデビュー。1996年にソロデビューを果たし、90年代の“渋谷系”を牽引する存在に。2019年に最新作「GOTH ROMANCE」を発表。DJイベント「BLUE BOYS CLUB」主宰、ラジオのレギュラー・パーソナリティ、音楽フェス「PEANUTS CAMP」キュレーションなど、幅広く活躍中。
https://hidekikaji.net/

店舗情報

Continuer(メガネ・サングラス店)

住所/渋谷区恵比寿南2-9-2 カルム恵比寿1F
電話/03-3792-8978
営業時間/12:00~21:00
定休日/毎週水曜