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真矢ミキ スペシャルインタビュー

雨予報をみごとに覆し、神がかった晴れ女っぷりを今回の旅でもみせてくれた真矢ミキさん。圧倒的な華と、親しみやすく飾らない人柄が魅力です。テレビで“朝の顔”を務めた4年半の間、充実しつつも、やはり「旅には飢えていた」のだそう。長い時間温めていた旅への想いをたっぷり語っていただきました。
飢えてました私、旅に。
Special Interview Miki Maya
点々と移動することが面白くて「もっと違う町を知りたい」って思っちゃうの。
Special Interview Miki Maya
旅の空の下でしっかり太陽を浴びて、田舎育ちのDNAを呼び覚まさなくちゃ!
Special Interview Miki Maya

朝の帯番組のMCを務められていた4年半は、旅にでるのも難しかったのでは?

朝の番組は、あれもスタジオへの旅というか。初めての世界に踏み込んで、自分自身を俯瞰できたという意味では“旅”だったんですけどね。でも本当の旅とは違うから! そりゃもう日々思っていました、「なんとかして旅はできないのか?」って(笑)。国内なら行けると思って何回か試しましたね。ただ、もし飛行機が飛ばなかったらと思うと怖いので1泊まで。仕事の前日には帰っていることが絶対でした。1週間あった夏休みも、今行きたい南米とかに行くには微妙な日数なんですよ。ええ、飢えてました私、旅に(笑)。番組が終わって、2週間休んでいいと言われたんですけど、次の舞台の台本をいただいて開いてみたら、1冊しゃべりどおしで。旅先でも読むことになるから、精神的に休まらないなと思ってやめました。結局その間も、旅には全然行けなかったです。

その舞台『正しいオトナたち』は、兵庫と名古屋でも上演されましたね。そのときは旅の感覚もありました?

旅です、旅です! とくに兵庫公演の劇場は西宮。自分が育った宝塚の沿線でもありますから、懐かしい空気を浴びながら町を眺めるだけで心が開放されました。宝塚にいた当時は、市内を歩くと先輩や後輩とおじぎし合ってばかりになるので、隣の西宮に足を延ばすことも多かったんです。名古屋には1日しかいられませんでしたけど、定番の場所にはしっかり行けたし。いつも地方公演は旅気分になれますね。宝塚で全国ツアーをやっていたことと、転勤族の家に生まれたこと、この2つでよけいそういう感覚になるのかも。点々と移動することが面白くて「もっと違う町を知りたい」って思っちゃうの。今も東京で、わりと引っ越し魔なんですよ(笑)。常にいろんなところに旅したい。大きさに違いはあれど、町の中にも旅はあります。

Special Interview Miki Maya

大きいほうの旅の計画は? 行きたい場所のストックが溜まっているでしょう。

十代の頃から、だいたい何歳でここに行きたいっていうのを決めてるんです。行きたいところをとっておいてるみたいな。だってあんまり前倒しで見ちゃうと、後半の人生、寂しくなっちゃうじゃないですか(笑)。今行きたいのが南米なのは、時間もかかるし、体力があるうちじゃないとだめだろうし、その微妙なラインを狙わないといけないので。ナスカの地上絵とか、いつか消えてしまうんじゃないかって心配なのもあります。それと、イグアスの滝が見たい! 私、機内では必ず窓側の席を取ってもらうんですよ。上空からその土地を俯瞰で見ながら入っていくのが楽しくて。地形にすごく興味がある。だから滝も好きなのね。地形の凸凹を見るのが大好き。もし海の水を全部取り払ったら地球ってすごい高低差じゃないかとか、そういうことを考えると鳥肌が立つくらいワクワクします。

丁寧な旅の仕方ですね。そんな旅には何を求めますか?

東京にいると難しいこともあるけど、夕方から夜に変わる空を見て、日の終わりがちゃんと感じられるような生活がしたいなって思うんです。もっと毎日、季節を感じる場所を通って帰りたいとも思うし。旅の中では、それが自然にできるでしょ? 人間らしさを教えてもらえる気がします。環境のこととかも、じっくり考えるきっかけになる。私も相当“もやしっ子”みたいになってきちゃってるから、旅の空の下でしっかり太陽を浴びて、本来の田舎育ちのDNAを呼び覚まさなくちゃ!

Special Interview Miki Maya

旅のスタイルのこだわりは?

最近は、荷物はより軽く、より少なく! どうやって身軽に快適に行けるか、そればかり考えてます。小さくなるパジャマとかネックピローとか、日々探してる(笑)。スーツケースには現時点でのベストアイテムが入っていて、いつでも旅に出られる状態です。海外旅行に必要なものもリストにしてあるし、あとはチェックして入れるだけ。必ず持って行くのは風呂敷ですね。どんな形にもなってくれるし、あんな便利なものはないと思う。旅では思いがけない時間をもらうのが一番楽しいので、予定はギュウギュウには入れません。一人じゃ行けないようなツアーはたまにポンと入れるけど、あとはあえて自由行動。その場その場で思いついたところに行って、思わぬ人に出会って……。そういう時間をすごく楽しみにしているんです。スポンジをギューッと圧縮したあとみたいに、たっぷりいろんなものを吸い込みたい。いくつ歳を重ねても、そういった経験を大切にしたいです。

今、真矢さんにとって旅とはどんなものですか?

よく「旅に出たら自分の悩みなんかちっぽけに思えた」っていうけど、私、どこに行ってもそうは感じないのね。「え……、悩みはおっきいよ」って(笑)。比べられるものじゃないですよね。感情って、その人の中では最大だと思うし。でも、例えば1000年以上も樹齢を重ねた巨木に会ったりすると、自分をちっぽけだと思うんじゃなくて、向かい合って宣誓するみたいに「必死に生きております!」って言いたくなる。やっぱり丁寧に生きればこそ、すごく素敵なヴィンテージになるわけで、そうじゃないとそれなりに朽ち果てるんだなぁと思うから。そこをどう生きるか、出会うすべてのものからヒントをもらえるのが旅だなって思います。

Special Interview Miki Maya
真矢ミキ

1着目/コート189,000円(PAULE KA|ポール カ 03-3239-0341)、シャツ62,000円 (PAULE KA|ポール カ 03-3239-0341)、パンツ58,000円(PAULE KA|ポール カ 03-3239-0341)、スカーフ28,000円(wb|ダブルビー 03-6861-7688)、帽子11,000円(CA4LA 03-5775-3433)、ショルダーバッグ70,000円(TILA MARCH|ティラマーチ 03-3239-0341)、イヤリング256,000円(NINA RICCI|ニナ リッチ 03-3847-9903)

2着目/ジャケット160,000円(traduire|トラデュイール 06-6313-7903)、ニット29,000円(traduire|トラデュイール 06-6313-7903)、スカート49,000円(traduire|トラデュイール 06-6313-7903)、帽子7,400円(CA4LA 03-5775-3433)、バッグ35,000円(PLINIO VISONA|プリオニヴィソナ 03-3239-0341)、イヤリング(Forevermark|フォーエバーマーク 03-6261-5080)

※表示価格はすべて、税抜表示となります。

真矢ミキ
Profile
1964年1月31日生まれ。元宝塚歌劇団花組男役トップスター。独自のアイデアや幅広い活動で「宝塚の革命児」と呼ばれ、一時代を築く。退団後1999年に女優デビューし、数々のドラマや映画、舞台に出演。2015年3月より4年半、朝の情報番組『ビビット』(TBS)のMCを務めた。2019年11月、自身初のセリフ劇『正しいオトナたち』主演で5年ぶりに舞台復帰。2020年3月28日(土)21:00~22:30放送のリバイバルドラマ『居酒屋兆治』(NHK BSプレミアム)では、兆治の妻・茂子を演じる。