海にはザトウクジラ、陸には巨大な牛。ダイナミックな奄美群島・徳之島は絶景だらけ
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想像してみてください。大きなザトウクジラが広ーい海の真ん中で潮を吹く雄大な光景。今ここの日常とはかけ離れたスケールに、なんだかスカッとできちゃうかも。また、道を歩いていたら怪獣みたいに大きな牛とすれ違うシーンはどうでしょう? きっと五度見しちゃうし、脳みそ震え上がってワクワクするはずです! そんな場所こそが、徳之島。もちろんドローン旅に欠かせない絶景も揃っているというから、興味湧いてくるでしょ。行かない手はありません。行きたい場所リストにぜひ加えてください。
まずは動画でアーティスティックな海を感じてみて
徳之島へはプロペラ機か大きな船で。移動すらワクワクする
ところで徳之島ってどこに位置するかご存知ですか? 鹿児島県の南方の海に連なる奄美群島のひとつで、奄美大島のすぐ南です。104.9平方km、人口10200人ほどの規模で、小さすぎずも、のんびりとした島です。過去には雲の上の景色やご褒美的に出会えた朝焼けの絶景なんかをご紹介しました。
改めて行き方をご説明すると、アクセスは飛行機か船です。前者なら鹿児島空港からプロペラ機で1時間ほど。プロペラ機に乗るって、それだけで特別感高まりませんか? 巨大な扇風機みたいなプロペラががんばって回る様子は窓から見ていてなんとも健気、機関車トーマスのようにおしゃべりし出しそうです。そんなフライト体験が待っているので、鹿児島空港に着くともう、がぜん離島旅気分にスイッチが入っちゃうんです。
船もいいですよ。こちらの場合は那覇からどうぞ。那覇から行くと約9時間半。鹿児島からだと16時間かかります。いろんな島々を眺めつつ、潮風浴びつつ、大海原にポツンと感を満喫しつつの航海は、旅ムード満点でとってもわくわくします! でもまぁ、9時間乗れば十分ですよね(笑)。
徳之島のパワーワードは「クジラ」! 本当に間近で出会えるから驚く
日本でクジラに出会えるってご存知でしたか? 個人的には、数年前に離島を巡り出してから知った事実のなかでも1番のびっくりだったかもしれません。そんな大きな生き物、会ってみたい! ザトウクジラは普段アラスカの方に暮らしていて、寒くなると出産と子育てのために温かい海を目指して旅してきます。それが、奄美群島から沖縄本島あたりだそうで、留まる時期は1月後半から3月前半ごろ。日本ってなんて豊かなんでしょう。
ところで、奄美群島から沖縄本島あたりといっても、徳之島での遭遇をおすすめするのにはわけがあります。ホエールスイム&ウオッチングで、よりクジラに接近できる条件が揃っていると思うからです。まずは島の形が丸く湾が少ないので、クジラがのびのび泳ぎ回っている海域がすぐ目の前。出港した途端、クジラに出会える可能性すら秘めているんですよ!
他の小さな島よりクジラ発見に優れた装備の船があることや、乗船人数が多い規模の大きい島ではできない、クジラに合わせたフレキシブルなスケジューリングができるのもいいんです。例えば「もう少し粘って帰港時間を遅らせよう!」なんてことができるのはだいぶ嬉しいですよね。
それにしても大迫力! 向こうの海にクジラのしっぽが見えるだけでもすごいのに、こんな大きなクジラが船のすぐ横に現れる瞬間なんて、本気で「怪獣出た!」って思いますよ。ところが一転、写真2枚目を見てください。大きな親子が仲良く船の隣で泳いでいてくれる姿を眺めていると、親近感がわいてきてすっかり和んでしまいます。
これがクジラ探しの超プロ船長が操る「ホエールアドベンチャー」の船です。経験ってすごいですね、船長のクジラに対する知識はもちろん、勘も鋭く、バシバシとクジラを発見していくんです。痛快!
ちなみに、ホエールウオッチングにするか、くじらと一緒に泳ぐホエールスイムにするかはしっかりご自身の泳ぎレベルを見極めて決めてくださいね。わたしはクジラを見れぬまま溺れて助けていただいたので、もう無理はしません(笑)
◆ホエールアドベンチャー
住所:鹿児島県大島郡徳之島町諸田クジラ岬1丁目1番地
※予約は公式サイトをご確認ください
怪獣並みに大きな牛がガチンコ勝負
徳之島のパワーワード的風物詩がクジラなら、徳之島のアイデンティティは「闘牛」なんじゃないかと思っています。だってほとんどの人が闘牛が大好きで、普段から牛の話題がつきないから。なにはともあれご覧ください、牛たちの本気の目!
1トンの巨体同士がドカンッと頭から突っ込み合う現場たるや! 個人的な話ですが、牛が血を流して闘う様子なんか見たくなかったんです。でもやってきたのは、この島の重要な文化だから体感しないことには始まらないと思ったというだけ。なのに、この「ドカンッ!」の一撃を目の前で見た瞬間にめちゃくちゃ興奮! 「もっと見たい、もっと大きい牛出てこないかな」なんてすぐさま思ってる自分に気づいて驚きました(笑)。それもそのはずなのでしょうか、会場はみんな真剣、みんな夢中、みんなが楽しそうに大興奮! 空気にうまいこと飲み込まれましたね。それにしても、この熱狂を小さいときから繰り返し味わってきたなら、情熱のある島民性だなぁと感じることも納得がいくんです。
ところで見てください、この道路の脇にあった看板。
夕方は巨体の牛が道でトレーニング(歩いてる)しているから、車や歩行者のほうが気をつけてね、という看板です。そんな牛ファーストの地がインド以外にあるなんて! むしろ、インドの牛はなにげにガリガリだったりするから、筋肉りゅうりゅう、大きく育て上げられた徳之島の方が、牛ファースト度は高いかもしれませんね(笑)。
海が大理石になった!? とびきり神秘的な朝
徳之島には「クジラ」「闘牛」なんて突飛なトピック以外にも行きたい理由がわんさとあります。それはもう、絶景スポットづくしなんですから。特に海にはうっとり。全体的な傾向として、繊細かつ豪快! 海の色は南国のイメージしやすい美しい青や水色。対して地形はゴッツゴツで男らしいところが多いんですよね。
こちらは東を向いた徳之島町のシンデ浜。起きたての太陽を迎えるには最高の海です。写真2枚目、このときは潮がぐっとひいていて、リーフエッジの手前にゴツゴツした海の底の様子が浮き上がっていました。それがいいんですよね、海にだれかさんが模様を描いたみたい。干潮で波がなく、模様つきの海はすっかり平ら、太陽の光をばっちり反射して。まるでツヤッとした大理石のようです。それに、なんだか北国の朝にも見えませんか? 凍てついた湖の氷がバキバキと割れ始めたころの様子みたい。ここは正真正銘の南の島なんだけどなあ、不思議です。
おじゃが畑がメルヘンなこと、夜光貝が食べられること、知ってた?
こんな空と海と、大地の組み合わせもステキでしょ。
青い海、黄緑のあおさ、緑の畑、赤い土! なんて鮮やかでメルヘンチックな世界観。これは3月の様子で、海にはあおさがびっしりです。海の色が変わって見えるほど、まさにあおさの絨毯ですね。干潮になると島の方々があおさを獲りにやってきますよ。あおさがつくりだす絶景はこちらでもご紹介しているのでぜひ。赤い土も特徴的でしょう。徳之島ではこの赤土に適したじゃがいもの栽培も盛んなんです。島外からやってきた方がじゃがいも農家さんのお手伝いバイトをすることもあるそうですよ。
この絶景を窓から眺めながらいただいたのは“美しい心”という意味を持つ「きむきゅら」さんの夜光貝のパスタ。夜光貝はきっとみなさん見かけたことがあるような? 南国のアクセサリーショップでよく見かける、白くエナメルのように輝いている、あの貝殻です。ピアスやペンダントをお土産として買って帰ると、都会にいても海の香りをリアルに思い出せちゃっていい気分なんですよね。
その夜光貝、もちろん貝なので中には本体がひそんでいて、南の島ではこうして食べるんです。味や食感は、アワビのようなサザエのような。海の香りがパスタにも染み込んでる〜! 南国に来たなぁという実感がもりもりわきだします。
◆遊学リゾート きむきゅら
住所:鹿児島県大島郡徳之島町下久志1132-1
電話:0997-84-1186
険しくて美しい千間海岸はウミガメの住処
島の西側、天城町の千間(せんま)海岸も“繊細かつ豪快”なイメージそのもので、ゴッツゴツの海岸にざっぱん波が押し寄せます。
この青さはいかにも南国サンゴのある島の色なのに、波にはサンゴ礁の柔和さはなく、岩場の迫力が見事でしょ。あぁ徳之島の海のかっこよさ!
千間海岸はダイビングポイントとしても知られているんです。わたしも潜りましたが、海に入ってから沖へ進んで、深さ約17mの底に行くまで、地形に魚、サンゴなどの様子や種類がだんだんと変わっていくのがおもしろいんですよ。まるでディズニーランドみたいだな〜、ファンタジーランドからウエスタンランドに行って、アドベンチャーランドまで渡り歩いてるような。くるくる世界観が変わってもう夢中! さらにはウミガメにも出会えちゃって別世界そのものです。ちなみに、ウミガメはここに住んでいるので潜れば高確率で出会えると聞いてます。
ゴツゴツ岩に鎮座する防波堤が絵になる前泊港
最初に動画でご紹介した前泊港では、こんな画が撮れました。
動画をよく見ていただくとわかるのですが、浜ギリギリ、防波堤ギリギリまで白波がたっているでしょう、防波堤にから眺めるのが痛快なんです。スーッとするぅ。
こちらが前泊港の全体像、奥に広がるのは徳之島の大地! 緑あふれる豊かな島なんです。家はぽつんぽつん、あちこちに散らばる感じもまたいいですね。こんな周囲の気分のよさも含め、この港が大好きです。
夏、いつものように防波堤の上でドローンを飛ばしていると、10歳くらいの男の子たちが自転車でわちゃわちゃ乗りつけて、とたんにドボン! 水をかけあって遊んでいるのを目の当たりにすると、自然にほっこりにっこりしちゃうものなんですね。和むなぁ。
伊仙崎の魔界風の夕焼けがしんみりくる
夕暮れの好きスポットといえば、島の最南端、伊仙崎のすぐ北西にあるこの浜です。特に浜の名前はないようで、ひとの気配はほとんどありません。ちょっと淋しく、でも味わい深い空気感がたまらないんです。
なんだか魔界みたいでしょう。荒々しいのに透明感もある不思議なところ。ここで見る太陽には、いつもより「天体が燃えている」とより強く認識させられるんです。その燃え落ちる天体は、それぞれの潮溜まりをくまなく照らし、キラキラと輝かせるのでした。
写真2枚目、島の雲はダイナミックで、島の空は色とりどりで。この日は太陽が沈むにつれ、どんどん世界が紫に染まっていったんですよ。
離島の夜景って、品があってステキ
離島での、夜ちょっと手前の風景が大好きです。
ここは島の東側の徳之島町です。町と町灯のサイズが小さくて、品がよくて好きだなぁ。島の輪郭もくっきり浮かび上がり、大きな海と、小さな人々の生活がどれだけ密接して共存しているのかを改めて実感させてくれます。海の包容力は果てしないですね。
いかがでしたでしょうか? クジラに闘牛に、ふだん他ではなかなか聞かないトピックが徳之島にはいっぱいです。また、力強くも美しい、男性的でも女性的でもある、そんな絶景にも出会えます。動ける時期がやってきたらぜひ徳之島へ渡って、独特な魅力を確かめてきてください。