風車があると世界がキリリ。気分のいい風の吹く旅
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風車には親近感が湧くんです。巨大なのがすっと起立しているうえに動いてる。しかもその動きは風の気分のまま、翻弄されるまま。「気は優しくて力持ち」的な兄貴みたいでどうにも引き寄せられるんです。それに実際かっこいいからたまりません。作品に風車があるだけで風景がキリッとしまってさらなるステキに出合えますよ。あなたの旅に風車探しを取り入れても楽しいかも!
与論の端から沖縄と交信? 夕日と荒波が似合う崖っぷちの風車
めちゃくちゃかっこいいんです、与論の風車とその環境。迫力の海を見下ろす崖の上に、ひとりで凛と佇んでいるんです。
与論島は鹿児島県の南端で、風車が立っているのは与論島の南です。つまりここは、ちょうど鹿児島と沖縄の境目。とはいえ距離的にはたったの20kmほどしか離れておらず、天気が許せば本島を望めるほどのご近所感ですよ。鹿児島本土の方がずっと遠いじゃないですか。ちなみに与論への旅路も、鹿児島経由より格段に安くて早いので、那覇経由が一般的です。
それでもこっちは鹿児島であっちは沖縄。どこに所属するかなんて距離だけの問題ではないですが、感覚としては不思議もあります。実際、同じ琉球王国だった歴史もあって、文化も言葉も、人の意識だって沖縄よりとはよく聞きくし、とっても微妙な県境ですね。
また、戦後はここが国境で、日本の最南端だったこともあるんですよね。当時を想像してみると、これまた摩訶不思議。
そこにひとり佇む風車は、近くて遠くてやっぱり近い沖縄に「おーい」と手を振ってるみたい。もしや人間側の微妙な感覚を知ってるんじゃないの? なんだか親しみが湧きまして。
この風車に合いに行ったのは9月の夕暮れ。風車があるのはゴルフ場の端っこ、風花苑(福祉施設)の駐車場の前にあります。ちょうど南向きだから、太陽がより南寄りに昇る9~3月なら、水平線からの出入りを眺められるかもしれません。
ここの海は深く青く、ザッパンドッパン波がたいそう激しくて。見ていると吸い込まれてしまいそう……。続きは動画でどうぞ。
荒々しい海と、沈みゆく太陽、風に翻弄されるただ一本の風車。あぁ渋い! こんな渋い光景、明るいイメージ満載の与論島に期待していませんでした。
さらには沖縄本島との歴史が重なって、勝手ながらこの島に光と陰を見るような。なんとはなしの切なささえ覚えます。同時にこの島のことをじっくり考えたからか、島と心の距離が縮んだような。美しすぎる与論島と、もっと深いところで仲よくなれた気がしています。
奄美大島の風車は、巨大なハートを背負ってた
背景にあるでしょう、ハートを横にしたような形の名瀬湾。そこは名瀬の市街地で、こちらは名瀬の外れの山の上。飛んでみたら、離れたあそことの絶妙な掛け合いが見られましてね! まるで風車があえてわたしを呼び寄せて、自然と人工物がダイナミックに仲よく共存するのを見せてくれたんじゃないかと思えてきます。
高度を下げると、湾が山の影にしまわれていきます。なんて大きな収納でしょうか。そうして湾がまるっと視界から消える頃、風車の明かりがちょんとてっぺんに乗りました。風車って大きいくせにどこかかわいらしいんですよね。愛着が湧いてきます。
実はこの風車も奄美カントリークラブというゴルフ場の端っこにあります。夜に緑の芝生が輝くのもきれいなものですね。自然を切り開くことは賛否あるけれど、今ここにある事実として美しく、つい心奪われてしまうのでした。
淡路島のてっぺんに陣取る風車の林が爽快すぎる!
鳴門海峡の香川側から淡路島を眺めていたら、島にツンツン何かが刺さっているのが見えたんですよ、大量に。数秒目を凝らして考えます。あ、風車かも。
Googleマップの航空写真を開いて、見えた辺りをピンチアウトするとありました、たくさんの風車。さっそく鳴門海峡大橋を渡って行ってみたら、わんさと刺さっているでしょう、針山みたい。
ここは南あわじ市の別荘地「晴海ヶ丘」のすぐ裏手。山の上に林立する風車は個人的には初見です。まさに字のまま、圧巻の風車の林! それにしても、なるほど海に囲まれた山のてっぺんなら、四方八方から風を受け放題ですね。
風車林のうち一本に思いを乗せると、急に自分ごと風に吹かれている気分になります。見晴らしよくって気持ちいいんだろうな。あちこちから流れ来る風とふれ合って、知らない土地の気配にカルチャーショックを味わって、そうしてくるくる回るのかな。ここで生まれる電気はいい香りがしたりして。
宮古島の風車のシーンが宇宙っぽい。惑星感際立つ池間島コラボ
宮古島の北、西辺名崎の風車地帯は、どうにも宇宙感があるので最高に好きです。
この辺、地形がおもしろくてね。細長すぎでしょ。そしてこんな細いところの先端まであえて道を通して風車を配置するのがなんともにくいです。風通しがいいし、細さ長さ的にも他の用途ではちょっと……? など、もろもろ理由があるのでしょうけどやっぱりいい。ここにきて両手を海に挟まれているのを体感すると、地球のほとんどは海なんだなーという真実を実感します。
西辺名崎を空から見て、宇宙っぽさに楽しくなるのはこんなシーン。橋でつながった池間島も間近に見えるんです。海を隔てた島がくっきりと2つ並び、ゆがんだ水平線を望んでいると、だんだん地球儀っぽく見えてきて。起伏の少ない平面的な島で遠近感が狂うからでしょうか、また、風車が宇宙人っぽく見えてイメージが飛ぶのでしょうか、「これは球体だ! 惑星だ! 宇宙の一部だ!」ドローンを飛ばしながら興奮ですよ(笑)。
ところで、海の中に道が見えるでしょう、陸地と平行に外海へと向かっています。これは港あたりの浅瀬から深いところへ船が出入りするための道です。サンゴがあると座礁して出入港ができないから、取り除くしかないのでしょう。
こちらは上の写真と逆、池間島から西辺名崎を眺めています。ちゃんと目印の宇宙人も見えますよ。もう一方の岬からは池間島とつながる池間大橋が伸びていて、その奥には神聖な島で有名な大神島が浮かびます。こんなにばっちり陸地の配置を見て取れるなんて、やっぱり地球儀みたいでしょう。
さて、日が暮れる頃に再び西辺名崎から南を眺めるとこう。ずっと向こうで街灯が光って、こちらの離れ小島感が際立ちます。隅っこだけどがんばれ風車。いつも風車にそそられているんです。
いかがでしょう、風車ってなんだかほっておけない感じがしませんか? よかったら、新しい旅のポイントとして風車も取り入れてみてください。