神様が自分の今を描く!? 摩訶不思議な「うつしみアート」を愛媛県・道後温泉で

愛媛県

2020.02.10

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神様が自分の今を描く!? 摩訶不思議な「うつしみアート」を愛媛県・道後温泉で

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道後温泉がアート基地に!? 今しか味わえない街並みをぜひ

自分の神様が描く?! 妊娠をバチッと当てた予知絵 

2年越しにまた見抜かれた! 神様からのヒントがザクザク降ってくる「うつしみアート」

最後はもちろんドローンで! 瀬戸内は、空も海もやさしすぎて癒されすぎる

道後温泉、いわずと知れた歴史ある温泉ですが、その奥の深さはどこまでも! ホッとゆるむ現代アートあり、驚きの神秘体験ありで、飽きる隙なんて1ミリもない超ホットなところでした。みんな大好き温泉旅に、濃密なトッピングをいろいろつけて、思い出深い旅をしてみませんか。最後はもちろん、ドローンで撮影した驚きの絶景をご紹介します。

道後温泉がアート基地に!? 今しか味わえない街並みをぜひ

道後温泉で、温泉ではないある場所に行こうと友達とふたり歩いていたら、こんなシャッターに出合いました。

かわいい! 近づいて、ひっついて、遠のいて……いろんな角度から見れば見るほどかわいくって。キャーキャー言いながら写真を撮っていると、中から人が出てきてシャッターの内側、駐車場に招き入れてくださいました。

なんてキュートな軽トラック! これがいい、車持つならこれにします! まさかの軽トラひと目惚れ現象が起きましたよ。

あたたかなタッチのユニークなイラストが車体のぐるりに描かれていているんです。イラストも軽トラもおしゃべりしはじめそう。車なのに息吹を感じるってすごくないですか! こんなのに乗ったら、見かけたら、自動的にほっこりしちゃうと思います。想像してください、あなたがゴールデンウィークの大渋滞に巻き込まれていたとします、この軽トラが横に並んだら……ね? にやけたでしょ〜。イラストが多くの人々の心をほぐすのが眼に浮かぶようで。

ぐるっと車庫の中を見渡せば、すみからすみまでそんなほっこりアートで彩られていました。うーん和むなぁ、おしゃれだなぁ。キャンバストートにプリントしたいし、クッションカバーにしてソファに置きたいし、自動的に想像がふくらみます。ちなみにこれらは全て、障がいを持つ方々の作品だそう。ずば抜けた発想力と夢中力みたいなものを感じて、めちゃくちゃ元気をいただきました。


ところでこの展示、「日比野克彦×道後温泉 道後アート2019・2020 『ひみつジャナイ基地プロジェクト』」というアートイベントでのコンペを経て作られた「ひみつジャナイ基地」のひとつだとか。2019年の5月30日から2020年の2月28日まで、道後商店街の各所に、こんなほっこりが山盛りつまったアート基地と、日比野氏が手がけた「まちなか拠点」が開設されているそうですよ。今しか感じられない道後アートに思いがけず出合うことができて、運気が上がった気分になりました(笑)。

自分の神様が描く?! 妊娠をバチッと当てた予知絵 

さて、舞台はいったん松山から奈良へと飛びます。それは2年半前のある夜のこと。友達と滞在していた奈良の宿で、まゆみさんという女性に出会いました。他愛のない話をしているなかで聞いたフレーズが……。

「みんなの後ろにいらっしゃる神様だとかご先祖様だとかそんな人たちが、わたしの手を動かしてその人の今の状態を描かせるんですよ」

おぉぉ?!︎ なんと好奇心掻き立てられるフレーズでしょう、ぜひ、わたしの神様だとかの描く絵も見てみたい! ていうかまゆみさん、さっき道後温泉にある「松山ユースホステル」を切り盛りされているとおっしゃていたけど「宿で頼まれれば描きます」……なんてスペシャルすぎるサービス!

後日の松山ユースホステルにて。こんな風に描いてもらいます

後日の松山ユースホステルにて。こんな風に描いてもらいます

まゆみさんはさっそく、白い紙とたくさんの色鉛筆の入ったペンケースを持ってきてくださいました。では初めに私の友人から。二人は机を挟んで向かい合って座ります。まゆみさんは、色を選ぶでもなく手に取り、手元を見るでもなくただ手を動かします。ちなみに口からは他愛もない雑談。そうして5分ほど経つと手が止まりました。「えーと今日は6月21日……」。絵の下方に日付を書いてからじっと絵全体を眺めると、「あ、これ、反対ですね」。紙をひっくり返して日付の数字は逆さまに。そこに絵が現れたんです。

赤ちゃんを抱えたペンギン……そうと知らず逆さまに描いてたんですか(驚)!

「神様が手を動かしていただけですから」

あぁだから逆さま描きができるんですね。て、納得するところなのか(笑)。いや目の前で見ていたわたしとしては大納得です。

「ペンギンは母性の象徴なんですよ。しかもどっしりと地に足がついてます。そうして赤ちゃんを大切そうに抱っこしてますね……地に足のついた平和な暮らしをして、子どもを授かりますねぇ」

その時彼女は長く付き合っていた彼と数ヶ月の冷却期間、悩んでいました。また、ずっと子どもを欲しがっていたんです。あれれ? 望むような未来をこうして目の前に提示され、彼女の顔はパッと華やぎました。

ちなみに、後日談がすごいんです。ほどなく彼とよりを戻し、結婚妊娠と続くことになりました。まゆみさんに出会ってからほぼ1年で待望の赤ちゃんとご対面ですよ。彼女はめちゃくちゃまゆみさんに感謝しているんです。きっとまゆみさんに出会わなくても同じ道を歩んだでしょう。でも、秘めた明るい未来を目に見える形で示してもらうことで、心はスキッとして希望に満ち、前を向けたと。こんな楽しいことはないでしょう。

そしてわたし。こちらの神様も正直でしたね。絵自体は残念ながら紛失してお見せできないのですが、メルヘンカラーのペガサスがふわふわ飛んでいましたよ。「あなたはずっと地に足がつかないんですね。でも、この太い尻尾で自分が思うように舵を切って好きな方へ進んでいきます」。納得すぎて友人と爆笑。すごくざっくりいうと、好きな道を貫いて離婚に至り、好きなことをするための道を選び続けています。まぁ神様がそう言うんだし仕方ないよね、これでいいや。いい意味? での諦めを授かったし、なんだか腹が座りました(笑)。

2年越しにまた見抜かれた! 神様からのヒントがザクザク降ってくる「うつしみアート」

不思議な経験をしてから2年半が経ったとき、わたしは大失恋をしました。「大」がつく緊急事態ですよ(笑)。そんなときこそ友! 奈良に一緒に行った彼女のところへ行き話を聞いてもらっていました。あのペンギンに抱かれていた赤ちゃんも1歳になっていますねぇ、時の流れを感じます。
「お!?」
歩くようになった1歳児が、にこにこと額縁を運んでくるではありませんか。中にはあの、ペンギンと赤ちゃんの絵! 仕込みかな(笑)。

翌日は別の友人と会っていました。実はその友人も、同じ時期に痛い思いをしていたのです。ふと、前日のペンギンの絵の話をすると、「行ってみたい!」。数週間後、松山ユースホステルを訪れたのです。

「お久しぶりです! 道後温泉に来たので寄ってみました。あの時はありがとうございました、〇〇ちゃん家族にお礼言っといてって頼まれました」

絵は「うつしみアート」と命名されていました。身を写す絵、ということでしょうか、なるほど。あのときの目に見えない友人とわたしの状態を、ばっちり描いてくれましたもんね。

そんなまゆみさんの不思議な力は口コミで知られるようになり、多くの人々がここを訪れ、宿を営みつつ月に40人もの絵を描いているそうですよ。ところで、もともと無料で描いていたけど、感銘を受け毎週やってくる方が「少しでもお金を払わせてくれないと来づらい」と申し出たことで、1,000円のセラピー料を設けたとか。1,000円って! 他人の神様と通じ合って解説して勇気づけて……かなり疲弊すると思うのですが。

「基本は泊まりに来てくださった方へのサービスなのでそれでいいんです。外部の方でももちろん描きますけどね」

せめて外部の人は値段を上げたらどうかと提案しても1,000円は貫かれます。この無欲さも、まゆみさんの力の本物っぷりを物語ります。

さて、失恋などこちらの近況報告は一切せず、さっそく描いていただきます。今回も友人から。友人の絵には、恋愛ではなく仕事についての悩みが現れていて、解説を聞いて彼女は涙していました。あとから涙の理由を聞くと、

「実は漠然ともやもやしてたけど、そんなに溜め込んでいたなんて知らなかったのよ。自分の歯がゆさを聞かせてもらってゆるんだなぁ。わかってもらえてホッとしたっていうか」

ずいぶんスッキリしたようです。彼女は四国から戻ってすぐ、仕事以外に熱中することを見つけ、どんどん輝きだしました。そして二ヶ月後には退職。そんな報告を晴れ晴れとした顔でしてくれるのを聞いて、まゆみさんの絵を思い出したのはわたしの方。

「ほんとだ……あのときは辞めるなんて思ってもみなかった」

自分にすら見えていなかった深層心理を教えてもらい、向き合うきっかけを得て、彼女は明るい道を見るようになったんです。

さあわたし。わたしは2枚描いていただきました。1枚目を描き始めたときは、まゆみさんの腕を動かす神様だかご先祖様だかが選ぶ色はひたすらオレンジ系。初めまゆみさんは「あなたの陽気がこの色にしているみたい」と言っていたのですが、彼らは一向にオレンジから色を変えてくれません。しばらくすると、「ちょっと聞いてみますね」。ごにょごにょと何かをつぶやきました。

「神様に聞きました、このオレンジはあなたには不必要な怒りです」

ほら、大失恋ですから(笑)。「なんでこんな理不尽な?!」と思ったりもするじゃないですか。ただそう思うことで自分を苦しめるのはわかっていて、逃れたい感情だったけど無理だったんです。怒りと聞いてピンときまくってしまいましたね。

「この絵に閉じ込めて消しましょう」

写真に撮ることもやめたほうがいいらしく、そのまま暖炉にポイッ。燃える燃える〜消え去りました。でも、そんなことで怒りが消える? 解釈は各人違うでしょうけど、わたしにはてきめんでした。絵として物理的に明るみに出された自分の怒りは、神様によって「不必要」と審判をくだされ、目の前で灰となり消滅したんです。とてもいいパフォーマンスですよ、めちゃくちゃスッキリしました。

そして二枚目がこれ。

「魚ですね、あなたは好きなところへ好きなように、自分で泳いでいくんですね。あ、青い魚……怖い顔してるでしょう、いらない魚です。青は熟考の色、あなたは考え込んではいけない人です。緑の大きいのはサメ、5匹のリーダーです。緑は人のためになろうとする色ですよ、あなたの感情の中心にあります。ピンクとオレンジは陽気、楽しい、水色は思慮」

ギクッ。苦しみを問い詰めても仕方ない、前を向きたい、そう思ってもなかなか沼から抜けられずもがいていたんです、見抜かれてる〜。でも熟考はいらないと言われたら、「やめよう、もうよく苦しんだ、おつかれ自分!」スッとそんな気になっちゃいましたね、単純(笑)。

「魚たちが泡の中にいるでしょう、苦しい状況からまもなく脱出するところです」

おぉ、終わりますかこの苦しみのループが。神様がそう言ってるんですね! とっても勇気が湧きました。繰り返しますが、まゆみさんには失恋したなんて言ってません、近くに来たからのお礼参りと。

わたしの後日談はというと、失った幸せではなく、違う幸せの可能性に目を向けようと明確に心をシフトさせる決意を持てて、ほどなく新しい扉を開けました。もしもまゆみさんに絵を描いていただいていなかったら? 結果は同じだったかもしれません。でも深層心理の痛い部分を他者によって明るみに出され、自分への視点が格段に増えてから進むのとはちょっと意味が違ったかなと思います。自分に疑いを持って、それを整える作業を以前より明確にできるようになったんです。

自分を知るってとても難しいのに、ほんと大切ですよね。そのときどき心も状況も変わるし、また「うつしみアート」を描いていただきたいなと思っています。今度は宿泊もして、もっとじっくりお話を聞いてみようっと。

あなたも、恋愛、仕事、人間関係、もしも漠然としたもやもやを抱えているとしたら、ぜひ道後温泉の「松山ユースホステル」へお越しください。なにかしらヒントが降ってくると思います。

◆松山ユースホステル
住所/愛媛県松山市道後塚乙22-3
電話/089-933-6366

最後はもちろんドローンで! 瀬戸内は、空も海もやさしすぎて癒されすぎる

さて、わたしの夢中はドローン! もちろんこのときも持って来ています。スッキリした後は夕焼け空を飛びに海辺へ行きましたよ。

波のない静かな瀬戸内海に太陽が沈みます。太陽の方向には、小さな島々を超えて山口県、その先には福岡県があるんですね。そしてあの島々にも集落があって人々が暮らしているんです。みんなこの劇的な空を見上げてジーンとしているのかなぁ、なんて思うと不思議な気分になります。

BGM:MusMus

朝もすてきでした。静かすぎる海は、クレヨンで塗ったような空の続きみたい。島も雲に習って浮かんでいるみたい。下を見れば、ギュギュッと見事に整列して詰まった船たちが。漁師さん、運転技術高すぎ。

瀬戸内海の風景はなんとも独特で、どこか牧歌的で、心が整うきっかけをもらった我らには、たいそう沁みるのでした。

Author

ドローン旅作家 とまこ

ドローン旅作家

とまこ

元秘境ツアー添乗員で現在は“おしゃれパッカー”、“美肌ダイエットマスター”として本の執筆や講演、TV出演など多方面で活躍する旅作家。「離婚して、インド」(幻冬舎文庫)など既刊12冊。2017年から旅先でのドローン撮影を始め、今では「飛ばさないと落ち着かない!」というほどのドローン好き。旅先での美景、絶景の撮影はもちろん動画の編集も手掛ける。

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