タベサキ
うなぎがおいしくなるのは脂を蓄えて身が柔らかくなる冬。旬の味を求めてうなぎの養殖生産量全国1位の鹿児島へ、鹿児島県出身のはしのえみさんが訪ねます。
Photo:Ryuta Suzuki Text:Akiko Watanabe(OFFICE-SANGA)
九州の最南端に位置する鹿児島は、うなぎの養殖生産量1位を誇ります。その理由は、稚魚のシラスウナギがとれることに加え、きれいな水、温暖な気候に恵まれているから。特にシラス台地にろ過されたきれいで豊富な地下水は養鰻に欠かせません。今回は、その地下水と同じ水脈の名水が湧き出る「普現堂湧水源」と、きれいな水で育てたうなぎが味わえる「うなぎのやまげん」などを訪ねました。
「鹿児島は水がいいから、お米やお茶もおいしいです。もちろん、名産品でもある魚介類やお肉、焼酎、ラーメンも、水がきれいだからおいしいんだと思います。水が食べ物にも影響していることを改めて感じますね」と語るのは、鹿児島県出身のはしのえみさん。鹿児島の自然の豊かさを実感したのは、上京してからのことでした。
「東京の人に『鹿児島って自然が多くていいところだよね』といわれることが多くて。思い返せば、鹿児島市内から、海にも桜島にも近いですし、町の銭湯でも気軽に天然温泉を楽しむことができます。県の中心部でも自然に囲まれていることが当たり前で、鹿児島空港の近くには高速道路からも見える大きな滝(龍門滝)があるんですよ。鹿児島にいたときは気づきませんでしたが、今は、恵まれた環境で暮らしていたんだなぁと実感しています」。そんな鹿児島で養殖が盛んなうなぎについて「鹿児島のうなぎの味は東京のものと違って、なんていうか“たくましい”んです」。その味の秘密とは?
うなぎで有名な鹿児島県のなかでも特に養鰻場が多い大隅半島では、12月になるとうなぎの稚魚であるシラスウナギの漁が解禁されます。温かい海で生まれた稚魚を育てるには、鹿児島の温暖な環境がぴったり。豊富な地下水に加え、養鰻にとって好条件が揃っているのです。さらにうなぎの養殖が盛んなこの地では、職人たちが腕を競っています。志布志市にも、養鰻場の目印ともいえるビニールハウスが数多く並んでいます。
霧島山系の地下水を使ってうなぎを育てる「山田水産」では、1日2回の水質検査を行う徹底ぶり。池の水位や水温などの状態を24時間、コンピューターで集中制御する、近代的な養鰻に取り組んでいます。2005年には、日本で初めてうなぎの無投薬養殖を実現したそう。日本有数の産地としてのプライドをもち、うなぎへ愛情を注ぎながら日々たゆまぬ研究を続けていく……。こうした努力の積み重ねも、おいしいうなぎを育てる秘訣といえそうです。
志布志市に、1日3,000トン以上の地下水が湧き出す「普現堂湧水源」があります。2008年に環境省の「平成の名水百選」にも選ばれたこの名水は、養鰻に使われる地下水と同じ霧島山系のもので、大隅半島特有のシラス台地の恵みです。シラス台地は数千年も昔に噴出した火山灰が何層にも重なっているもので、そこを通った雨水はろ過され、またミネラルを豊富に含むことになるのです。その水を豊富に利用したうなぎは臭みがなくなるそう。「普現堂湧水源」の水は地元の人にも愛されていて、こちらで汲んだ水が飲料水や料理に使われることも。この良質な水を贅沢に使えることが、大隅半島産のうなぎが評価される理由のひとつといえます。
志布志市には子どものころ、家族とドライブを楽しんだことがあるというはしのさんですが、「普現堂湧水源」を訪れるのは初めてとのこと。「水が澄んでいてきれい。これと同じ水がうなぎを育んでいるんですね」。
最適な条件下で手間暇かけて育てられた鹿児島のうなぎは、身がふっくらしているのが特徴。その味を堪能しようと訪ねたのは、うなぎ専門店「うなぎのやまげん」鴨池店。はしのさんのお友達が「おいしい」と太鼓判を押していたことから、楽しみにしていたそう。店内には、どこか香ばしい香りが漂います。注文からほどなくしてうなぎを運んできた鴨池店店長の國料さんは「鹿児島県産のなかでも、湧水で育てられた高品質のうなぎにこだわっています」。芯までふっくらと炭で焼き上げたうなぎは、皮は香ばしく、身を口に含むとほろりとほどける柔らかさです。久しぶりに食べる故郷の味に、はしのさんも自然と笑顔に。箸を持つ手が止まりません。
099-258-2188
11:00~21:30(LO21:00)
不定休
うなぎといえば蒲焼にして食べるのが一般的。お土産としても真空パックになったものが定番ですが、地元の人だけが知る隠れたうなぎの食べ方もあるのでは? そんな思いで訪れたのは、鹿児島最大の繁華街・天文館にある「かごしま特産品市場?-かご市-」です。県内のグルメが一堂に会す豊富なラインナップ。こちらでは「手造りうなぎ味噌」というユニークな逸品に注目。小さくカットした志布志産のうなぎを味噌に混ぜたもので、ごはんのお供としてはもちろん、野菜との相性も抜群。サラダのトッピングやディップとしてもおすすめなのだとか。「志布志を含む大隅のうなぎは味が良く、地元でも好まれています。うなぎ味噌は甘口とピリ辛口がありますが、甘口のほうが人気ですね」と話すのは、支配人の山崎道夫さん。はしのさんは、「鹿児島の人は甘めの味付けですもんね。私も断然甘口!」と、初めて出合うお土産に興味津々でした。
099-224-1093
9:30~19:00
元旦
鹿児島「霧島隠れ家の宿 優湯庵」の露天風呂付きの部屋で心身ともに癒やされる
鹿児島県 2023.10.06旅色プラス
お取り寄せやギフトに大人気! 家族への思いから生まれた鹿児島発「ビッグファイブ」の“生餃子”
鹿児島県 2023.08.02旅色プラス
この夏は南国の離島でのんびり過ごしたい! 鹿児島県・徳之島に誕生した一棟貸しヴィラ「YUUNA -結那-」
鹿児島県 2023.06.12旅色プラス
観光、仕事、おこもりも!鹿児島の宿泊先は「ホテルゲートイン鹿児島」へ!
鹿児島県 2022.02.27旅色プラス
世界遺産の奄美・瀬戸内町に、びっくり珍百景が勢揃い
鹿児島県 2021.11.12旅色アンバサダー
上白石萌歌さんが映画みたいな鹿児島・伊佐でのんびりおさんぽ旅【旅色FO-CAL伊佐市】
鹿児島県 2021.10.28旅色プラス
今こそ茨城! 食の宝庫のグルメなお店
茨城県 2020.10.29タベサキ
あんこう料理
東京都 2020.10.29タベサキ
BARA dining
東京都 2020.10.29タベサキ
池内博之さんの“おいしい”話
茨城県 2020.10.29タベサキ
04 洋風笠間菓子グリュイエール
茨城県 2020.10.29タベサキ
03 弥満喜
茨城県 2020.10.29タベサキ
都道府県から探す