温泉で湯浴みを楽しむだけでなく、美味な“温泉グルメ”を味わう旅──。寒くなるこれからの季節にはぜひ、そんな旅をしてみてはいかがでしょう? 実は体への効能のある温泉は、食材本来の味を引き出し、美味な料理を作り出す魔法の調味料でもあります。美容や健康にも効果があるといわれる“温泉グルメ”で、体のなかからも温泉を満喫してみたいものです。
 さて、その代表格としてまずご紹介したいのは、豊富な湧出量を誇る日本有数の温泉地、大分県の別府八湯のなかの鉄輪(かんなわ)温泉や明礬(みょうばん)温泉などで、古くから親しまれている「地獄蒸し」。
 「地獄蒸し」は、温泉の噴気を利用した釜で、高温の蒸気で食材を一気に蒸し上げる料理のこと。かつて、長期滞在の湯治客が、宿で自炊するときなどに利用していたそうです。余分な油を落とし、素材の旨味を凝縮される、ヘルシーな料理法としても知られています。
 鉄輪温泉にある「地獄蒸し工房鉄輪」では、野菜や海の幸を自分で蒸して食べる体験が気軽にできます。
 また、宿の食事としても人気で、明礬温泉の温泉旅館「岡本屋」では、別府湾が育んだ海の幸をふんだんに盛り込んだ 「地獄蒸し」をいただけます。直営売店で販売されている元祖「地獄蒸しプリン」は、売り切れになることも多い看板商品。とろけるような舌触りと濃厚でまろやかな味わいがやみつきに。
 硫黄分をたっぷり含んだ「地獄蒸し」はアンチエイジング効果が認められていて、記憶力アップ、抗認知症効果などがあるという研究データも発表されています。