世界遺産の奄美・瀬戸内町に、びっくり珍百景が勢揃い
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奄美の南部瀬戸内町には、「なんということでしょう!」と言わずにいられないほどの驚きの風景が詰まってますよ。絶景でもあり、驚愕でもある、異次元体験ができちゃう面白いお土地柄なんです。さらには、軟禁されてもいいなと思うほど心地いいうえに、コストパフォーマンスまで最強というすっごいお宿も発見したので、リピートせずにはいられません。あなたにも、ぜひ一度味わっていただきたいなぁ。
これは驚き! 絶対あり得ない、〇〇の養殖場があった!?
ちょっと見てください、意味わかりますか?
車で通りかかって「え!?!?!?(特大の独り言)」。急ブレーキで停車して駆け寄って「わー!(爆笑)」。すぐドローンでフライトしましたよ。横から見るとこんな感じ。
どんなロケーションかは裏手からの全景でご確認ください。
ここは奄美大島の南東部の端っこに位置する瀬戸内町蘇刈(そかる)で、手前があとでご紹介するホノホシ海岸、奥に見える海の一部を囲っているところが件の現場です。場所の雰囲気からすると、何かの養殖場っぽいでしょう、それが、ですよ。そこにはなんと、電柱がささりまくって整列しているのです。
なんということでしょう! 奄美大島に電柱の養殖場があるとは!!
そうか〜電柱って水耕栽培されて一人前になっていくのかぁ……とか言ってる場合でもなく、新種の宇宙人かもしれません! 秘密計画を進めやすいよう人間に親しみのある電柱の姿で地球に降り立ち、たまにこうして報告会、ついでに海水浴もしてお互いの親交を深めている的な……あまりにすっとんきょうかつ壮大な情景に、勝手なイメージが膨らみます。
電柱の養殖場の正体は?!
これ、クルマエビの養殖場でした。ならば電柱の存在はなんなのよ、ですが、実はここから酸素が水の中へ供給されているんですって!
不思議だったのは、わたしがここに来たのは初めてではないということ。エビの養殖場があるらしいことも知っていました。でもこんなすっとんきょうな景色を覚えていないってことは150%ないと思うんだけど……。
実はこの珍風景を拝めるのはタイミングによるんですって。エビが出荷されたタイミングだと水が入っていないので、電柱が地面に整列していることになるそうです。それも十分へんてこだけど、この裏に位置するホノホシ海岸(次項目でご紹介)がまたさらに強烈なので、ただの電柱林立では印象の強さは負けてしまうみたい。電柱の水耕栽培、ぜひ見られるといいですね〜壮大なお笑いネタ(ではない)に、ぜひハマっていただきたいです。
青空なのに超局地的に雨がガッツリ降ってくる!? ホノホシ海岸
そしてこちらがお待ちかねのホノホシ海岸。
ドッッパーーーーン! ゴゴゴゴーウウゥドカーン!!
ありえないような轟音で波が打ち寄せるんです!!
そして、サーーーーーーーー!
「え!?」
これまた独りごとが出ちゃいます。だって、空はどこまでも青く、雲はどこまでも白い。雨雲らしきものは絶対ないのに、雨降ってる! 紛れもなくちょっと濡れちゃうレベルのやつ! どこからくるんだこの雨……としばしキョロキョロ、そして気づくのです。もしや……⁉︎
雨の正体は、超盛大な波しぶきだったのです。あまりに強い波が岩に当たると、しぶきと言うには限度がすぎますよ、と注意したくなるほどきちんと降ってくるんですね。
今まで数多くの海を訪れてきまいたが、こんなに激しい海は知りません! 目隠しして連れて来られたら、まさかここが穏やかでのほほんとしたサンゴ礁の海ばかりに囲まれた奄美とは到底わからないと思います。
ちなみにこのときは小潮の引いている時間帯だったのがまた驚きます。大潮の満潮だったらもっともっと激しいはず。波しぶきなんて台風の暴風雨レベルで降ってくるんじゃないの⁉︎
ふだん波打ち際に寝転んで波を被りながら平気でドローンを飛ばすわたしも、ここまでがギリでした(笑)。これ以上近づいたら波に飲まれてしまう〜!! そしてわたしの足元に段差が見えるでしょう、大潮の満潮時にはここまで波が打ち寄せるんでしょうね。打ち寄せ方があまりに強いから、こんな深く影がでるほど大きな段差になっているんでしょうね。さらに驚くのは、驚くほどまんまるな海岸の石。しかもこの石、歌っているんです。
かたかたかたかたかたがったー♪
ほんとに歌ってる! その理由は、来れば一発でわかります。長い間これだけ強い波に揺さぶられていれば、そりゃー揺られ揺られてお互い当たりまくってんまるくもなるでしょう。カツンゴツンメロディーも奏でるでしょう。 消滅してないのが不思議なくらいです。
世界がふわっと太陽の光に包まれる、ロマンチックなヤドリ浜
ホノホシ海岸の西側、瀬戸内町の東端のヤドリ浜は一転ロマンチックなところですよ。白砂の長〜いビーチが南西に向かって続いてるんです。海はもちろん、かわいいくらいにキレイな色。ところで奄美南部の海で夕日を見る時は、ほとんどの場所で大島海峡を挟んで対岸の加計呂麻島に太陽が沈むことになり、それがまた味わい深いんですよ。ただここは外海の出入り口にも近い浜なので、世界にふわっと抜け感も漂っていて、それもまたいいんですよね。
太陽が加計呂麻島にちょこんと乗っかります。加計呂麻島が燃えちゃうなぁ。そうだ花札の「ぼうず」ってこんな感じの絵だったなぁ。一句詠めるような気がしてきちゃうなぁ。圧倒的な風景と、その中に自分が佇んでいる奇跡に頭がどうにもショート気味。浮かぶままの言葉がぐるぐると脳内を巡る心地よさったら。
太陽が島の向こうに沈んだ後もカラフルな雲がふわふわと漂って、天女の羽衣みたいです。太陽の余韻は、佇む者の勝手な物語をさらに進行させました。
ロケーションすごすぎ! 全国レベルで見て好きな宿
ヤドリ浜から西へ15分くらい、瀬戸内町の清水にすばらしすぎるお宿を発見しました。その名も「おかげさま」。海沿いに泊まりたくて、Googleマップで海岸線を拡大していて気づきましたよ。
どうです、このバルコニー! もうこれで150点満点と言ってもいいのではないでしょうか? この海との一体っぷり、見下ろせるっぷりったら。バルコニーも室内も、いつでも波音のBGMでいっぱいです。
木目が心地いい広々した室内も、気取らない内装と、気取らなすぎの料金がまた最高なんです。なんてったって、独り占めで泊まっても1泊5000円……耳を疑いました(笑)。
さらにお気に入りはこちら。
海をバッチリ眺めながらの湯船ってロマンチックすぎやしませんか。なんでこの価格でこんな体験がついてくるのでしょう。どこまでも理解の及ばないすばらしいコストパフォーマンスです。最強の眺めのバルコニーとお風呂、踊れる広さの部屋があるなら、3日くらい軟禁されたいな(笑)。
■くつろぎの宿 おかげさま
住所:鹿児島県大島郡瀬戸内町清水911-1
電話:0997-72-1098
なんということでしょう! 海に巨大な落書きが?!
翌日は瀬戸内町を西へと進んで行きました。するとまたびっくりです。海に落書きがあるではありませんか!?
ここは奄美大島南西部、瀬戸内町の花天(けてん)です。海で巨大な誰かさんがケンケンパやるのかな。海に落書きしたのかな。壮大だし、かわいいし、不思議だし! 夢中で空から見てまわるのです。
この落書きの正体は近畿大学のクロマグロ養殖の実験場でした。瀬戸内町はクロマグロの国内生産量がトップクラスなんですって。奄美のスーパーで印象に残っているのは、「地元産」などと表示のあるマグロのお刺身がおいしそうすぎる、そしてそんなことに気づく頻度が高すぎる……ということですが、なるほどここから来ているんですね。
マグロの養殖場をもっと引いて見るとこんな感じです。瀬戸内町の蘇刈にある高知山展望台からフライトして見ていますよ。奄美大島と対岸の加計呂麻島の深いリアス式海岸に囲まれた様子はなんて独特! かっこよくってほれぼれしちゃいます。そしてなんて奄美らしいの。激しく凸凹した山と、美しい海が重なってこそ奄美大島。奄美にいると、海の文化圏のようで、けっこう山のそれだなぁと感じることも多いんですよね。この写真に見える海と山と、山の間にある集落の情景を見ると、人々の生活は海と山の両方の影響をめちゃくちゃ受けているんだろうなぁと思えてきます。
旅情たっぷり、奄美大島の南西の果てにいらっしゃる三連立神さま
やってきました、西古見! ここも瀬戸内町になります。奄美大島の一番南西の果てで、ぐるっと奄美一周ドライブをしていても道的に外されやすいところなので初めて訪れました。とうとう来たな〜! 旅気分が高まります。
ご覧ください、なんともシンボリックな三つの岩山。いかにもいわれがありそうでしょう。これは「三連立神(さんれんたちがみ)」と呼ばれています。
立神さまは、神さまが理想郷ニライカナイから集落へやってくるときに、初めに立ち寄るといわれている岩山のことです。不思議なことに、奄美の多くの集落の前の海には、誰かが意図的に置いたかのように、立神さまなる岩山があるんですよ。
その中でも「三連」ってここだけで、神さま的な事情やパワーがあるんだろうな〜、なんて想像しちゃうし、単純にかっこいい! すごく神聖で楽しい気持ちになるのです。
ここは西古見観測所跡公園。さきほどの海からさらに奥へ進んでいった山の上です。目の前は、奄美大島と加計呂麻島に挟まれた大島海峡が、広々とした外海へとつながる場所。ぱ〜! と海が開ける様子を目の当たりにして、すごく明るい気分になります。
このあたりから見下ろす三連立神さまはこう。
手前が外海で奥が大島海峡。まるで、立神さまが三人で力を合わせて外から悪いものが入ってこないよう見張ってくれてる感じでしょ。
ところで、西古見観測所跡公園がどんな場所かというと……看板にはこうあります。
「この観測所(壕)は,旧日本陸軍により昭和15年に建設され,正式には『掩蓋(式)観測所』と呼ばれた。銃撃目標の方向と距離を測定し,山陰に設置された砲台に連絡する役割を担っていた……」
こんなのどかな雰囲気だけど、歴史ありですね。土地という土地には人々の歴史が積み重なっていて、今自分がこの場で感じていることすら「思い」としてこの地に刻まれ未来に至るんだなぁ。一瞬一瞬が時間の積み重ねであることに気づかされるのでした。
■西古見観測所跡公園
住所:鹿児島県大島郡瀬戸内町西古見
1日の終わりはノスタルジックな古仁屋の夜と
夜が訪れました。瀬戸内町の中心、古仁屋(こにや)の夜はなんだかいい感じですよ。田舎の真心たっぷりのおいしい酒場的なお店がいい具合に賑わっているし、街中には川も気分よく融合しているし、もちろん海もあるから酔っ払ってお散歩するのが気持ちよすぎて。なんなら昔懐かし系の銭湯もあって、なんとなーく映画「三丁目の夕日」気分になるんです。ロケーションも条件もだいぶ違うんですけどね、ノスタルジックであたたかい気持ちになるんだよなぁ。
このときは先述の最強ロケーション「おかげさま」に宿泊していたので、古仁屋で買い物をしてバルコニーで酒盛りしました。これまた波音がBGMという最高っぷりでしたよ。
酒盛り前に念願かなったのがこちら。
いつか飛んでみたかったんです、古仁屋の夜空を。街灯の量がほどよいし、海川にたくさん反射がありそうだから。するとまぁ、予想を超える美しさでした。上にも下にも星空があるみたい。なんだか人のあたたかさが伝わってくる夜でした。
奄美の南部瀬戸内町、びっくり異次元的な絶景がいっぱいで、旅感も濃密なところです。ぜひあなたも、瀬戸内町で心をいろんな方向に揺さぶられてみちゃうのはいかがですか?