テーマのある旅

名産地の歴史と今を感じて メイド・イン・ジャパンを身にまとう旅

名産地の歴史と今を感じて メイド・イン・ジャパンを身にまとう旅
東京2020を控え、今また日本の文化が注目を集めています。日本は、土地の歴史や風土を生かした地場産業が発展してきました。現在、産業をブランド化し新たな賑わいを見せている地域があります。自分へのご褒美やお土産にとっておきの一着や一品を探し、大切に受け継がれている技術や、新しい取り組みに触れる旅に出かけましょう。
文/松尾好江(ランズ)
富士山の湧水を使って、千年以上昔から織物産業が営まれてきた富士吉田市
富士山の湧水を使って、千年以上昔から織物産業が営まれてきた富士吉田市

山梨県富士吉田市

富士山駅の「ハタオリマチ案内所」で富士吉田の織物の歴史を学び、街の織物工場やショップの情報をゲットしよう
富士山駅の「ハタオリマチ案内所」で富士吉田の織物の歴史を学び、街の織物工場やショップの情報をゲットしよう

[富士吉田]HADACHU ORIMONO

ネクタイ生産量日本一の富士吉田で
復活をとげた絹織物をお土産に

この地で古くから織られている絹織物「甲斐絹(かいき)」。特徴は、先練り・先染め・無撚り、細番手、高密度なことです。非常に高度な技術が要求されるため、熟練した職人の手でなければ織ることができなかった甲斐絹は、戦後、機械化が進んでいくなかで次第に製造が困難になっていきました。
2008年、甲斐絹の伝統技術を受け継いだ「HADACHU ORIMONO」が、ネクタイ生地を織ってきた技術を生かし、オリジナルネクタイブランドを立ち上げました。ファクトリーショップには、ベーシックでシンプルなネクタイやドット柄のネクタイ、カラフルなチェックのネクタイなど、コーディネートの主役になれるネクタイが300本程度揃っています。女性用のストールもあるので、自分へのご褒美を見つけられるでしょう。また、第3土曜日は、市内の機織工場の直営店が一般向けにオープンするので、工場見学やショップ巡りも楽しめます。

富士山の麓、標高680mにあるアトリエショップ。平安時代から続く「紗織り(しゃおり)」という織り方で織ったネクタイやストールを販売している
富士山の麓、標高680mにあるアトリエショップ。平安時代から続く「紗織り(しゃおり)」という織り方で織ったネクタイやストールを販売している

ハタオリマチ案内所
住所/山梨県富士吉田市上吉田2-5-1
営業時間/10:00~16:30
休/12月29日〜1月3日
アクセス/電車:富士急行線富士山駅となり
車:中央自動車道河口湖ICから約10分
電話/0555-22-2164

HADACHU ORIMONO
住所/山梨県富士吉田市上暮地3-7-26
営業時間/要事前問い合わせ
休/要問い合わせ
アクセス/電車:富士急行大月線寿駅から徒歩約15分
車:中央自動車道 富士吉田西桂スマートICから約5分
電話/0555-22-4584

新潟県五泉市

工場内にはさまざまな色の糸と大きなニットの編み機が80台ほど並ぶ
工場内にはさまざまな色の糸と大きなニットの編み機が80台ほど並ぶ

[五泉] SAIFUKU

ワンストップでニットを完成させる町で
職人たちの手仕事にほれぼれ

5つの泉が湧き出ていたと伝えられているほど、豊かな水に育まれた五泉では、250年ほど前から絹織産業が営まれてきました。五泉ニットは、市内においてワンストップで完成するのが特徴。ニットのメーカーに加えて、染色工場、ボタンやファスナーなどを手掛けるメーカーのすべてが市内に集結しており、五泉ニットのブランドを支えています。2016年より毎年2月に開催されている「五泉ニットフェス」では、地域の各工場が開放され、産地全体が盛り上がります。レディースニットメーカー「SAIFUKU」の工場では、パターン(型紙)に合わせて裁断し、縫い合わせて服に組み上げるなど、それぞれの工程を職人たちが手作業で行っています。2012年、同社は雪国の冬に使われてきた「蓑」から着想を得て、ポンチョブランド「mino」を立ち上げました。冷房のきいたオフィスや飛行機の中など、季節やシーンを問わず活躍してくれます。SAIFUKUの工場にショップが併設されているので、定期開催の工場見学に参加して、ショップで買い物を楽しんで。

住所/新潟県五泉市寺沢1-6-37
営業時間/9:00〜12:00、14:00〜17:00
休/不定休(直近は10月26日、27日、
11月2日~4日、10日、16日、17日、23日、24日)
アクセス/電車:JR磐越西線五泉駅から徒歩約5分
車:磐越道安田ICから約15分
電話/0250-43-3129
「mino」のポンチョはユニセックスサイズなので、男女でお揃いも
「mino」のポンチョはユニセックスサイズなので、男女でお揃いも
一目ずつニットの網目に針を通して縫い上げる繊細な工程を手作業で行う
一目ずつニットの網目に針を通して縫い上げる繊細な工程を手作業で行う
五泉ニットを作る絹の美しい光沢を生み出すには良質な水が欠かせない
五泉ニットを作る絹の美しい光沢を生み出すには良質な水が欠かせない

岡山県倉敷市 [児島] Betty Smith

ジーンズストリートは、風ではためくジーンズが出迎えてくれているよう
ジーンズストリートは、風ではためくジーンズが出迎えてくれているよう
体験工房では、スキニーなどのジーンズのタイプ選びからスタート。好みのボタンを1つ、リベットを6つ選ぶのに悩むのも楽しい
体験工房では、スキニーなどのジーンズのタイプ選びからスタート。好みのボタンを1つ、リベットを6つ選ぶのに悩むのも楽しい

児島ジーンズストリート
住所/岡山県倉敷市児島味野
営業時間/店舗により異なる
休/店舗により異なる
アクセス/電車:JR瀬戸大橋線児島駅から徒歩で約15分
車:瀬戸中央自動車道児島ICから約10分
電話/086-472-4450(児島ジーンズストリート推進協議会⦅児島商工会議所内⦆)

Betty Smith
住所/岡山県倉敷市児島下の町5-2-70
営業時間/9:00~18:00
休/年末年始を除き年中無休
アクセス/電車:JR瀬戸大橋線児島駅から車で約10分
車:瀬戸中央自動車道児島ICから約12分
電話/086-473-4460

国産ジーンズ発祥の地で
オリジナルデニムを作る

江戸時代頃から綿花の栽培が盛んに行われていた岡山。戦後は、米兵の影響で人気となったジーンズに注目し発展してきました。
なかでも児島地区は国産ジーンズ発祥の地として、国内外から年間20万人もの観光客が訪れます。400mほど続く「児島ジーンズストリート」には、ジーンズメーカーの販売店や休憩ができる飲食店など38店舗が軒を連ね、まさにジーニストたちの聖地となっています。
ジーンズストリートから車で10分ほどの場所には、女性のためのジーンズを追求する「Betty Smith(ベティスミス)」が。体験工場では、好みのボタンや革パッチを選んで世界に1つだけのオリジナルジーンズが作れます。また、ベティスミスの新商品やデニム雑貨などの展示販売をしているショールームショップ「Betty’s Store」やアウトレットショップもおすすめです。

2003年に開館した「ジーンズミュージアム1号館」は、米国で誕生したジーンズの歴史などを学べる展示がされている
2003年に開館した「ジーンズミュージアム1号館」は、米国で誕生したジーンズの歴史などを学べる展示がされている
財布からポーチ、バッグとオリジナルレザーを使った商品が並べられた壁はかわいいの一言
財布からポーチ、バッグとオリジナルレザーを使った商品が並べられた壁はかわいいの一言

東京都台東区[蔵前]carmine design factory!

革製品の注目工房が集まる“カチクラ”で
アートな革小物を連れて帰る

江戸時代の隅田川沿いは職人の町として栄えていきましたが、なかでも、蔵前エリアは革製品のバッグや財布を扱うメーカー・問屋が集まった地。近年、御徒町から蔵前にかけては“カチクラ”と呼ばれ、新進気鋭の雑貨・アパレルショップや工房が集まり、都内の旬スポットとなっています。
そんな蔵前で、オリジナルレザーを使った革小物の製造販売を行うブランド「carmine(カーマイン)」。“Enjoy Accessory!”をコンセプトに、アートでキュートなプロダクトを手がけています。ショップ内では、革小物とパーツを選んで自分好みにその場でカスタマイズができます。手触りの良いスエードにメタリックなドットをあしらった長財布や、革の生地に暗闇で反射して光る素材をつけたバッグなど、キラキラでカラフルな商品は、使う度にハッピーになれそう。

住所/東京都台東区三筋1-15-8
営業時間/11:00~18:00
休/日・月曜日
アクセス/電車:都営大江戸線蔵前駅、新御徒町駅、
都営浅草線蔵前駅から徒歩約7分
電話/03-6662-8754
白を基調とした店内は、色とりどりのカラフルな商品が映える
白を基調とした店内は、色とりどりのカラフルな商品が映える
赤い看板が目印。ほかにも、カチクラエリアを歩けば、タイプの異なるショップや工房に出合える
赤い看板が目印。ほかにも、カチクラエリアを歩けば、タイプの異なるショップや工房に出合える