死ぬかと思ったサバイバル旅! 木村裕子のおもしろ鉄道旅~及位駅編~
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死ぬかと思ったサバイバル旅! 木村裕子が提案するおもしろ鉄道旅~及位駅編~
タコ・エビ・カニ・イクラ。これ、全部実際にある駅名なんですよ。例えば、田子駅(タコ)は、和歌山県JR紀勢本線にあります。そんな“おもしろ駅名”が大好きな私は、「おもしろ駅に行って、駅名標と写真を撮って帰って来るだけの鉄道旅」をよくしています。これがめちゃくちゃに楽しいんです! だって、「タコ駅」ですよ? タコ!! なぜ昔の人はタコを地名に選んだの~(笑)って思いませんか? そしてタコ駅には何があるのか気になりませんか? サザエさんは実在しないけど、タコ駅は実在する不思議。時刻表を眺めヘンな駅名を見つけるとワクワクしてしまいます。
“及位駅”と書いて、“のぞき駅”と読みます
山形県JR奥羽本線に、及位と書いて“のぞき”と読む駅名を見つけてしまいました! 「これは覗きに行かなければ!」と真冬に向かった時のことです。山に囲まれた無人駅に降りると、ホームには1m以上の雪が積もっていました。この鉄道旅の目的は、駅名標と一緒に2ショット写真を撮ることです。目的の駅名標は雪に埋もれて文字通り“及位が覗いて”いたため、人間ショベルカーとなって1人でニヤニヤしながら一心不乱に雪を掻きわけていました。が、固く積もった雪はそう簡単には崩れません。そして素手の感覚が徐々になくなっていきました。さて……どうしよう?
すると雪の妖精が舞い降りた
しんしんと降る雪に耐えながら雪壁と戦っていると、運よく線路状況を見に来た保線さん(線路の点検作業をする鉄道員)が車で現れました。なんという幸運でしょう! その車には、保守作業用のスコップを積んでいる事を私は知っていますが、もちろん貸してほしいなんて図々しい事は言えないので、明らかに怪しい目をしてこちらを見ていた“雪の妖精という名の保線さん”に理由を説明すると・・・。なんと、笑いながら「スコップあるけど使う?」と貸して頂けることに! さすが雪の妖精さん、きっと神の使いですね!
あっという間に除雪が終わり、無事念願の「及位駅で覗く2ショット」をGETしましたーー!! 目的を達成しテンションは最大級に上がります。さぁ、数分後に来る列車に乗ってお家へ帰ろうと満足感に浸っていると……あれ? 列車が来ない。
6年前の当時、ここは携帯が圏外の場所で、無人駅のため列車が遅延なのか運休なのか確認する事もできません。食料もホッカイロもありません。このままだと確実に凍死だと、顔面の血の気がサーーッと引いて行きます。10分、20分……ヤバイヤバイと混乱したその時、吹雪の中から列車がホームへ入ってきました。時間にするとわずか30分ほどですが、私の人生で1番長く感じた30分でした。自然に強い日本の鉄道に、ありがとう!
最後に木村ポイント!
おもしろ駅が好きすぎて、実際に行ったおもしろ駅名105駅を繋げて歌詞にした歌まで作ってしまいました! Youtubeにアップしているので( https://www.youtube.com/watch?v=ztgIX5E-OQM )ぜひ聞いて下さい。この「死ぬかと思った出来事」以来、私は必ず食料を持参して乗り鉄へ向かいます。私にとって乗り鉄とは、旅色アンバサダーのヒロシさんのソロキャンプと同じ、ソロサバイバルなんです。