しまなみ海道を空から 人工建造物と大自然の融合がかっこよすぎてもえる
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しまなみ海道を初めて訪れてガーンときたのは、橋の大きさ。ただこれは予想していたことだったんです。もうひとつのガーン事項、大自然との共鳴度の高さは想定外のことで! 人工建造物が、人の生活を大いに助けるのはまぁ本分だとして、目と心を潤してくれるというすばらしい役割をこの強度で果たしているとは。こんなの作った方々すごい。建設に関わった全ての方にお礼を言いたくなるのでした。
さて今回は、そんなしまなみ海道の概要や朝昼晩の姿、立ち寄った島などをご紹介いたします。お休みの計画の参考になりますように。後半には絶景を収めた動画もあるのでお楽しみに。
しまなみ海道が通っている島、知ってる?
「しまなみ海道」は有名ですが、具体的にはどんなだったかな? 聞いたことあるような気もするけど、まぁ普段の生活と関係ないし忘れちゃいますよね。先におさらいさせていただこうと思います。
しまなみ海道は、広島県の尾道市と愛媛県の今治市をつなぐ有料道路です。全長59.4kmの道中で7つの島<向島、因島、生口島(←広島、愛媛→)、大三島、伯方島、大島、馬島>を経由する上、周囲にはさらなる離島がたくさん。複雑に折り重なる島々と澄んだ海、そこをドーンと貫く橋の織り成す情景ったら! これはただ事ではありません、まさに絶景、ため息ものです。
そのまままっすぐ走り抜けてももちろん絶景……超爽快ですが、せっかくだしどこかの島に寄りたいでしょ。とはいえ島多すぎ。場所によって島の重なり具合も違うだろうし、一体どこに立ち寄ったらいいのやら。また、どこから夕日を拝もうか何時頃その日の宿に到着しようか、そんな時間の都合も考えるとますます島を選ぶのに迷いが生じてきます。わたしが寄る島を決めた理由と空撮した絶景が、あなたが旅するときの参考になりますように。
ちなみにこの道には珍しく、自動車道のほかに原付や自転車、歩行者用の道もあるんです。通行料は原付が全部で500円、自転車は2020年3月31日まで無料、歩行者は無料です。気分で旅の趣向を変えられるのも嬉しいポイントですね。
私は尾道から今治の向きに走って、その後には四国もぐるっと旅したのでレンタカーで通りましたよ。軽自動車を選びましたが大正解でした。通行料も普通車よりだいぶ安い上に、続く道中となる四国の山中や半島の先などではとっても細い道を走ることもあったので、小回りの効くボディに何度も感謝しました。
さっそくしまなみ海道外。岩子島に真っ赤でキュートな橋がある
まずは広島本土から向島に渡りました。ここまではしまなみ海道ではない、無料の道も繋がっているんですね。気がついたら向島を走っていました。その後岩子島へ渡るときの「向島大橋」がいい感じで。
なんて主張の強くて、かわいい、牧歌的な橋! いろんな要素が詰め込まれてます(笑) 真っ赤に塗られてすごく目立つし、まるっとした小さい(他の橋に比べて)ボディでがんばって両腕を伸ばしてる感じにキュンとするし、緑と青に囲まれたザ・田舎的な風景をこの橋の真ん中で眺めながらおむすび食べたい、そんな気分に導かれましてね。初めて存在を知ったくせに、急速に愛着が湧きました。
ちょっと角度を変えてみるとまた不思議な華やかさが放出されます。できれば橋近くに自分を据えて撮りたかったのですが、送信機を持った自分が近づくと機体から送られてくる映像が見えなくなるというおそろしいことが起こって退散。ドローンを飛ばす方はちょっと離れたところから操作するほうがいいかもしれません。
向島大橋に背を向けて東を向くと、「因島大橋」が見えました。あれがしまなみ海道です。ちなみに左が向島で、右が因島。
そうそう岩子島に来た理由は、尾道本土を島から眺めてみたかったから。しかも島でもなるべく田舎からがいいなぁ。そんなわけで思いがけずいい橋を渡った後は、岩子島の端っこへ。畑しかないここから海を挟んで望む尾道の都会は、別世界観が際立って不思議な気分でした。
島が密にひしめく生口島へ 三角の塔が支える斜張橋が映える
岩子島から向島に戻ったら、しまなみ海道に乗りました。続いて現れるのは因島(いんのしま)、その次に生口島(いくちじま)に入ります。ちなみに、この島までが広島県尾道市。
生口島ではしまなみ海道を下りて「生口橋」あたりへ行ってみました。ここは地図で見ると、島がとってもひしめき合っているからどんな様子か気になりましてね。
うーんかっこいい! 奔放にちらばった島と島が、まじめなほどにまっすぐ伸びる人工物で繋がれている感じ。人の生活になくてはならない人工物が、景色にとってもなくてはならないかっこいい存在になっているこの感じ。自然とばっちり共演している姿にジーンとします。“地図に残る仕事”ってこれかー。
この橋は斜張橋(しゃちょうきょう)という構造で、大きな三角の塔から張り出しているケーブルで支えられています。うっすら見えるでしょうか? その下にちょうど船が通って、ケーブルの延長のように波ができてるのがまた、大自然と人工物の仲よしマッチング!
このときはゴールデンウィーク後半で、尾道方面へ流れる道が混んでいました。ところで、これは赤い車が来るのを待ってシャッターを切った写真ですが、本当に白と紺の車ばっかり。ここに限らず空から道を眺めていると、白5割、黒と紺4.5割、残りが他の色、という感覚です。勝手なこと言うと、撮ってて物足りないからみなさんカラフルな車に乗ってください(笑)。
夕暮れは西に海が開ける大島で。太陽の残り火とキラキラの橋がビューティホー!
さて次の島は大三島で、ここからが愛媛県今治市です。続いて伯方の塩で有名な伯方島(はかたしま)、そして大島までやってきました。ここで海道を降りて、四国とつながる「来島海峡大橋」付近で夕暮れ撮影です。ここにしたのは西側にある他の島が近すぎない島で、海をどーんと望みたかったから。選んだポイントは椋名(むくな)漁港です。
穏やかに、穏やかに“世界の平和ここにあり”とでも言わんばかりの堂々たる優しさオーラを放出しつつ、向こうの大崎下島(広島県尾道市)に沈んでいきました。左からすっと伸びているのは四国の左の角的にとがっている岬、大角鼻(愛媛県今治市)です。こんな情景にたたずめるなんて、四国まで来て本当によかった……。
太陽が沈んでブルーアワー(日の出前と日没後、太陽が姿を消した影のない青い世界)を迎える頃、来島海峡大橋が輝く姿をおさめようと、橋にもっと近づきました。どうぞ動画をご覧ください。
空のグラデーションと輝き始めた道のコラボレーションがロマンチックすぎて、無駄に切なくなるくらい。人口物、とりわけキラピカ光る建造物には大自然との共鳴なんて求めておらず、建造物単体としての期待しかしていませんでしたが完全に撤回です。しまなみ海道の大自然との親和性はハンパなく高かったのでした。
堂々たる赤い一筋が世界を駆け抜けて、まるで海に水引をかけたみたいです。毎日お祝い、毎日めでたい場所ですね。ぜひあやかりたい。
橋と海の向こうに見えるのは津島(今治市)です。こっちからは見えていない北側に集落があるそうですよ。船で渡った向こうの土地でも、同じ空に感動している人がいると思うとなんともいえない気持ちになります。
港を見下ろすと星空みたい。彗星多めの夜ですね。昔々の人が、星を繋いで星座を見出した気持ちがよくよくわかるのでした。
さぁ、夕焼けフライトを終えたら本土の今治にある宿に向かいましょうか。
今治本土からしまなみ海道を 朝焼けの海にたくさんの船が行き交う
朝は、本土側からしまなみ海道方面を眺めました。
ここは今治市港町で、左に見えるのは昨夕大感動した大島です。朝一番の日の出の頃だというのに、びっくりするほどたくさんの船が行き交っていました。大阪・神戸方面と九州をつなぐ海路でしょうか。船乗りさん、大変なお仕事でしょうけど、大海原から太陽が生まれる瞬間を誰よりも多く見ているかもしれないと思うと……途方もないことですね。まるで知らない感覚が体の芯に備わりそうな。
小さな突堤の先でこの情景をうっとり眺めていました。辺りをたくさんの陸地に囲まれ大きな波はほとんどないけれど、行き交う船で海面が大いにしわくちゃになるんです。太陽と船と波紋。見ても見ても見飽きない最高の日の出です。
奥に見えるのは昨日渡った来島海峡大橋です。遠くに小さく見えているだけなのに、橋がいてくれるだけで急に景色が深まるんですよね。
さて、太陽が徐々に高くなり空が赤を忘れかけた頃、橋に近づいてみました。手前は馬島で、奥が大島でしょう。なんだか雲海から橋や島が顔を出しているようで目を細めてしまいます。
太陽から目をそらすと、くっきりとした世界がありました。来島海峡大橋は吊橋の形態をとっていますが、なんかほら、昭和の落書き「あいあい傘」に見えませんか?
それにしても橋のサイズ感たるや。左の浜辺にわたしが写り込んでいるのがわかりますか、豆粒みたいなあれです。しまなみ海道で感動しまくった今、改めまして、かっこよくて、途方もなく大きい橋という建造物に、興味と愛着がわいているんです。
しまなみ海道は、空から見なくてももちろん旅情があふれこぼれるすばらしいところですが、空からの風景を知って訪れると、もっと興味が深まりそうです。よかったらぜひ、堪能して来てくださいね。